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脳卒中の発症

脳梗塞とは文字通り、脳の血管の一部が詰まり血流が途絶える事によって、脳細胞が壊死してしまう病気です。

脳への血流が途絶えてしまう事で、酸素と栄養(グルコース)の供給ができなくなってしまう事により脳細胞が壊死してしまうのです。

血流が途絶えてしまった部分の血流に対してさらなる障害悪化とならないように、脳梗塞後の脳血流維持のために考えるべき3つのポイントがあります。

「ペナンブラ」と「脳循環自動調節能」と「脳浮腫」の3つです。

○ペナンブラ

ペナンブラ

学校で習ったことはあると思いますが、「ペナンブラ」とは正常脳細胞と壊死した脳細胞の境界領域の事を言います。

この領域がなぜ大事かというと、ペナンブラ領域の血流がケアにより復活もしくは維持される事によって、神経機能の回復が再開される領域だからです。この部分の血流がストップしてしまうと、たちまち脳細胞の壊死が拡大してしまいます。そうならないように脳血流が十分に保たれるようにアプローチしていく必要があります。

○脳循環自動調節能

ペナンブラ領域の血流を救う為に重要な考え方として、「脳循環自動調節能」があります。

脳循環自動調節能

脳循環自動調節能とは、血圧が上昇したり低下したりして変動しても、脳の血管はそれに合わせて収縮や拡張によって変化し脳血流量を一定に保とうという働きがあります。この働きを脳循環自動調節能(autoregulation:オートレギュレーション)と言います。

正常な人では上のグラフのように、横軸が血圧ですが平均血圧60~160mmHgの範囲では脳血流は一定に保たれています。高血圧の人は自動調節能のグラフは右にシフトします。

それに対し、脳梗塞の発症後は自動調節能が破綻しており、血圧の変動によって脳血流量が変化してしまいます。特に発症後は、離床による血圧低下によってペナンブラ領域への血流量が低下していないか注意が必要です。

特に急性期は安易に積極的離床を進めず、離床の段階をチームで検討しなくてはなりません。

一般的な脳梗塞後の脳循環自動調節能の破綻期間は以下に示します。こういった期間を過ぎると脳循環の自動調節能は回復してきます。障害のタイプにより期間は異なっています。

脳梗塞の自動調節能の破綻期間

○脳浮腫

脳浮腫とはいわゆる脳がむくんでいる状態の事であり、脳の細胞内・細胞間質に液体がたまっている状態の事を言います。

脳浮腫は脳圧を亢進させ、脳ヘルニアの引き金になるため、注意が必要です。

脳圧とは頭蓋内圧とも言い、通常は60~180mmH₂Oで保たれています。

脳圧を決定する因子は脳実質、脳脊髄液、血液の3つですが、通常頭蓋内での割合は8:1:1(脳実質:脳脊髄液:血液)です。このバランスが崩れると脳圧が亢進します。

そもそもなぜ脳浮腫が起こるかというと、脳出血や脳梗塞後は、血液脳関門(BBB)という有害物質の侵入を阻止する警備員の様な働きをするシステムが破綻します。そうなると、普段は通過できないナトリウムイオンアルブミンなどが通過してしまいます。

細胞間質にナトリウムイオンやアルブミンが流れ込む事で、浸透圧による濃度勾配が起き、血漿中の水分が細胞間質に流れ込み、脳浮腫が生じます。

こういった脳浮腫が生じ、脳圧が亢進すると脳圧亢進症状(頭痛、悪心、嘔吐、うっ血乳頭、意識障害、瞳孔不同、対光反射の減弱、消失、呼吸の変化、クッシング現象)が出現します。

(飯田 祥、黒田 智也、久松 正樹、野々村 雅文、曷川 元:離床への不安を自信に変える脳卒中急性期における看護ケアとリハビリテーション完全ガイド (Early Mobilization Mook):慧文社:2015)


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lateropulsion ブログ用

lateropulsion(ラテロパルジョン)という現象を聞いた事があるでしょうか?lateropulsionとは側方への突進現象の事をいい、不随意的に一側に身体が倒れてしまう現象の事を言います。

立位姿勢を観察すると一見、pusher症候群と区別がつきませんが、pusher症候群とは異なります。

pusher症候群と違うのは、pushingの場合、非麻痺側の上下肢が突っ張って押してしまったり、姿勢を正中位に他動的に修正した時に抵抗がありますが、lateropulsion(ラテロパルジョン)の場合は抵抗なく姿勢を正中位に修正できます。

