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手すり 歩行介助

①注意障害における運動療法でのポイント

○注意のどの機能が障害されているのかを把握する

注意のどのレベルで障害されているかを確認します。作業療法士や言語聴覚士と情報共有します。

○難易度を細かく設定する

注意障害の患者さんにとっては、少しの難易度の変化が急に難しく感じたりするので、難易度設定は細かくして配慮する必要があります。

②記憶障害における運動療法でのポイント

○記憶障害の内容を把握する

○文字提示を活用する

○同じ流れ・手順を繰り返す

記憶は繰り返すことによって定着しやすいため、スケジュールや訓練の流れなど毎日同じにして繰り返す事で定着しやすくなります。

○過剰に確認しない、否定しない

③前頭葉障害における運動療法でのポイント

○興味を持つ事、できる事をさがす
○選択肢から選んでもらう

前頭葉障害の患者さんは、発動性の低下によってどうしていいか分からないという状態になっていたりします。セラピスト側が一方的に課題を課すのではなく、患者さんの興味のあるものを探し、いくつかの選択肢から選んでもらったりすることが良いかと思われます。

○練習内容をリストアップする

これから行う練習内容を紙にリストアップして、終わったものから消していったりして先の見通しを立て、目に見えて減っていくのを見せる事で課題に集中しやすくします。

○曖昧な指示は避け、具体的に指示する

ワーキングメモリーや遂行機能の障害により、一度にたくさんの事項が処理できず、計画が立てられない場合は、具体的に1つづつ指示していきます。例えば、「起きて靴を履いて、車椅子に乗ってリハビリの部屋に行きましょう。」ではなく、「起きてください」「靴を履いてください」「車椅子に乗りましょう」「リハビリの部屋に行きましょう」と動作ができた段階で新しい指示を出していくと良いと思われます。

○伝えた事が理解されているか確認する

話していても、上の空だったりちゃんと聞いてなかったりするので、復唱してもらうなどして理解しているかを確認します。

○こまめに休む

前頭葉障害の方は疲れやすく、神経疲労を認める事が多く、だんだん注意散漫となってしまう為、静かな場所で休憩をはさみながら練習を行う必要があります。

○抑制がきかない場合はタイムアウト法

脱抑制がある場合、一時的に不安定となりやすいため、深呼吸をしたり話題を変えるなどして、それでも難しい場合は席を外したり、別の部屋で一人にするなどして収まるのを待つのが望ましいと考えられます。こういった方法をタイムアウト法と言います。

④失語における運動療法でのポイント

○できるコミュニケーションレベルを確認する

まず患者さんがどの程度のコミュニケーションレベルかを把握します。担当の言語聴覚士に情報収集すると良いですが、その患者さんが単語レベルなのか、文レベルなのかどのようなコミュニケーションレベルなのかを確認します。

また、従命も口頭指示で理解できるのか、ジェスチャーが必要なのか、介助が必要なのかも情報を得ておきます。

○非言語的なコミュニケーションを多用する

言語のみでのコミュニケーションだけでなく、ジェスチャーや分かりやすい環境設定などによって行ってほしい動作を伝えたりします。

○具体的な話をする

失語症の方は、言語情報が不足する分、周辺情報や話の流れから情報を得て、相手の言っている事を理解します。

目の前の事と関係のない話をすると理解がしにくいため、話をする際にはまず何の話をするのか、具体的にすると理解しやすくなります。

○選択肢を提示する

喚語困難によって自分の言葉が出にくくなる事もあり、やり取りをする際には選択肢を用意すると、患者さんが自分の意思が伝えられなくても、ある程度選択する事により意思を伝える事が可能となります。

○できた事、伝わったことを一緒に喜ぶ

失語症の方は周囲の人とコミュニケーションが取れなくなるため、孤独を感じやすくなりますが、セラピストが伝わったことや理解できた事を一緒に喜ぶ事でモチベーションアップにつながります。

⑤失行における運動療法でのポイント

○実際の生活場面で行う

模擬的な場面や、慣れない動きでは失行によってできない事が多いですが、自然な日常生活の中ではスムーズに行えたりします。前のボールをつかんで口の近くまで持ってくる動きを練習するより、実際にコップで飲む運動をしてもらった方が、自然にできたりします。

