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外反母趾を呈している患者さんは、臨床においても多いと思われます。外反母趾とは、「母趾の外反と、第1中足骨の内反」を伴った変形の事を言います。

外反母趾は10:1で女性に圧倒的に多い変形です。外的要因として、ハイヒールなどの靴の影響によるものと、内的要因としては扁平足などが挙げられます。

実際、外反母趾でも無症候性の場合も多く、変形自体が問題と言うよりも、変形する事によって「痛み」が出現する事が問題であり、理学療法士はそれに対してアプローチしなければなりません。

そのためには、外反母趾によって何が生じているのかを知る必要があります。

まず、外反母趾というのは外反母趾角(第1中足骨と母趾のなす角度)が20°以上になっている場合、外反母趾と判断できます。

外反母趾角 ブログ用

そして、中足骨底面には種子骨があり、内側には内側種子骨、外側には外側種子骨が位置しています。

内側種子骨に付着する筋は、母趾基節骨に停止する母趾外転筋と、短母趾屈筋内側頭です。
外側種子骨に付着する筋は、母趾基節骨に付着する母趾内転筋と、短母趾屈筋外側頭です。

○足根中足関節の安定性低下が原因で生じる外反母趾

そもそも、第1中足骨は遠位端において、第1中足趾節関節(MTP関節)を構成し、近位端では足根中足関節を構成しています。足根中足関節は中足骨間靱帯や前脛骨筋や長腓骨筋の腱によって安定性が得られていますが、女性に特に多い関節弛緩性(ラキシティ:laxity)などによって関節の安定性が低下してしまいます。

解剖学的に、足根中足関節は関節面が傾斜しているために、第1中足骨は内反しやすくなります。

第1中足骨が内反してしまうと、内側種子骨に付着する母趾外転筋は短縮位となり、一方で外側種子骨に付着する母趾内転筋は伸張位となり、外側種子骨を外側へ引く力が高まり、母趾が外反に変形します。

足底の筋 ブログ用

こういったメカニズムで外反母趾が起こると、力学的不均等が生じて、さらに外反母趾が悪化してしまいます。どういう事かというと以下の通りです。

外反母趾となると、外側種子骨を外方に引く力が強くなります。それによって、第1中足骨が回内し、内側種子骨は外側の方へ変位します。そうなると、母趾外転筋の停止部が底側に移動し、母趾が十分に外転の筋力を発揮できなくなります。この事から、母趾は外反をより強めてしまいます。

また、第1中足骨頭関節面には傾斜角度があり、第1中足骨が回内すると母趾が外反位を取りやすくなる形状になっています。

となると、どうも問題なのは、この第1中足骨が内反・回内してしまう事が負の連鎖を生じさせている問題のように感じられます。

○外反母趾によってなぜ痛みが生じてくるのか?

まず、原因として大きいのが靴の原因ですが、女性特有のハイヒールを履くことによってMTP関節に特に体重がかかりやすくなる事と、ハイヒールのつま先の部分は先が狭い形をしているため、母趾は外反強制され、MTP関節の内側の関節包は伸張され、MTP関節内側部に腱膜瘤(バニオン)が生じ、これが痛みを生じます。

また、外反母趾となると第1中足骨は回内した状態となり、その状態で荷重する事になります。内側種子骨の内側には固有底側趾神経があるため、荷重時にはその神経を圧迫する事となります。そのため、荷重時に痛みを生じる場合もあります。

○外反母趾に対する運動療法

では、われわれ理学療法士はどのような運動療法を展開していけば良いのでしょうか?

外反母趾に対しては、靴の適切な処方や、足底挿板、テーピングなどの方法がありますが、ここでは筋に対するアプローチを述べます。

①母趾内転筋の筋力強化:第1中足骨の内反を制動する筋として筋力強化が重要となります。

②母趾外転筋の伸張性の獲得:母趾外転筋の伸張性が低下すると、第1中足骨が回内・外反位を取るため。

③背側骨間筋の筋力強化:背側骨間筋は、足根中足関節の安定に関わる中足骨間靱帯からも起始を持っているため、足根中足関節の安定のためには筋力強化が必要となります。タオルギャザーなどで促していくのが良いでしょう。

④前脛骨筋の筋力強化:前脛骨筋は第1中足骨の回外作用を有するため筋力強化が重要となります。

(工藤 慎太郎:運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学:医学書院:2012)

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立位の姿勢制御戦略 ブログ用

学生時代よく耳にしたことがあると思います。人の立位時の姿勢制御の戦略は3種類に分けられ、

①足関節を中心とした運動で反応する足関節戦略(ankle strategy=アンクルストラテジー)
②股関節を中心とした運動で反応する股関節戦略(hip strategy=ヒップストラテジー)
ステッピング戦略(stepping strategy=ステッピングストラテジー)

足関節での制御では、足関節の周囲筋を十分に働かせて、足部を固定することが必要になってきます。股関節での戦略に比べてankle strategyは運動制御に強い筋力が必要になってきます。

特に、高齢者では、ankle strategyは難しい高度な反応となるので、機能しにくくなりやすいのです。高齢者はhip strategyで代償するようになりやすいのです。

ankle strategy⇒少しの動揺刺激が加わった時に働くバランスコントロール
hip strategy⇒大きい動揺刺激が加わった時に働くバランスコントロール

状況下に応じて働くようになっていますが、hip strategyメインで行っている高齢者においては、ankle strategyを身につけておくことは転倒予防に重要と考えられます。

まず、ankle strategyの評価をしていきます。

立位で前方への上肢のリーチを行い、股関節屈曲や体幹前傾が生じず足圧中心が前方移動して、足関節戦略が行えているかを確認します。

これが行えない場合は、足圧中心を前方移動するための足関節周囲の筋力向上とバランス反応を促すトレーニングを行っていきます。

立位での足関節の底屈運動 ブログ用

運動療法の実際としては、立位で足関節の底屈運動を行います。最初は難しければ上肢支持をしたままで行い、できるようになってきたら、不安定なバランスマットの上で行ったり、上肢支持を外していったりして課題の難易度を上げていきます。

(武富由雄、市橋則明:理学療法プログラムデザイン〈2〉ケース別アプローチのポイントと実際;2012)


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