臨床においては、あまり遭遇する場面がないと思われますが、lateropulsionは延髄外側部梗塞にて出現するWallenberg(ワレンベルグ)症候群の一つとしてよく知られています。学会での症例報告も見かけます。

延髄外側部梗塞では、Horner症候群(眼裂狭小、瞳孔縮小、発汗減少など)、損傷と同側の顔面と反対側の上下肢・体幹の感覚解離(温痛覚障害)、同側の小脳失調、構音障害、嚥下障害、嗄声、眼振、眩暈、嘔気などをきたすWallenberg症候群が出現します。またこの疾患においては、錐体路は延髄の腹側を通っているので、随意運動は障害されません。

lateropulsionの責任病巣としては、背側脊髄小脳路外側前庭脊髄路の障害が原因だと言われています。

背側脊髄小脳路は、同側の下肢と体幹からの無意識的な固有感覚の情報が伝達される経路です。

外側前庭脊髄路は、同側の体幹と下肢の伸筋群(抗重力筋)の活動を高め、筋トーヌスを亢進させる経路です。歩行時は特に、軸足になる方の下肢の大腿四頭筋の運動ニューロンの活動が高まります。

このメカニズムを考えると、障害側と同側に体が傾く理由も納得ができますね。

lateropulsionに対する理学療法としては、視覚情報入力を利用したアプローチが難しいため、体性感覚のうち、意識されない体性感覚でなく、意識される知覚(触覚、圧覚情報)を利用してアプローチしていくことが良いと考えられています。

感覚情報を強く意識させて、立位保持を獲得させてから、段階的に歩行訓練に展開していく事が望ましいと考えられます。

(原 寛美,吉尾 雅春:脳卒中理学療法の理論と技術:2013)

脳血管障害後の片麻痺患者さんで、動作獲得を目指す上では、動作ごとに難易度が異なってきます。

臨床の現場において、いきなり難しい課題を行うと、健常者とは異なり、動作獲得できずにモチベーションが低下してしまう可能性があります。やはり、基本動作訓練は段階的に難易度を上げていく必要があると思われます。

下の表は、片麻痺患者さんにおける動作獲得の難易度です。

片麻痺患者の動作の獲得難易度 ブログ用

一見すると難しそうな課題でも、難易度では低い場合もありますので、その点も考慮して、リスク管理を行いつつ、動作課題を決定していく必要があります。

(解良 武士、玉木 彰、石川 朗:運動療法学 (15レクチャーシリーズ 理学療法テキスト):2014)


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今日の脳卒中リハビリテーションは、明確化されてきているエビデンスを根拠とした治療理論をもとに、臨床へ導入するよう求められるようになってきました。

脳卒中のリハビリテーションを行うにおいて、この時期にこういう事をしなければならない、この時期にはこれをしてはならないという最新の知見をセラピストは常に頭に入れておかなければなりません。

今回紹介する最新の必須の知見は、以下の3つです。

①critical time windowの概念
②運動麻痺回復のステージ理論
③運動麻痺の回復を阻害するワーラー変性と痙縮

今日、脳卒中発症後早期からのリハビリテーション介入が運動麻痺の改善を左右することがよく言われています。

Wagenaarらによると、発症後1週間以内に、1.5倍量のリハビリテーションの介入群に運動麻痺の改善が有意に優れ、その効果が12カ月持続することが明らかになっています。

特に、上肢の機能改善では早期介入と強度だけでなく、どのようなリハビリテーションプログラムを実施していくかによって機能回復の程度が変わってきます。

例としては、虚血性脳梗塞を生じたリスザルの実験で、発症後特別な訓練を実施しなければ、1ヶ月後には手指の運動野支配領域は50%以上減少したが、健側手を拘束して患側手の使用を促す方法(CI療法)を実施したリスザルは手の支配領域の減少を阻止しうることが明らかにされています。

このことから、急性期よりどのようなリハビリテーションプログラムを実施するかが問われてくる時代となりました。

①critical time windowの概念

動物の虚血モデルの実験において、リハビリテーションの介入時期が早いほど、シナプスや樹状突起の再生などが有意に認められています。脳梗塞発症後の数週間以内では損傷部位で組織的な修復がされており、この時期の介入は運動麻痺回復に向けて効果的だと言われています。