患者さんが混乱しないように、求める動作は実際の生活場面において、実際の物を使って行うと良いでしょう。

○不要な物は片づけ、必要な道具は手順に沿って使いやすく環境設定しておく

色んな道具が目の前にたくさん置いてあると、患者さんは混乱してしまいますので必要のない物は片づけておきます。

また、道具は使う手順に合わせて順番に置くなど配置を工夫すると良いと思われます。

○目標とする動作の手本を示す

失行の患者さんは口頭指示のみでは、どうやって行動していいのか理解できない場合が多いです。まずセラピストが手本となるように動作を行って教示すると理解しやすくなります。

○目標とする動作を徒手的に誘導する

髪をとかしたり、歯ブラシを使ったりする際に運動の方向を間違ったりすることがありますが、そのまま間違えたまま続けさせるのではなく、正しい方向にハンドリングして誘導する事が大切です。

○視覚や聴覚など残存機能を利用する

動作を行う為の情報入力として、視覚や聴覚の残存機能を十分に使う事も大切です。例えば、動作手順を紙に写真やイラストで示し、それを見ながら行ったり、聴覚の利用例としては効果音・動作音を使用する事でイメージがつきやすくなる事もあります。うがいを促す時には、「ブクブクペーですよ」など。

○動作を分割し、簡単なものから行う

一連の動作を連続して行うのではなく、動作を区切ってできる部分から練習を始めていきます。少しづつできる動作を増やしていきます。

⑥半側空間失認における運動療法でのポイント

○非麻痺側の刺激を減少する

どうしても、非麻痺側からの刺激に反応しやすいため、非麻痺側の方には壁やカーテンなどで刺激の入りにくい環境設定とし、できるだけ非麻痺側からの刺激を少なくしていくと良いと思われます。

○麻痺側の注意を促進する

麻痺側からの呼びかけなどの刺激には反応しにくいため、麻痺側の方からの呼びかけなどによって、積極的に注意を促していくことが重要です。

頸部や体幹が非麻痺側に回旋したりする重度な方では、正中位に近いところから刺激を開始して、徐々に麻痺側の方に刺激を移行すると良いです。

○麻痺側上下肢の使用を促進する

両手両足を使用する運動→左右の反復交互動作→麻痺側のみの運動と段階づけて麻痺側の参加を増やして、注意を促していきます。

○物や空間に対する印をつけ、日常生活に汎化する

移動時に無視側の物や道に気付かない場合は、張り紙をして誘導したり、床にテープを張ったりして麻痺側に注意を向けたり、道に迷わないようにします。

(吉尾 雅春、阿部 浩明、伊藤 克浩、竹林 崇:日本を代表するセラピストが伝えるフラッグシップテキスト 極める! 脳卒中リハビリテーション 必須スキル:gene:2016)


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脳血管障害後の患者さんで注意障害を呈している方は非常に多く、どのようにしてリハビリテーションを進めていけば良いのか非常に悩むところではないかと思われます。

今回は、注意機能の構成要素と、注意障害の症状に対しての具体的な介入例をまとめてみました。

注意機能 ブログ用

注意機能は、上の図のような関係性によって保たれています。覚度が保たれている事で、初めて他の要素は能力を発揮できます。覚度が低下すると、全体的な注意機能の容量が低下してしまいます。

例えば、注意機能を車の運転で例えると、下の図のような関係性となります。

車の免許が取りたてで、車に乗り始めた当初は、車を動かす手順に注意の大半が向けられている状態です。(左図:注意の集中性が高い状態)こういった状態の時は、同乗者との会話や、危険察知の遅れ(配分性)に注意を向ける事が難しくなります。また、疲労を感じやすく、長時間の運転は難しい状態です。(持続性)

しかし、車の操作や手順が慣れてくると、(中図:持続性と配分性に注意が向けられるようになる状態)同乗者との会話もだんだんできてくるようになり、長距離の運転も可能になってきます。

ただ、疲労が残り、覚度が低い状態(右図:覚度の低下した状態)では、注意機能の容量が少なくなり、長時間の運転も困難となり、危険予測の能力も低下してしまいます。


注意機能の関係性 ブログ用


(國澤 佳恵:理学療法 2014年 5月号 (Vol.31 No.5) 特集 高次脳機能障害を有する患者への理学療法士の関わり:メディカルプレス:2014)



○集中力がない(注意の維持)

