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学習段階とそれに応じた介入の方法 ブログ用

一般的に運動学習の段階としては、

①認知段階(cognitive stage):「何をするのか」
②連合段階(associative stage):「どうやって行うか」
③自動化段階(autonomous stage):「いかにうまくやるか」

の3段階に分かれます。

患者さんが訓練を開始し、自分の運動がうまくいっているかどうかのより所とするものの1つに、フィードバックがあり、大きく2つに分けられます。

外在的フィードバック:患者さんの外部から与えられるフィードバック

内在的フィードバック:患者さん自身が運動して得られる視覚、聴覚、触覚、固有感覚などによるフィードバック

また、外在的フィードバックはさらに2つに分けられます。

結果の知識(KR:knowledge of results)
例:立ち上がりが成功したかどうかの結果の情報や、歩行のタイムを計測した時の結果の情報、また、起き上がりが介助なしでできた時、歩行が介助なしでできた時、「今、介助なしでできましたね。」という声掛けを患者さんにしたとすると、これもKRとなります。

パフォーマンスの知識(KP:knowledge of performance)
例:歩行時につま先が下がっている状態の時に、「つま先が下がっていますよ」という声掛けや、立ち上がりの時に「もう少しおじぎを深くして立ち上がりましょう」という指導はKPの情報です。また、自分の運動をビデオで撮影しておいて、後から見るというのもKPの一つです。

練習の組み方として、分散法集中法一定練習多様練習があります。

分散法:休憩を長くとる、もしくは頻回に休憩をとる事です。

集中法:訓練試行間の休憩をかなり短くする事です。

一定練習:1つの課題に関して単一のパターンで行う練習の事です。

多様練習:様々なバリエーションを含む練習の事です。

以上の事からまとめると、訓練中に行う運動課題の方向性としては、

①認知段階
この段階では、運動課題を十分に理解し、動機づけを持続させるように注意します。つまり、この段階では教示やハンドリングはすごく重要になってきます。また、身体を使わないで運動をイメージさせながら行うメンタル・プラクティスもこの時期には有効です。

②連合段階
この段階は認知段階で理解した運動課題を修正しながら、一貫したものに仕上げていく段階です。この段階はエラーもだんだん少なくなってきているので、安定して効率の良い運動が行えるようにしていきます。外在的フィードバックは徐々に減らしていきます。内在的フィードバックも視覚から少しずつ固有感覚へと移行していきます。また、この段階から異なる環境下においても、自分で調整・修正を加えて、課題を解決する能力を習得していきます。

③自動化段階
この段階の外在的フィードバックは、明らかに間違えているような時に行い、原則的にはフィードバックは与えません。課題は、さまざまな環境や課題のバリエーションを試みていきます。動作課題の速度、距離、複雑さを加えて難易度を上げていきます。課題は患者さんが関心度が高いものが良いとされます。この段階は、患者さんの自己管理能力はかなり進歩している様な状態です。患者さんに自分でどんどん動いてもらうようにしていくのが良いでしょう。

(柳澤 健:運動療法学 改訂第2版:2011)


(中山 孝:理学療法基礎治療学〈1〉運動療法―コアカリ準拠 (ビジュアルレクチャー):2012)


姿勢鏡

身体図式(body schema)身体イメージ(body image)について、耳にされた事があるかと思います。いわゆるボディースキーマボディーイメージですね。

臨床において、体幹や頸部の側屈を修正した際に患者さんが、「ここがまっすぐですか?分からんもんですねぇ。自分はもっとこっちがまっすぐだと思っていました。」などという発言を聞いたことありませんか?

この状態は、例えば長年の不良姿勢の蓄積によって、筋・筋膜の長さや歪みとして体幹側屈などの変化が生じ、身体図式も同じように歪んできてしまっている状態です。一方、身体イメージは意識的なものなので、客観的に体幹側屈している人でも、本人は体幹がまっすぐ伸びていると思い込んでいる状態です。

①身体図式

身体図式という概念は1911年にイギリスの神経学者のSir Henry HeadとGordon Holnesによって提唱されています。

Headによると、身体図式は「自分の身体の姿勢や動きを制御する際にダイナミックに働く無意識のプロセス」と定義しています。

普段我々は日常生活を行う時に、関節の角度や筋出力、床反力や位置関係を意識することはありません。これらを意識して動作をしようとすると我々の脳はパンクしてしまいます。このような身体に関するフィードバック情報は頭頂葉にて統合されてできたものが身体図式です。

この機能があるために、普段の動作にてその時々の身体の状況を意識しなくても、無意識的に動作が滑らかに遂行できるのです。

身体図式の機能局在は前頭-頭頂連間にあるとされています。

詳しく言うと、身体図式の生成は、体性感覚情報背側経路からの視覚情報運動野からの遠心性コピー(※ちなみに、運動制御において運動の指令は運動野に送られるだけでなく、その信号のコピーが感覚野にかえってくると考えられています。これを運動野からの遠心性コピーと言います。)などの情報が集まり、それらが統合される頭頂間溝で行われます。

身体図式はヒトの成長に合わせて変化し続け、成人になってからもケガや関節変形にて変化する感覚情報にてリアルタイムに更新し続けています。

つまり、臨床において我々セラピストが患者さんに触れること、つまり感覚入力を促し、身体図式を経由して運動を変化させていくことが必要になります。

例えば、動作時に固定部位がある部分に存在すると、動作時はそこは動かない部位になるので、身体図式も「動かないものだ」とそのようになってしまいます。つまり、歩行時に二―ブレイスを膝に巻いた状態で歩こうとすると、足が振り出せないので、体幹を側屈させたり、骨盤を挙上させてあるこうとすると思います。これが続くと、膝が曲がらないという身体図式になってしまうのです。

②身体イメージ

身体イメージは、オーストラリア系アメリカ人の神経学者Paull Schilderが1935年に導入した用語です。

身体イメージは、「自分自身の身体について意識的にもつ表象」と定義されています。

つまり、「自分はこうあるはずだ」という印象をつくりだしていて、それは何かの情報を得る時の予測になります。

脳卒中の方においては、「自分はこうあるはずだ」という予測と思い込みによって、新たな視点で物事を見ることができなくなってしまい、片麻痺患者さんが感じている現実は、実際の現実とかけ離れている可能性があります。

例えば、脳卒中の初期に麻痺側の異常な重量感や、麻痺側を動かす際によりどころのなさなど今まで経験したことのないような感じのことです。この時、非麻痺側は正常と感じ、非麻痺側に依存した非対称的な姿勢をとりやすくなるのです。

患者さんの非対称的な状態をセラピストが他動的に修正しても、感覚情報に対して身体イメージが感覚入力を歪めてしまっているので、患者さんは「これはおかしい。まっすぐではない。」という感じを受けてしまうのです。

このような状態にしないためにも、臨床においてセラピストは急性期の段階から麻痺側からの体性感覚や前庭感覚や視覚からの入力を十分に行い、身体図式にアクセスしながら、正しい身体イメージに導いていく必要があります。

身体イメージの機能局在は左側頭葉にあると言われていますが、いろいろな考えがあります。

脳卒中の方だけでなく、摂食障害の方も身体イメージが歪んでおり、鏡に映った自分は実際には痩せているのに、身体イメージによる視覚情報の歪みにより自分はまだ太っているように感じるという方もおられます。

(舟波 真一、山岸 茂則:運動の成り立ちとは何か―理学療法・作業療法のためのBiNI Approach:2014)


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