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高次脳機能障害の方の運動療法を行う上でのポイント

 13, 2016 19:06
手すり 歩行介助

①注意障害における運動療法でのポイント

○注意のどの機能が障害されているのかを把握する

注意のどのレベルで障害されているかを確認します。作業療法士や言語聴覚士と情報共有します。

○難易度を細かく設定する

注意障害の患者さんにとっては、少しの難易度の変化が急に難しく感じたりするので、難易度設定は細かくして配慮する必要があります。

②記憶障害における運動療法でのポイント

○記憶障害の内容を把握する

○文字提示を活用する

○同じ流れ・手順を繰り返す

記憶は繰り返すことによって定着しやすいため、スケジュールや訓練の流れなど毎日同じにして繰り返す事で定着しやすくなります。

○過剰に確認しない、否定しない

③前頭葉障害における運動療法でのポイント

○興味を持つ事、できる事をさがす
○選択肢から選んでもらう

前頭葉障害の患者さんは、発動性の低下によってどうしていいか分からないという状態になっていたりします。セラピスト側が一方的に課題を課すのではなく、患者さんの興味のあるものを探し、いくつかの選択肢から選んでもらったりすることが良いかと思われます。

○練習内容をリストアップする

これから行う練習内容を紙にリストアップして、終わったものから消していったりして先の見通しを立て、目に見えて減っていくのを見せる事で課題に集中しやすくします。

○曖昧な指示は避け、具体的に指示する

ワーキングメモリーや遂行機能の障害により、一度にたくさんの事項が処理できず、計画が立てられない場合は、具体的に1つづつ指示していきます。例えば、「起きて靴を履いて、車椅子に乗ってリハビリの部屋に行きましょう。」ではなく、「起きてください」「靴を履いてください」「車椅子に乗りましょう」「リハビリの部屋に行きましょう」と動作ができた段階で新しい指示を出していくと良いと思われます。

○伝えた事が理解されているか確認する

話していても、上の空だったりちゃんと聞いてなかったりするので、復唱してもらうなどして理解しているかを確認します。

○こまめに休む

前頭葉障害の方は疲れやすく、神経疲労を認める事が多く、だんだん注意散漫となってしまう為、静かな場所で休憩をはさみながら練習を行う必要があります。

○抑制がきかない場合はタイムアウト法

脱抑制がある場合、一時的に不安定となりやすいため、深呼吸をしたり話題を変えるなどして、それでも難しい場合は席を外したり、別の部屋で一人にするなどして収まるのを待つのが望ましいと考えられます。こういった方法をタイムアウト法と言います。

④失語における運動療法でのポイント

○できるコミュニケーションレベルを確認する

まず患者さんがどの程度のコミュニケーションレベルかを把握します。担当の言語聴覚士に情報収集すると良いですが、その患者さんが単語レベルなのか、文レベルなのかどのようなコミュニケーションレベルなのかを確認します。

また、従命も口頭指示で理解できるのか、ジェスチャーが必要なのか、介助が必要なのかも情報を得ておきます。

○非言語的なコミュニケーションを多用する

言語のみでのコミュニケーションだけでなく、ジェスチャーや分かりやすい環境設定などによって行ってほしい動作を伝えたりします。

○具体的な話をする

失語症の方は、言語情報が不足する分、周辺情報や話の流れから情報を得て、相手の言っている事を理解します。

目の前の事と関係のない話をすると理解がしにくいため、話をする際にはまず何の話をするのか、具体的にすると理解しやすくなります。

○選択肢を提示する

喚語困難によって自分の言葉が出にくくなる事もあり、やり取りをする際には選択肢を用意すると、患者さんが自分の意思が伝えられなくても、ある程度選択する事により意思を伝える事が可能となります。

○できた事、伝わったことを一緒に喜ぶ

失語症の方は周囲の人とコミュニケーションが取れなくなるため、孤独を感じやすくなりますが、セラピストが伝わったことや理解できた事を一緒に喜ぶ事でモチベーションアップにつながります。

