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転倒における内的因子と外的因子

転倒の危険因子には、対象者自身の特性である内的因子(intrinsic factors)と、環境や課題などの外的因子(extrinsic factors)があります。

○内的因子

身体的な物
・平衡機能(バランス能力)
・協調性
・筋力
・持久力
・柔軟性
・姿勢
・疾患
・感覚(視覚、体性感覚、前庭感覚など)

認知・心理・行動的な物
・注意
・意識状態
・高次脳機能(失認、失行、失語など)
・身体イメージ
・興奮状態
・抑うつ状態
・転倒恐怖感
・運動習慣
・性格

○外的因子

環境的な物
・床や路面の状態
・障害物
・段差や階段
・照明
・靴
・歩行自助具
・衣類
・薬物(精神安定剤、鎮痛薬、降圧剤)

課題や動作による物
・バランス能力の必要な課題(平均台など)
・大きな筋力の必要な課題(重量物の運搬など)
・スピードの必要な課題(急な呼び出しなど)
・二重課題(お盆を持って歩くなど)
・不慣れな動作(後ろ歩きなど)
・不意な外乱(電車の急停車など)
・感覚遮断(閉眼での作業など)

以上の因子が1つでも問題があれば転倒の危険性が生じ、危険因子が増えれば増えるほど転倒のリスクは上がります。

理学療法士が患者さんに対してできる事は、転倒の危険因子がどの程度あって、パフォーマンスや身体機能または精神機能への関わり、あるいは環境や動作課題の設定など個人に合ったアプローチをしていくことが大切だと思われます。

理学療法 第27巻第5号:メディカルプラス:2010)



または、こういう事も言われています。

○内的因子

基本的属性:年齢(80歳以上)、女性

身体機能:筋力低下、バランス機能低下、歩行能力の障害、視力障害、排尿・排便障害

医学的問題:脳卒中後遺症、パーキンソン症候群、関節疾患、起立性低血圧、高血圧、不整脈

認知・心理機能:認知障害、抑うつや不安、転倒恐怖

薬剤:睡眠薬、鎮痛薬、抗不安薬、抗うつ薬、降圧薬、薬剤の数、薬剤感受性の変化

○外的因子

段差:敷居、戸口の踏み台

床の状況:カーペットの端・めくれ・ほころび・ずべりやすい床、床面の凸凹

照明:暗い照明、急速な照明変化

履物・衣類:不適切な履物(スリッパ・サンダルなど)、足が引っ掛かりやすい衣服

障害物:電気のコード、通り道の障害物

ベッドルーム:ベッドの不適切な高さ、ベッド周囲の家具の不適切な配置

(市橋 則明:運動療法学―障害別アプローチの理論と実際:文光堂:2014)


※関連記事
関連:転倒予防のエビデンス
関連:転倒と薬剤の関係
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転倒予防のエビデンス

地域在住高齢者の転倒予防のための介入方法に関するコクラン・システマティックレビュー2009年版においてエビデンスが述べられています。

①グループエクササイズによる複合的な運動介入には転倒予防効果がある。
→相対リスク:0.83

②太極拳には転倒予防効果がある。
→相対リスク:0.65

③在宅での個別運動介入には転倒予防効果がある。
→相対リスク:0.77

④ビタミンDを摂取しても転倒を予防する効果は認められない。
→相対リスク:0.96

⑤環境整備には転倒予防効果は認められない。
→相対リスク:0.89

⑥滑りにくい履物には転倒予防効果は認められる。
→相対リスク:0.42

⑦抗精神病薬の中断には転倒予防効果がある。
→相対リスク:0.34

⑧頚動脈洞過敏症を改善することで、転倒予防効果ある。
→相対リスク:0.42

⑨白内障の治療には転倒予防効果がある。
→相対リスク:0.66

上記のとおりとなり、特に①、②、③はセラピストが率先して行うようにしていかなければなりません。

太極拳は最近、転倒予防効果があると言われるようになってきていますが、臨床の現場で、そのまま実践するのは難しい所もあると思います。太極拳の運動特性を含んだ簡単なオリジナルの体操を行っている地域も多いようです。

