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おおよそ全国に3000〜4000人程度いると言われるボバース研究会の会員数ですが、昔からずっと同じことをやっているのではなく、常に新しい知見を取り入れながら進化してきている概念です。

解剖・運動・生理学のベースはもちろん、脳科学や最新の医学を織り交ぜながら治療展開していきますが、あまりボバースコンセプトに触れたことのない方は、何を根拠に講師の先生が治療を行っているのか解らずじまいで終わってしまったり、ちょっと講習会に出て聞きかじりで臨床に取り入れて分かった気になっている人は、なんか残念な気がします。

もちろん、ボバースコンセプトさえ押さえていれば脳卒中リハビリテーションは十分だとは言い切りません。ただ、現代の脳卒中リハビリテーションのトレンドはトレッドミル歩行やロボットアシスト歩行、FES、バイオフィードバック、バーチャルリアリティトレーニングなど多様化しており、それだけの介入ではADLにつながる動きが促されなかったり、患者満足度が低い傾向にあると思います。

患者さんの部分的な問題点に固執せず、全体像から問題点を絞り込む動作分析主体の治療が、理学療法士として必要な治療なのではないかと思っています。

個人的な印象ですが、ちゃんとコンセプトを理解しているボバースセラピストはかなり患者さんの機能回復も良く、患者満足度も高い印象があります。やはりボバースセラピストは患者さんの個別の問題にいかに着目できるかと言うスキルがあるのだと思います。

そのためには、脳卒中の患者さんを目の前にして、何に着目して、何を考えるかが重要となります。

ボバースセラピストでなくても、ボバースコンセプトが何なのか、何を根拠に治療を考えていかないといけないのかを整理するためのオススメの書籍をご紹介します。

まずはこちら

脳卒中後遺症者へのボバースアプローチ〜基礎編〜 (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ)
脳卒中後遺症者へのボバースアプローチ〜臨床編〜 (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ)



 

内容としては、ボバースコンセプトの概念が分かりやすく書かれています。学生ではちょっと難しいし、ピンとこないかも知れません。ボバース研究会のサイトでは臨床に入って3〜5年目のセラピスト向けに書いていると書かれています。

臨床で患者さんを治療していく中で、「ああ、そういえばあの時の動きはこういう理由があったからか!とか、こういう事があるからこういう治療をしなきゃいけないんだ!」と納得する部分が多いです。

治療方法や考え方が一通り学べると思います。講習会を受けた後の復習用に非常に良いと思います。

脳卒中の臨床神経リハビリテーション―理論と実践

書籍の画像がありませんが、こちらの本は神経生理学的な根拠を元にした治療方法が紹介されています。

こちらの本も非常に臨床的で分かりやすいです。オススメです。

モーターコントロール原著第4版 理解が深まるDVDビデオ付―研究室から臨床実践へ



運動制御理論について学ぶならコレです。Cookさんという非常に有名な方がまとめられた有難い書籍です。

非常に分厚くて読み応えのある本ですが、一冊手元には必要ですね。

動作分析 臨床活用講座―バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践



やはり動作分析を学んでいくならコレだと思います。ボバースコンセプトで学べる動作分析の概念をバイオメカニクス的な見知から体系的にまとめられた書籍です。石井先生はボバースとは全く関係ない整形専門の先生ですが、初学者でも非常に分かりやすいです。

この書籍を読んで、一度石井先生の講義を受けてみられると良いと思います。非常に講演の上手い先生ですので、学生からでも十分学べる研修会です。


リハビリテーションのための脳・神経科学入門



森岡先生が書かれたニューロリハビリテーションの基礎とも言える素晴らしい本です。入門と書かれていますが、サラサラと読めるほど簡単に書かれていないですが、非常に大切な事が書いてあります。

本を読んでみて少しわかりにくい場合は、森岡先生の研修会に参加して見ると良いと思います。森岡先生は全国を飛び回っておられますので、機会のある方は聞いてみてください。最新のニューロリハビリテーションの知見が学べると思います。

タッチ (神経心理学コレクション)



患者さんに触れると言う事はどう言う事なのか、何を考えて触れていくかで治療効果が違います。

この本を読む事で、患者さんへの適刺激はどうしたら良いのか考えさせられます。ハンドリング再考で是非一冊必要かと。

How to touchを学ぶならコレです。

脳と運動 第2版 ―アクションを実行させる脳― (ブレインサイエンス・シリーズ 17)



こちらの本は非常に読みやすく、運動を起こすための脳の仕組みがわかりやすく書かれています。

日常生活の中でこういう風に動く!といった時にどのような事が脳で起こっているのか知りたい時にはこれです。

レビューにもある通り、どの分野の人が見てもわかりやすいような本になっています。

感覚入力で挑む―感覚・運動機能回復のための理学療法アプローチ (臨床思考を踏まえる理学療法プラクティス)



個人的には非常に面白く読み進められたのでオススメです。

臨床において、どのようにして感覚入力をしながらアプローチしていく事が大事なのか、かなり目からウロコです。

脳卒中後遺症者へのニューロリハビリテーション~急性期から回復期の麻痺改善を目指す徒手的介入~[リハビリ理学 ME180-S 全4巻]
脳卒中後遺症者 の ADL障害 に対するアプローチ ~ PT ・ OT ・ ST の協業を中心に ~ [ 理学療法 DVD番号 me137 ]

 

こちらは書籍ではありませんが、日本ボバース研究会会長の伊藤克浩先生によってDVD化され、具体的な治療介入の方法や、個別介入の方法論がまとめられています。

視覚的に見る事が出来るので非常に分かりやすいです。
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Stop Standing