・好きな課題や得意な課題を選択し、集中できる時間を延長させるという工夫。
・一つの課題を一気に行えない場合には、適度に休憩時間を取りながら行う。この時に、何分間の作業に対して何分間の休憩であれば疲労がたまらないかを分析する。

○話の途中で違う事をしたり、急に席を立ってしまい、じっとしていられない(注意の維持、欲求コントロールの低下など)

・SSTで人の話を最後まで聞く事や、席を立ちたくなった時は声をかけて席を離れるようにスキルを学習していく。
・易疲労性からくるものであれば、適度に休憩をとり疲労に対して対応していく。
・グループ活動を行いながら、集中できる時間を増やしていく。

○音がしたり、人が通ったりするとすぐにそちらに目が行き、気が散る(注意の選択)

・始めは個室などの気が散らない環境下で課題を行い、できるようになったら徐々に、大部屋や雑音のある環境に慣れさせていく。
・課題も動くものが目に入る窓際で行うのではなく、壁に向かう席で実施していく。

○大勢の中で自分が呼ばれている事が気づかない(注意の選択)

・グループ活動を行いながら、できるだけ自分への声掛けに気付くように訓練していく。

○ミスが多い(注意障害とその他の要因が混合)

・ミスの原因を分析していく
→疲労からくるのか、注意の選択・配分の問題か、遂行機能障害による手順の混乱が原因か
・ミスを防止する
→課題を行い、終了しようとする時に必ず見直す習慣をつけていく。
・ミスが起きた時の対処法を学ぶ
→ミスの起こりうる場面をリストアップする。問題点への対処法を一緒に考え、表にまとめ、思い出せなくなったときに確認する。

○一つの課題や仕事を素早く、正確にこなすことができない(注意障害とその他の要因の混同)

・作業の途中で話しかける事はやめ、周囲にもそれを伝えておく。
・課題や作業にかける時間を長めにとり、休憩時間と確認作業を十分に行う。

(平林 直次、廣實 真弓:Q&Aでひも解く高次脳機能障害:医歯薬出版:2013)



また、注意障害全般的に実施すべき対応法として以下の事も言われています。

・環境刺激を少なくする。(戸を閉めたり、人を少なくしたり、テレビを消したり)
・何かを口頭で伝える前には、必ず本人が自分の方を向いてるか確認する。
・本人への指示は7秒以内のキーワードで、単純明快に端的に伝える。
・話や課題が正確に理解できているのか、こまめに確認する。
・本人が以前から好きだったり、興味があるものを課題として選択する。
・話がぐるぐる回ってしまったら、話を元に戻してあげる。
・課題が完成するまで、ゆっくりと時間を与える。
・少しでもできたらなるべく褒める。
・情報量が多い時は、重要な箇所を目立たせる。

(橋本 圭司:生活を支える高次脳機能リハビリテーション:三輪書店:2008)

脳卒中後のうつ病は比較的頻度の高い障害です。臨床の現場においても、脳血管障害にうつ病が合併し、リハビリテーションの進行の妨げになっている方も多いのではないかと思われます。

うつ症状は、患者さんの身体機能・認知機能・社会機能にマイナスの影響を与えるだけでなく、家族への負担の増加の影響もあります。

脳卒中後のうつ病の罹患率は、発症後10%程度から40%台と幅広い報告があります。

脳卒中後に自殺念慮を抱く患者さんは、脳卒中患者の7%にもおよぶという報告があります。脳血管障害後に自殺によって死亡する割合は、健常者と比較するとおよそ2倍になります。

脳卒中後うつ病の症候学的特徴としては、気分の落ち込み、不安、イライラ感、焦燥感を伴います。意欲は低下し、興味・性欲の減退、思考面では自責感、自信の喪失、思考力の低下、自殺念慮などが生じてきます。

身体的な面では、動悸、のぼせ、発汗などの自律神経症状、倦怠感、不定愁訴を訴え、不眠となることが多く、食欲減退、体重減少が認められることも多いです。午前中が症状としては、最も重くなるという日内変動を認めることも多いです。表情は暗く、外見は悲壮感が漂っています。

