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体幹筋

腹横筋はインナーマッスルの一つとして知られていますが、後方では胸腰筋膜に付着して、腹腔内圧に関与すると言われ、上肢・下肢の運動に先行して収縮するなどの特徴があります。

健常人はもちろん、運動器疾患、脳血管疾患の患者さんにも共通して言える事ですが、腹横筋の機能が向上する事で体幹・骨盤帯の安定性を向上する事ができ、四肢運動の安定化、日常生活活動やスポーツにおいてパフォーマンスの向上が期待できると言われています。

腹横筋研究は主に超音波診断装置をが使用されており、腹横筋の筋厚が増大する事は腹横筋収縮を意味しています。

まず、腹横筋の触診ですが、腹横筋は上前腸骨棘(ASIS)の2横指内側の部分が1番触診しやすい場所です。その場所を指で押さえ、深呼吸をしてもらうと奥の方でわずかに横にスライドするような感覚があると思いますが、それが腹横筋の収縮です。大きく手前に張りだすような筋の張力の高まりは内腹斜筋の緊張なので、間違えないように注意します。

腹横筋を単独で収縮させる場合は、骨盤底筋群を収縮させると良いです。コマンドとしては、男性の場合は「精巣挙筋を上にあげる様な感じ」、女性の場合は「腟を上に引き上げる様な感じ」で収縮を入れると、筋連結により腹横筋を単独で収縮させることができます。ただ、この方法は収縮感覚が分かりにくいので高齢者などには難しいと思われます。

そして、腹横筋の収縮が確認できたら、次に骨盤帯が十分に固定(stability)できているかを評価します。

下図のようにSLR(下肢挙上運動)を行い、下肢がどの程度上げられるのかと、下肢挙上時の骨盤の後方回旋が生じているのかの評価をします。

骨盤帯固定性の評価

例えば、右下肢挙上をした際に右の骨盤後方回旋が生じているが、左下肢を挙上した際よりも後方回旋が強い場合は、左の腹横筋の機能低下と判断します。

これは、一側下肢の挙上で反対側の腹横筋が働くためです。

この評価により、左右どちらかの腹横筋の機能低下が生じている場合、その腹横筋に対してエクササイズをしていきます。

(福井 勉:ブラッシュアップ理学療法―88の知が生み出す臨床技術:三輪書店:2012)


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臨床上、脊椎圧迫骨折を呈している患者さんは非常に多いです。学生が臨床実習で担当することも多い疾患であると思いますが、どのような治療アプローチを行っていけばよいのでしょうか?どのような事に気をつけて運動療法をしていけばよいのでしょうか?

転倒による受傷で、腰背部痛に加え、下肢の易疲労性尿失禁が増えたりという症状がでます。

圧迫骨折は椎体の骨折であり、圧潰率により楔状椎型・扁平椎型・魚椎型に分けられます。

圧迫骨折の好発部位は胸腰椎移行部(第11胸椎~第2腰椎)です。

骨粗鬆症があり、それによって脊椎圧迫骨折が起こっている場合、胸腰椎移行部で多発性に圧迫骨折を起こしている患者さんも多いです。これにより、胸椎後弯が増強し脊柱全体が後弯変形してCカーブの背中になっていきます。

脊柱の後弯変形の何がいけないかというと、後弯変形は下肢関節にも影響を与え、変形性関節症の進行や要因になったりします。

例としては、脊椎後弯変形により、骨盤が後傾し、大腿骨頭の前方被覆面積が減少し、骨頭への局所的な関節応力が増大することで変形性股関節症を発症するという報告もあります。

また、脊柱後弯になることで、重心が後方偏移し大腿直筋が過剰に働くこととなり、筋の易疲労性が出現するととなります。

次に、症状としてなぜ尿失禁が起こるかという事に関しては、特に第12胸椎-第1腰椎を含む重篤な圧迫骨折の場合、椎体後方の脊柱管にある第2~4仙髄が損傷して、反射性尿失禁を起こすことがあります。

一方で腹圧性尿失禁の場合は、骨盤底筋群の弛緩によって起こっています。これは、妊娠・出産、加齢、肥満などが原因となりますが、胸椎後弯変形が生じている方の場合は、骨盤底筋群が伸張されている状態になりやすいため、機能低下が起こる場合があります。そういった方には骨盤底筋群へのアプローチが必要になってきます。

脊柱圧迫骨折がADL上において、トイレ動作や排泄コントールの面で自立できない方も中にはおられると思います。骨盤底筋群のエクササイズにより症状が改善するものなのか、反射性尿失禁と考え、オムツでの対応としていくのか、方略はセラピストがどのように評価していくかによります。

そもそも、脊椎圧迫骨折後の治療としては保存療法が選択されることが多いです。

一般的には約4週間の体幹ギプス固定後、約8週間の硬性コルセットの装着を行います。

では、外固定期間中のリハビリテーションは何をすればよいのでしょうか?

外固定期間中は、骨癒合促進と脊柱後弯変形予防が大切になってくるために、脊柱の運動をできるだけ行わないような肢位やトレーニング方法を選択しなければいけません。

例えば、椎体の前面が圧潰した方が、脊柱後弯の姿勢をとると椎体前面のさらなる圧潰のリスクがあるために、注意します。

また、脊柱を運動させずに行う等尺性収縮運動での最長筋や、腸肋筋の訓練も重要であるが、圧迫骨折後では腰椎前弯が減少しているために、脊柱の安定化を図るため、local muscles(ローカルマッスル)に対する筋力訓練が必要になります。

local musclesに対するアプローチとしては、多裂筋、骨盤底筋群、腹横筋、横隔膜に対して訓練を行っていきます。

特に外固定をしている間は脊柱の大きな動きも制限されているために、多裂筋・腹横筋の分節間の運動は促しやすいので、積極的に行うことが大切です。

外固定終了後の骨癒合後のアプローチとしても、腰背部痛と脊柱後弯変形の予防を考えていかなければなりません。

腰背部の筋スパズムに対してリラクゼーションを適度に行う事が大切になってきます。

(工藤 慎太郎:運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学:2012)

背部痛を呈している方は多い。その痛みが胸椎部にある場合において

原因としては・・・
・腰椎の可動性の低下
・頭部の前方変位


これらによって、痛みが出現している事が予測されるため、評価を行います。

まず、動作時に腰椎の可動性が低下していないか評価します。(屈曲・伸展・側屈)
また、胸椎に対する頭頚部のアライメントに異常がないか評価します。

○腰椎の可動性が低下している場合
★腰椎の可動性及び安定化改善エクササイズ
・・・①長座位でお尻歩きをするように骨盤運動を促します。頸部・体幹が左右に大きく揺れないように気をつけて、殿部を交互に前方にずらしながら前に進みます。
・・・②端座位で骨盤前後傾を促し、腰椎の屈曲・伸展を促します。

○頭頚部が前方変位している場合
★アライメント改善
・・・壁を背にして立ち、後頭部を壁につけ、顎を引きこむように頸部屈筋群を収縮させ、後頭下筋群を伸張するように行います。

(武富由雄、市橋則明:理学療法プログラムデザイン〈2〉ケース別アプローチのポイントと実際;2012)

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