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運動失調とは何なのでしょうか?

運動失調とはどのような状態の事を言うかというと、「運動麻痺が無いにも関わらず、筋が協調的に働かないがために、円滑に姿勢保持や運動・動作が遂行できない状態」を言います。

具体的に、臨床ではどのような状態の事かというと、

水が入ったコップを持って飲もうとすると、腕がガクガク震えて水をこぼしてしまった。

文字を書こうとしても、ペンはしっかり握れているのにミミズが這ったように震えた字になってしまう。

歩行器で歩いていると、気をつけているつもりだが足を歩行器にぶつけてしまう。

下肢の筋力はしっかりあるが、独歩で歩くとフラフラしていつ倒れるか自分でも分からない感じがする。

左手で味噌汁の椀を持っていたが、食事しながらずっと支えておく事が出来ずこぼしてしまった。

階段を登る時に、つま先が階段に不意にぶつかって引っかかり前のめりに転倒しそうになるため、手すりを離す事が出来ない。

以上の現象は運動失調患者さんの一例です。運動失調の程度にもよりますが、このような症状が続くとADLが著しく障害される事が分かります。

こんな事が続くと考えただけでもイライラしそうですね。

運動失調を評価する前にまず大切なことは、不全片麻痺によって動かしにくいのか、運動失調によって動かしにくいのか判別していくことです。

ポイントとして運動失調だけでは無いかもしれないと言う所です。

脳血管障害の患者さんなどで放線冠、内包、視床、大脳基底核、橋などの病変では運動失調不全片麻痺(AH)と言って不全片麻痺と運動失調が同時に見られる事があります。

視床出血や橋梗塞の患者さんで、麻痺に加えて失調が生じるケースは非常に多いです。

この時、片麻痺が重度な場合は運動失調の症状はマスクされてしまうため、最初の評価では失調様の症状が少なかった印象なのに、片麻痺が改善してくる過程でだんだん失調様の症状が表面化してきてくる事があります。

理学療法のアプローチを行う際には、何の原因に対してアプローチするのか(運動麻痺に対してなのか、運動失調に対してなのか)が変わってくるので、患者さんが動作遂行しにくい原因をセラピストがまず考察していかなければなりません。

まずは、運動麻痺の評価です。

そして運動失調がメインだなと判断したら、今度は何性の運動失調かを考えていきます。

運動失調は大きく4つに分類されます。

①小脳性運動失調

<評価>
・深部感覚障害:陰性
・ロンベルグ兆候:陰性
・測定障害:陽性
・振戦:陽性(企図振戦)
・眼振:陽性
・深部腱反射:軽度低下
・歩行障害:酩酊歩行
・言語障害:陽性


<原因>
小脳や脳幹の血管性障害、小脳腫瘍、脊髄小脳変性症

②感覚性運動失調(脊髄後索性運動失調)

<評価>
・深部感覚障害:陽性
・ロンベルグ兆候:陽性
・測定障害:陽性
・振戦:陽性(粗大振戦)
・眼振:陰性
・深部腱反射:低下
・歩行障害:膝を高く パタンパタン
・言語障害:陰性


<原因>
脊髄腫瘍、変形性頚椎症、脊髄空洞症、多発性硬化症、末梢神経疾患、その他(代謝性疾患・感染及び変性疾患・中毒疾患)

③前庭迷路性運動失調

<評価>
・深部感覚障害:陰性
・ロンベルグ兆候:陽性〜±
・測定障害:陰性
・振戦:陰性
・眼振:陽性
・深部腱反射:正常
・歩行障害:ワイドベース、slow
・言語障害:陰性


<原因>
末梢前庭または前庭神経障害(前庭神経炎・メニエール病・感染性髄膜炎・膠原病・中毒など)、中枢神経系障害(多発性硬化症・脳幹梗塞・脳幹部腫瘍・小脳腫瘍・脳動脈瘤・高血圧性橋出血など)

④大脳性運動失調

<評価>
・深部感覚障害:陰性
・ロンベルグ兆候:陰性
・測定障害:陽性
・振戦:陽性
・眼振:陽性
・深部腱反射:一側亢進、病的出現反射
・歩行障害:動揺性歩行
・言語障害:脳局在による


<原因>
脳血管障害、脳萎縮、外傷、脳腫瘍、ピック病

以上のように評価と情報収集から、何性の運動失調なのかを見極めていきます。

そして今回は、臨床的にも多いと思われる小脳性運動失調に対するアプローチを記していきます。

◎小脳性運動失調に対するアプローチ

○従来から継承されている代表的な運動療法は実施してみて、効果があれば継続の価値あり

運動失調に対するリハビリテーションでは、従来から「重錘負荷・弾力包帯による圧迫・フレンケル体操・PNF・立ち上がりや立位の荷重負荷練習・視覚誘導によるバランス練習」が効果があると言われています。基本的には十分な評価の上、問題点を明確にして実施し、円滑な動作につながるようであれば良いと思われます。