ボバースセラピストが用いる手技の一つに「Stop Standing(ストップスタンディング)」があります。

立っている状態で静止する練習ではありません。「立つ事を止める」すなわち、着座の動作(立位→端座位)においての体幹・骨盤のコントロールを促していく手技です。

動き始めとしては、股関節のストラテジーではなく、足関節のストラテジー(足関節背屈の動き)を使うようにして、両足部の支持面の安定・コアスタビリティの向上・対称性の再獲得・下腿三頭筋やハムストリングス、広背筋等の短縮の改善を目的とした手技です。

なので、動きはじめは体幹の屈曲を入れるのではなく、体幹は伸展位をキープしたまま着座への運動を開始していきます。

脳卒中片麻痺患者さんの場合は、屈曲パターン優位な事が多いため体幹屈曲が先行し、麻痺側股関節が後退する代償をとりやすい状態となっています。

こういった場合は、セラピストがPKP(Proximal key point:近位部のキーポイント)である骨盤をキーポイントにして操作し、できるだけ屈曲パターンを使わせずに足関節ストラテジーを強調させるように誘導していきます。

そして殿部を下げていき、より座位に近い姿勢でセラピストはPKPをキーポイントに骨盤の前後傾を促し、その肢位でコアコントロールを促通していきます。

この骨盤の前後傾の動きをだす事によって、広背筋の短縮を改善させ、下肢の同時活動も高めていきます。

ストップスタンディングの操作により、橋網様体脊髄路系のフィードフォワードの作用による、コア・コントロールの機能を回復させる事につながってきます。

(古澤 正道:脳卒中後遺症者へのボバースアプローチ〜基礎編〜 (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ):運動と医学の出版社:2015)


※関連記事
関連:着座の動作分析
関連:足関節での姿勢制御(ankle strategy)が低下しているケース
関連:大殿筋上部線維・下部線維の選択的促通方法
脳

しばらく更新が途絶えていましたが、また復活していきたいと思います。

今回は、特に脳卒中の後遺症の方ですが、神経伝導路についての事について書きたいと思います。

脳卒中患者さんは、姿勢コントロール(postural control)運動コントロール(motor control)ができなくなるために、動作の遂行が困難となってしまいます。

このためにセラピストは機能的な運動の再構築のために、神経伝導路のシステムについて理解しておく必要があります。

まず、姿勢・運動のための下行性システムには「背外側系」「腹内側系」の2つに分類されます。

・「腹内側系」のシステムは、姿勢の緊張の調整、体幹筋や肩甲帯やなどの四肢の筋群の特に近位部を制御しています。→主に姿勢を調節して安定性に関わるシステムです。

・「背外側系」のシステムは、四肢の筋群が協調的に働いて、リーチ動作をしたり、手指の巧緻動作に重要な役割を持ちます。→人間の上下肢の運動に関わるシステムです。

以下に主な経路を紹介します。

★腹内側系の運動性伝導路

①橋網様体脊髄路
 ・骨盤・体幹・肩甲帯の立ち直り運動など姿勢調整
 ・歩行時のバランス調整
 ・呼吸のパターンジェネレーターの修飾
 ・コアコントロール(上肢使用時)

②延髄網様体脊髄路
 ・脊髄レベルの歩行パターンジェネレーター
 ・上肢のリーチ

③内側前庭脊髄路
 ・頭頚部や上部胸郭の平衡に関与している

④外側前庭脊髄路
 ・同側の上下肢の平衡に関与している
 ・歩行や立位時のウエイトシフトで同側の伸筋群の賦活

⑤視蓋脊髄路
 ・視覚性の追跡運動中の頸部の運動と眼球運動の協調のために働く

⑥間質脊髄路
 ・頭頚部のコントロール(速い眼球運動に伴う)

⑦青斑核脊髄路
 ・四肢伸筋群の興奮性上昇させる→筋緊張増強

⑧前皮質脊髄路
 ・四肢近位筋、体軸の筋の調整

★背外側系の運動性伝導路

①外側皮質脊髄路
 ・上肢のリーチ運動
 ・プレシェイピング
 ・足部の随意運動

②赤核脊髄路
 ・上肢手の選択運動の一部を調整

(古澤 正道:電子ジャーナル プロフェッショナルリハビリテーション 脳血管障害を見るための運動性伝導路の基礎知識:2013)


※関連記事
関連:10分でわかる脳の構造と機能-畿央大学
◎側芽

軸索は木の芽のように芽を出すものと考えられています。これは、軸索芽側芽と呼ばれており、障害を受けた神経系と、受けていない神経系の両方で存在します。中枢神経障害によって神経細胞が損傷したら、軸索は末端から基部へ変性して、以前接合していたシナプスを置き去りにします。これは神経系のすべてで起こります。損傷を受けていない軸索周囲は、損傷に反応して放出された神経親和性物質によって、発芽するために刺激されます。結果、生じた枝や側枝は、新しいシナプスを構築するために、どこか失われた部位に接触を試みようと探索します。(Hallett 1995)新たな接続は、もとの神経支配パターンには戻りません。(Goldberger and Marry 1988、Brodal 2001)

側芽の影響はいつも正しいとは限りません。側芽の影響により、運動コントロールは正常なパターンへとは導かれず、機能を失うことにもなるかもしれません。もし感覚神経に側芽が起こるなら、患者さんは末梢からの刺激に過敏になるかも知れません。

すべての側芽が学習につながるとは限りません。(Brodal 1998)

つまり・・・

適切にも不適切にも運動は学習される可能性があるという事です。

(Bente E.Bassoe Gjelsvik著.新保松雄、金子唯史、佐藤和命 訳:近代ボバース概念;2011)

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