以上のような症状に、いち早くスタッフが気づき、対処していくことが重要となります。

まず、脳卒中後うつ病を判断する前に、うつ病アパシーを区別して鑑別していかなければなりません。

うつ病では、抑うつ気分を伴い、気力の低下や、イライラ感、焦燥感を伴い、考えすぎで脳が疲れきっている状態ですが、アパシーでは基本的に抑うつ気分を伴わず、イライラ感、気分の低下はなく、脳は疲れていない状態です。また、うつ病では自殺念慮を伴う事がありますが、アパシーの患者さんではありません。薬物の治療面では、うつ病に対して抗うつ薬での効果を認めることが多いですが、アパシーの場合は、効果は乏しくドパミン遊離促進薬にて効果を認める事があります。リハビリの場面においても、うつ病に対しては無理をさせないことが基本ですが、アパシーの患者さんに対しては積極的に動かしていくことが必要になります。

脳卒中後うつ病の治療としては、薬物療法十分な休養が基本です。リハビリテーションにおいては、患者さんとの関わり方が重要になってきます。

患者さんとの接し方に決まった方法はありませんが、リハビリテーション自体がうつ病を改善することもあれば、リハビリテーションで現実に直面したことで、うつ病発症のきっかけを与えてしまうこともあります。こういった場合は、患者さんに自信をつけさせるために課題のレベルを下げて行う事も一つになってきます。

病棟生活においても、頑張りすぎてしまう性格の人の場合は、無理しすぎないように指導していくことも大切です。必要に応じてリハビリを一時中止することも必要になってきますが、患者さんが不安にならないように、困った時に相談にのれる体制をつくっていくことが重要かと思われます。

自宅復帰後でも、社会との接点が狭まることがないように、社会との接点を保つことで孤独感、絶望感を和らげていくことをしていかなければなりません。

本人や家族においても、脳血管障害の後遺症はほとんどの場合はじめて経験するもので、うつ病が合併した場合、家族の負担や困惑は非常に大きくなります。神経内科、リハビリテーション医、精神科医、リハビリテーションスタッフ、看護師、家族がそれぞれ意見交換を行いながら、治療方針を一定の方向に決めていくことが大事になります。

(河村 満:急性期から取り組む高次脳機能障害リハビリテーション QOL向上のために今すぐできる日常生活援助:2010)


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記憶障害

脳卒中後の高次脳機能障害を呈した患者さんは臨床上多いです。身体機能は自立レベルであるが、高次脳機能の問題で自宅退院が困難になっているケースも多いです。

高次脳機能障害に直接アプローチすることは、病院・施設によっては作業療法士、言語聴覚士が配置されている場合、理学療法士が介入することは少ないのが現状ではないでしょうか?

しかし、注意障害記憶障害半側空間無視によって円滑な理学療法が阻害されたり、病棟内移動時の転倒・転落の原因になることもあるために、介入の必要性としては非常に高いのではないかと考えます。

高次脳機能障害に対する訓練の方略としては、失われた機能に対して直接的にアプローチする方略と、他の機能を活用して代償的にアプローチする方略に分けられます。

どちらの方略でリハビリテーションを進めていくかは明確にしておく必要があります。

今回とりわけ、高次脳機能障害の中で問題となることの多い注意障害記憶障害半側空間無視について記します。

①注意障害

 注意障害の実際の臨床症状としては、注意散漫で集中力に欠けており、椅子に座っていてもキョロキョロして落ち着きがない状態だったり、またはボーっとして、会話や行動にまとまりがない状態だったりします。
 また、一つの課題にしか注意を向けることができず、同時に複数の課題を行う事が難しい状態の方もおられます。

 注意障害に対する訓練としては、attention process training(ATP)、数字や文字の抹消課題、計算問題、文章の書きうつし、トランプ分類(数字やマークごとに分ける)、絵や図形の間違い探しなどの課題が行われます。

 注意の持続が困難な方は静かな部屋で訓練を行うなどの環境への配慮も必要となります。
 
 臨床では、車椅子レベルの患者さんで、車椅子移乗を行う時にブレーキをかける動作や、フットプレートを上げる動作を忘れて、転倒のリスクのある方も多くおられます。そういった方には、動作手順を言語で書いた張り紙を目につく所に貼って、注意を促す方法もありますし、カラーテープをブレーキの部分に貼ったりと、目立つようにマーキングするのも良い場合もあると思われます。

②記憶障害

 記憶には覚えこむ段階の記銘、記憶をためておく把持、検索して思い出す想起という3つのプロセスに分かれており、臨床ではどの段階に問題があるのかを明確にしておく必要があります。