ただ、注意する点はこの運動療法ばっかりを行うと、過剰なほどの代償や、過剰な練習量により疲労困憊にまで陥り、同時収縮が過多になり筋緊張が上がり、円滑な動作が逆に妨げられる場面もあるので、やりすぎには注意です。

○適切な感覚入力と、患者さんが課題に対してどこに注意を向けているかに気をつける

覚醒注意は感覚入力の調節や知覚に重要です。患者さんが適切な覚醒水準で能動的に課題に取り組む事がまず大事になってきます。患者さんをベッドに寝かせ、半分寝ている状態でセラピストが何をやっているか分からないような状態で足をひたすら動かしても何の感覚入力にもなりませんし、運動学習にも繋がりません。

例えば、大殿筋を賦活する目的でブリッジ運動を行なう際に、素早く動作を反復し、広背筋を始めとした同時収縮がバリバリの状態で重心がグラグラしながらのブリッジ運動をひたすら行なっても何の改善もありません。ただ患者さんは揺れを止めようと他の筋を動員するだけで疲れるだけです。

そこで、「骨盤と下肢が動揺しないように保持しながら、ゆっくりお尻を上げてください。ただその時は踵に体重がずっとかかったままです。」と言った課題を例えば与えた場合はどうでしょうか?患者さんは床と足底との摩擦の感じや、左右の下肢の荷重分配、どうやったら動揺しないように保持できるか目的の感覚に注意を払う事ができます。

大事なのは運動課題の設定は運動学的な要素だけではなく、運動の誤差情報の知覚と修正の観点からも工夫していく必要があります。

○適切な環境設定

立位時や、歩行時にグラグラして転倒のリスクのある患者さんは、何とかコケまいと同時収縮を強め、恐怖感を伴う代償固定を行います。過剰な代償動作をそのままにしておくと二次的な障害を生じてしまうこともありますので、環境設定により難易度を下げて動作しやすくしていくのも手段の一つです。

例えば、転倒のリスクがあれば歩行器や杖などレベルに応じて使用したり、ベッド周囲の環境もすぐつかまえることのできる家具を置いたり、手すりを設置したりします。

○運動課題の難易度に注意する

特に重度の運動失調患者さんでは、誤差の大きい課題からの運動学習は困難と言われています。運動課題の難易度設定は誤差が生じにくい簡単な課題から開始し、段階的に設定していく事が重要です。軽度の運動失調患者さんの場合は、当初大きな誤差が見られても、即時的に課題の難易度の適切な判断をするのではなく、ある程度の経過でパフォーマンスの改善度によって判断する事が良いとされています。

運動療法の原則としては以下の通りです。

1)運動のスピード:ゆっくり⇨徐々に早く
2)運動のパターン:平面的(単純)⇨立体的(複雑)
3)支持基底面:広い⇨狭い
4)運動の方向:単一方向⇨多方向
5)運動の範囲:小さい⇨大きい
6)重心の高さ:低い⇨高い


運動課題は徐々に難しくしていきましょう。

例えば、立位訓練も普通に立つ訓練から、徐々に足の幅を狭めた状態で立ってみたり、立位の状態で重心移動を前後左右にしてみたり、そこから上肢の運動を入れてみたり、いろんな方向にリーチしてみたり、ステップを出してみたりしながら歩行訓練につなげていけたら良いのではないでしょうか。

○近位関節への体性感覚入力も有効

グラグラ動揺が出現する時というのは、上下肢の遠位を動かす際に近位関節で過剰固定を強める場面が多いです。

こういった時に股関節や肩関節などに直接軽い接触刺激を与えた状態で、その箇所を意識的にリズミカルに動作させると、遠位部分の操作が円滑になり、近位関節での過剰固定を減弱させる事ができると言われています。

こういった体性感覚入力により動揺が軽減する場合もあるので、試してみる価値はあります。

○フィードバックからフィードフォワードへコントロールするための反復練習

フィードバック機構による運動学習(フィードバック誤差学習)を繰り返すことにより、フィードフォワード機構の再構築化を図る事ができます。動作を繰り返すことで動きを円滑化させ、日常生活が安定して行えるようにしていくことが大切です。

ある動作においての運動課題を、一連の動作として遂行できない場合は、運動をいくつかの動作に分けて行い、最終的に連続した運動として行えるように練習していくと良いとされています。

例えば、椅子からの立ち上がりにおいて、失調が強く立ち上がりの一連の動作ができない患者さんにおいては、椅子座位で足を後方に引く動作・体を前に倒す動作と分節化し、それぞれを繰り返し行い、徐々に一連の動作として行えるようにしていくと良いと思われます。