興味深いのは⑤ですが、環境整備だけでは転倒予防効果はほとんどないということです。必要なことは、環境整備に加えて、運動介入などによる包括的な介入であり、それが転倒予防効果を向上させるとのことでした。

病院から退院して在宅での自立した生活を行う上で、転倒を未然に防いでいく必要が臨床では大切になってきます。

(市橋 則明:高齢者の機能障害に対する運動療法―運動療法学各論:2010)

摂食・嚥下

起立性低血圧とは、起立時に収縮期血圧が20mmHg以上、または拡張期血圧が10mmHg以上下降することと一般的には定義されます。

高齢者での起立性低血圧の出現頻度は、1日に2回以上、1日1回、全くなしがそれぞれ1/3程度いるとされています。

40のナーシングホームに居住する844例の高齢者(すくなくとも1分以上体重を支えていられるという条件)を対象にベースラインで1日4回、食事前後の血圧を測定し、平均1.5年間の転倒の有無を追跡した結果、過去6ヶ月間に転倒の既往があるものは、起立性低血圧と転倒が有意に関連し、複数回起立性低血圧を示したものでは2.6倍の転倒再発リスクを示しました。

食事は消化機能を活発にし、副交感神経を刺激します。食後の収縮期血圧(最高血圧)が食前よりも20mmHg以上低下する場合には、食後低血圧の可能性が高いといえます。

食事後低血圧は一般的に、個人差はありますが、食後30分~1時間程度で出現すると言われます。

さらに食事後の姿勢変化によって、起立性低血圧が食事摂取後の低血圧と相加的に出現することがあるとされています。

臨床の現場では、食事後の歩行や立位などは転倒のリスクがあるという事を認識し、食後しばらくは休憩をとったり、食後低血圧を起こさないようにゆっくり食べるように促していくことも大切になるかと思われます。

(泉キヨ子:エビデンスに基づく転倒・転落予防 (EBN BOOKS):2005)


※関連記事
関連:転倒における内的因子と外的因子
関連:転倒予防のエビデンス
病棟内で転倒をされる方、在宅・施設において転倒を起こしてしまう方おられますが、「薬剤」が転倒を引き起こす重大なリスクファクターであるように思います。
服薬している薬剤を考慮して病棟内移動や、環境整備の工夫などの早急な対応がかなり重要となってくるかと思います。

Rubensteinらは抗うつ薬を服薬している者では、していない者よりも2.4倍転倒しやすいとしている。


○薬剤の組み合わせと転倒の関係
NSAIDS+安定剤/睡眠薬(抗不安定薬を含む)・・・8.3(オッズ比)
抗うつ薬+安定剤/睡眠薬・・・6.9
抗うつ薬+心疾患薬(強心薬、抗不整脈薬)・・・5.7
抗うつ薬+血管拡張薬・・・5.2
NSAIDS+血管拡張薬・・・5.2
抗うつ薬+利尿薬・・・4.3
心疾患薬+NSAIDS・・・3.4
利尿薬+NSAIDS・・・3.0
心疾患薬+安定剤/睡眠薬・・・2.7
安定剤/睡眠薬+利尿薬・・・2.4

利尿薬+NSAIDS+安定剤/睡眠薬・・・17.8
心疾患薬+NSAIDS+安定剤/睡眠薬・・・13.4
心疾患薬+NSAIDS+血管拡張薬・・・13.4
抗うつ薬+心疾患薬+利尿薬・・・10.5
利尿薬+NSAIDS+血管拡張薬・・・8.3

(Granec E et al:Medications and diagnoses in relation to fall in a lon-term care facility,1987)



以上の報告から、2剤よりも3剤の組み合わせで転倒リスクが増大しており、特に「利尿薬+NSAIDS(非ステロイド性抗炎症薬)+安定剤もしくは睡眠薬」の組み合わせで最も転倒リスクが高くなったとしています。

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