 臨床の場面では、担当セラピストの名前を覚えることができなかったり、訓練時間などのスケジュールを覚えれなかったり、トイレの場所が分からなかったり、自分の病室が分からず迷ったり、会話内容を覚えていなかったりと症状としては個人差があります。

 このような状態では、訓練そのものを円滑に行う事ができないだけでなく、退院先の生活において支障が出てしまいます。

 対応としては、訓練時間やセラピストの名前を書いたスケジュール表を渡して確認してもらったり、病棟内を記した地図をもって歩行していただいたり、所々の廊下や部屋の前に目印を置くのもよいかと思われます。このほかメモリーノートやボイスレコーダーなどを用いて日課管理をしていくことが重要と思われます。

③半側空間無視

 半側空間無視(USN)は中枢神経疾患の患者に生じる失認のなかの症状の一つです。半側空間無視は左片麻痺の方に多く、右脳損傷者の20%~50%に出現すると言われています。臨床の場面ではよく遭遇し、リハビリテーションの阻害因子となることも多いです。

 責任病巣としては頭頂葉後部が多いですが、前頭葉や視床、被殻でも起こる場合があります。

 臨床での症状としては、ご飯のときに左側のおかずが残ってしまったり、左側の壁や家具に足や体をぶつけてしまう状態や、左側から話しかけられても気付かない事もあります。

 机上のテストでは、線分二等分線検査、アルバートの線分末梢検査、ダブルデイジーがよく使用されています。ただし、このような机上のテストは日常生活の観察の結果と違う事もあるために、それも含めた評価をしていく必要があります。

 半側空間無視の実際の訓練としては、手で机や箱の縁を無視側の方へ向ってなぞって、その手を追視させるようにします。また、テーブルの上にお手玉などをのせ、お手玉を無視側の箱の中に数えながら入れていく作業を行ったりします。方略としては視覚以外の知覚を用いて無視側への探索をしていく課題をしていくと良いと思われます。

(細田多穂:中枢神経障害理学療法学テキスト (シンプル理学療法学シリーズ):2014)


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交通事故や、スポーツでの事故、転落事故、脳卒中などの後遺症によって生じる高次脳機能障害は、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害を呈し、日常生活でさまざまな支障が生じます。

臨床の現場でも非常に多く、動作レベルで改善できても、高次脳機能障害により生活に介助を要する場面がかなりあると思います。

高次脳機能障害の症状は、発症原因、障害部位、重症度によって個別差は大きいですが、リハビリテーションの訓練によって落ち着いてくることが一般的です。

リハビリテーションにおいては、症状の改善のための訓練を行い、それでも日常生活で問題が生じる部分に、住環境整備の必要性があります。

高齢者や障害者に共通する住環境整備以外で、高次脳機能障害の方に限定した具体的な配慮としては・・・

①室内の凹凸や床の段差を解消する
高次脳機能障害の方は床面の段差を認知しにくい場合が多いです。床面の段差に気付くのが遅れたり、気づかずに衝突したり、転倒したりする危険性があります。特に、リハビリテーションの訓練中はもちろん、病棟内で気づきが浅い方は極力床面の段差解消を行った方がよいと考えられます。

②室内空間はシンプルな雰囲気で統一する
室内空間は落ち着いた雰囲気にすることで、高次脳機能障害の方は精神的に落ち着いた状態を維持できると言われています。例えば、市松模様の柄や、大柄の模様の壁紙などは気になって落ち着かない事があります。室内の装飾品も少なめにしておいた方がよいとされています。
色彩は活気を与える様な暖色系よりも、どちらかというと静かで落ち着いている雰囲気の寒色系が好ましいです。
音も同様で、外部からの騒音が聞こえないように壁の遮音性能を高め、窓にも二重サッシを採用すると遮音効果が高まります。

③柔らかな照明
室内は一定の照度が必要ですが、柔らかな雰囲気がよいことから間接照明が好ましいとされています。

④収納への配慮
室内が雑然としていると、高次脳機能障害の方は落ち着かず、混乱しやすくなるため、室内は常に片づけて机の上などもきれいにしておく習慣をつけておきます。物を置く位置も常に同じ場所になるようにすると良いと言われています。

⑤家具類の位置を変えない

(野村 歡,橋本 美芽:OT・PTのための住環境整備論:2012)


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