⑤失行における運動療法でのポイント

○実際の生活場面で行う

模擬的な場面や、慣れない動きでは失行によってできない事が多いですが、自然な日常生活の中ではスムーズに行えたりします。前のボールをつかんで口の近くまで持ってくる動きを練習するより、実際にコップで飲む運動をしてもらった方が、自然にできたりします。

患者さんが混乱しないように、求める動作は実際の生活場面において、実際の物を使って行うと良いでしょう。

○不要な物は片づけ、必要な道具は手順に沿って使いやすく環境設定しておく

色んな道具が目の前にたくさん置いてあると、患者さんは混乱してしまいますので必要のない物は片づけておきます。

また、道具は使う手順に合わせて順番に置くなど配置を工夫すると良いと思われます。

○目標とする動作の手本を示す

失行の患者さんは口頭指示のみでは、どうやって行動していいのか理解できない場合が多いです。まずセラピストが手本となるように動作を行って教示すると理解しやすくなります。

○目標とする動作を徒手的に誘導する

髪をとかしたり、歯ブラシを使ったりする際に運動の方向を間違ったりすることがありますが、そのまま間違えたまま続けさせるのではなく、正しい方向にハンドリングして誘導する事が大切です。

○視覚や聴覚など残存機能を利用する

動作を行う為の情報入力として、視覚や聴覚の残存機能を十分に使う事も大切です。例えば、動作手順を紙に写真やイラストで示し、それを見ながら行ったり、聴覚の利用例としては効果音・動作音を使用する事でイメージがつきやすくなる事もあります。うがいを促す時には、「ブクブクペーですよ」など。

○動作を分割し、簡単なものから行う

一連の動作を連続して行うのではなく、動作を区切ってできる部分から練習を始めていきます。少しづつできる動作を増やしていきます。

⑥半側空間失認における運動療法でのポイント

○非麻痺側の刺激を減少する

どうしても、非麻痺側からの刺激に反応しやすいため、非麻痺側の方には壁やカーテンなどで刺激の入りにくい環境設定とし、できるだけ非麻痺側からの刺激を少なくしていくと良いと思われます。

○麻痺側の注意を促進する

麻痺側からの呼びかけなどの刺激には反応しにくいため、麻痺側の方からの呼びかけなどによって、積極的に注意を促していくことが重要です。

頸部や体幹が非麻痺側に回旋したりする重度な方では、正中位に近いところから刺激を開始して、徐々に麻痺側の方に刺激を移行すると良いです。

○麻痺側上下肢の使用を促進する

両手両足を使用する運動→左右の反復交互動作→麻痺側のみの運動と段階づけて麻痺側の参加を増やして、注意を促していきます。

○物や空間に対する印をつけ、日常生活に汎化する

移動時に無視側の物や道に気付かない場合は、張り紙をして誘導したり、床にテープを張ったりして麻痺側に注意を向けたり、道に迷わないようにします。

(吉尾 雅春、阿部 浩明、伊藤 克浩、竹林 崇:日本を代表するセラピストが伝えるフラッグシップテキスト 極める! 脳卒中リハビリテーション 必須スキル:gene:2016)


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COMMENT - 2

Sun
2016.09.18
00:14

智太郎 #Cv7CRq2s

URL

多くの高次脳機能障害の方々のお役に立ちますね。

僕も精神障害1級から2級に降格しましたが重い高次能機能障害者です。1つ1つの分かりやすい項目を読んでると何度もうなずける気がしました。感謝しております。

Edit | Reply | 
Wed
2016.09.21
20:15

FC2USER443754VEG #-

URL

Re: 多くの高次脳機能障害の方々のお役に立ちますね。

コメント有難うございます。臨床においても接し方や注意点を十分におさえることで、その方の能力を最大限引き出せるのではないかと感じていますが、貴重なご意見有難うございます。

Edit | Reply | 

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