反面、発症1カ月以後からの遅延リハビリテーション介入では、手指の運動野支配領域の萎縮を取り戻せないことが明らかになっています。

このことから、脳梗塞発症の初期の2週間から3週間以内の期間が、運動麻痺の回復の予後を左右する時期だとして、critical time windowと言われています。

多少の個人差は認められますが、critical time windowの時期に効果的なリハビリテーション介入の必要性があり、この時の逸した介入は運動麻痺回復を最大限に引き出すことを不可能にしてしまいます。

②運動麻痺回復のステージ理論

運動麻痺回復のステージ理論(Swayne:2008)は脳卒中後の機能回復のメカニズムを、3つのステージに分類して説明したものです。

運動麻痺回復のステージとメカニズム ブログ用

まず、脳卒中直後の急性期に始まる皮質脊髄路を刺激しその興奮性を高めることで麻痺の回復を促進する時期(1st stage recovery)です。

これは急速に減退して3カ月までには消失してしまいます。原因は損傷皮質脊髄路に進行するワーラー変性です。これについては後述します。

この1st stage recoveryの時期には、皮質脊髄路の興奮性を効率的に刺激するリハビリテーションを行う事が良いとされています。

例としては、ミラーセラピーがあります。ミラーセラピーとは健側肢をミラーに写し、そのイメージを視覚的に学習し、患側肢の運動イメージとして知覚して麻痺肢の随意性を取り戻すというものです。この治療は患側一次運動野からの皮質脊髄路を刺激することが明らかにされており、発症から3カ月以内の期間は皮質脊髄路の興奮性を高める事が期待されます。逆に、4カ月以降は理論上では効果はあんまり期待できません。

他にも、1st stage recoveryの時期には、電気刺激が有効とされています。電気刺激によって残存する皮質脊髄路の刺激と、体性感覚入力の増加が期待できます。電気刺激の施行時間は30分と60分で有意差はありませんが、最低30分主要な麻痺側上下肢に実施するよう勧められています。

そして、次の回復のステージは、皮質間の新しいネットワークの興奮性に依拠する時期(2nd stage recovery)で、3カ月をピークに再構築されます。この時期は皮質間の抑制が解除されることで機能します。ただ、この抑制の解除も6カ月までに消失してしまうために、それまでに2nd stage recoveryでは皮質間の再組織化を促すリハビリテーションプログラムが必要になってきます。

最後の回復ステージは、シナプス伝達が効率化されることによって、出力ネットワークが一層強化される時期(3rd stage recovery)です。これは6カ月以降も持続して徐々に強化される機能です。

この時期には、出力ネットワークの再構築がされるようなリハビリテーションプログラムが必要となります。

この3rd stage recoveryの時期に有効なリハビリテーションとして、経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いた集中リハビリテーションがあります。健側大脳半球運動野に対して、経頭蓋磁気刺激にて抑制を行う事で、運動機能の可塑性を引き出すpriming効果を生じさせた所に、集中的なリハビリテーションを行うというものです。臨床の場面では、このような機器がある施設は限られてくるので、実施は難しいですが、東京慈恵医科大学では慢性期患者の機能改善に効果を確認しています。

③運動麻痺の回復を阻害するワーラー変性と痙縮

急性期からの運動麻痺回復の過程において、2つの阻害因子が明らかにされています。

一つは、病変部位から下降する皮質脊髄路に生じるワーラー変性で、皮質脊髄路の興奮性が急性期から3ヶ月で消失してしまうのも、ワーラー変性の進行によるものと考えられています。しかし、現在それに対するリハビリテーションの介入を含めた検討の報告はありません。

二つ目は、麻痺肢に生じる痙縮の発現です。

痙縮のメカニズムとは、発症後の麻痺肢は筋が短縮位でのポジショニングがなされ、その状態での不動化によってさらに筋線維の短縮が助長され、筋線維は結合組織と脂肪組織への置換が生じてきます。その結果、骨格筋の粘弾性は失われて、筋紡錘の興奮性が増大します。そのために、深部腱反射の亢進が具現し、筋の過活動状態である痙縮をつくりだしてしまいます。

痙縮に伴い、骨格筋の変性、麻痺肢の不使用、不動化も生じてくると、拘縮へと伸展します。

これは避けなければいけません。

こうならないために、麻痺肢における深部腱反射の亢進を初期のwarning signと考え、急性期の段階からモビライゼーション、麻痺肢を短縮位にしない肢位、可能であれば電気刺激や、ボツリヌス治療など痙縮に対する介入が必要になってきます。

(原 寛美,吉尾 雅春:脳卒中理学療法の理論と技術:2013)


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脳卒中後の片麻痺を有する患者さんに対する理学療法で何をしていくのか?という問題に関しては、その個人がもつ生活上の不自由をあらゆる方法を駆使して解消し、日常生活を送れるようにしていく事です。

そのあらゆる方法とは、ボバースや川平法、ブルンストローム法、PNF、CI療法など促通手技を用いてもいいですし、福祉用具や道具などで不足している機能を補う方法でもいいですし、デイケアや訪問リハビリなど社会資源を有効活用するよう指導してもいいですし、家族の協力が得られれば介入していただくよう指導する(自主訓練や介助方法など)のもいいですし、つまり理学療法で行っていくこととは、患者さんが生活できるような手助けをしていくことにあるのです。

そのためには、まずは脳卒中後の麻痺の機能の回復を考えていくことになると思いますが、麻痺の回復だけに固執するのではなく、基本動作の実行可能性を最優先に考えていくことが大切です。

これより、運動療法の優先順位は、

①抗重力位姿勢への変換

②筋収縮を伴う運動

③筋収縮を伴わない運動

④基本動作訓練

⑤ADL訓練

となり、これを基本に医学的許容範囲や重症度を考慮しながら対処していくこととなります。

◎抗重力位への変換

抗重力位とは、座位、立位、歩行のいずれかの姿勢となりますが、ベッドサイドで臥床にある方は座位保持、状況に応じて立位保持へ、リハビリ室で行える方は立位・歩行へと進めていきます。どの姿勢を取るかは医学的許容範囲や重症度を考慮しながら実施していきます。

抗重力位姿勢の実行を阻害する因子はさまざまありますが、斜面台や補装具や人的介助を用いて血圧調節機能への刺激、非麻痺側下肢使用による廃用症候群の回避という目的で抗重力位にしていくことが重要です。

重症な片麻痺患者さんの場合、抗重力位への変換は重力負荷を加えることであり、起立性低血圧などの循環機能不全というリスクを伴います。実施する際にはバイタルサイン(脈拍、血圧、呼吸状態、自覚症状、顔色など)の反応を確認しながら進めていきます。

◎筋収縮を伴う運動

いわゆる筋トレのプログラムとなります。

片麻痺の患者さん全てにおいて非麻痺側、麻痺側のどちらも筋力トレーニングの適応となります。

非麻痺側の場合は、トレーニング基礎理論が当てはまり、負荷量、頻度の組み合わせで、筋力・持久性・運動協調性への効果をもたらします。

麻痺側の場合は、麻痺の重症度、随意性の有無、中枢性麻痺に伴う症状などが関与します。健常筋とは異なっており、神経再教育という目的で神経生理学的アプローチファシリテーションテクニックを適応する場合があります。

◎筋収縮を伴わない運動

いわゆる関節可動域訓練になります。

片麻痺者の関節可動域制限は筋緊張亢進による筋短縮であるために、伸張反射を抑制する持続的伸張が有効です。

◎基本動作(起居移動動作)訓練

まずは安全な病棟での生活を実現していくために必要不可欠な練習となります。特にベッド周囲での立ち上がりや移乗では転倒のリスクが高く、介助量の負担も大きくなりやすいために、安全で確実な動作の獲得をしていく必要があります。

◎ADL訓練

理学療法において「できるADL」を最大限に能力を引き出し、病棟生活の中では安全に行える「しているADL」を設定していきます。

例えば、ADL動作で多い静的立位や動的立位の安定性を評価し、日常生活でどのくらい行えるかをセラピストが判断し、病棟スタッフに確認しながら、ADL拡大をしていくことが望ましいと思います。

◎補装具の検討と活用

補装具は患者の能力に応じて適切に選択します。立位や歩行を補助するためのものです。

(細田多穂:中枢神経障害理学療法学テキスト (シンプル理学療法学シリーズ):2014)


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