○どの部分がどのように、どのような時に不安定になるか評価し、その部分にアプローチする

運動失調といえど患者さん全員が同じような失調症状となるわけではなく、生じた「動揺」がどの方向に・どのくらいかなどを患者さん個別で十分に評価しなければなりません。

立位バランスでもちゃんと足関節戦略・股関節戦略・ステッピング戦略が生じているのか、左右前後の支持基底面内での重心移動の中でどの方向に不安定性が生じているのか十分に評価します。

倒れやすい方向や、バランスのとりにくい場面があればそれがその患者さんの転倒のリスクとなり、そこが治療介入のポイントになると思います。

○エアロバイクやトレッドミルなどの機器の使用


(斉藤 秀之、加藤 浩、金子 文成:感覚入力で挑む―感覚・運動機能回復のための理学療法アプローチ (臨床思考を踏まえる理学療法プラクティス):文光堂:2016)



(小林 純也:脳卒中患者だった理学療法士が伝えたい、本当のこと三輪書店:2017)



(解良 武士:運動療法学 (15レクチャーシリーズ 理学療法テキスト):中山書店:2014)



(潮見 泰蔵:脳卒中に対する標準的理学療法介入―何を考え、どう進めるか?:文光堂:2017)



(後藤 淳:運動失調に対するアプローチ:関西理学療法:2014)

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慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者さんで動作後の息切れが生じる方は知らず知らずのうちに運動量が多すぎて息切れにより疲労感が強かったり、動作によっては酸素消費量が多くないのにも関わらず、息切れを生じさせてしまう事があります。

なぜ、息切れが生じてしまうのかを理学療法士が患者さんにちゃんと説明していく事が重要となります。

息切れを生じさせてしまう大きな原因としては4つあります。

①上肢挙上動作

⇨そんな事で息切れが生じるのですか?と思いたくなりますが、上肢挙上により息切れが生じるのは、上肢を挙上する事で胸郭の動きが制限される事が原因となるためです。上の方の竿に洗濯物を干したり、浴室で髪を洗ったり、上着の着脱、冷蔵庫の上のものを取るときなど意外とちょっとの時間の動きでも息が切れたりします。

②腹部圧迫動作

⇨これも知らず知らずの間にやって、なんで息がきれるのだろうと思う方は多いのではないかと思います。前傾姿勢を取る事で腹部が圧迫され、横隔膜の動きが制限される事が原因です。具体的には、下着・靴下・ズボンを履く際に前傾姿勢になる動作、床のものを拾おうとして前かがみになる動作などがあります。

③息止めの動作

⇨これも無意識にやってしまう事があるのではないでしょうか。息を止める事で、酸素を取り込めなくなる事が原因です。具体的には、排便時のいきみ、食事・洗顔・会話時です。

④反復動作

⇨つい一生懸命になるとやってしまいがちなのがこれです。力を入れ続ける事で動作が早くなりやすく、酸素消費量が増加する事が原因です。具体的には歯磨き・掃除機をかける・洗体・風呂掃除などです。

以上の①〜④の動作が生じないように、日常生活動作を行うように患者さんに指導していく必要があります。

ではどうゆうふうに工夫して動作をしていけばいいかと言うと、、、

○ゆっくり動く
○連続動作を避け、動作と動作の間に休憩を入れる
○呼気時に動く
○労作時に必要な指示量の酸素吸入を正しく行う事


となります。

ただ、患者さんは運動学や生理学の知識が無いので、どのようにして気をつけて良いのか分からない状態です。

具体的にどのような日常生活動作の指導の工夫をしていけば良いか紹介させていただきます。

①洗面でのポイント

・歯ブラシは電動のものを利用する
・肘を洗面台にのせて歯磨きを行う
・椅子に座って洗面する
・うがいの水は手ですくわず、コップを使う
・鼻カニューラをつけたまま洗顔する
・呼気に合わせて洗顔する


⇨患者さんは上肢を上げたままだと辛くなるので、自然と肘をテーブルの上に置いたりされます。そう考えると、テーブルの高さを適切な位置に設定すると患者さんも使いやすいかと思われます。

②排泄時のポイント

・息を止めずに、ゆっくりと息を吐きながら徐々に腹圧をかける
・便を柔らかめにコントロールするために、緩下剤を使用・調整する
・温水洗浄便座を利用する


⇨排泄時はやはり、いきまないように注意する事が大切です。普段から意識しておくように指導しましょう。

③更衣時のポイント

・前開きの衣服を選ぶ
・椅子に座って更衣する
・被り物の服を着るときは先に腕を通しておき、呼気に合わせて頭から被り、呼吸が整ってから鼻カニューラを付け直す
・下着を履いたり、ズボンの足先を通したり、靴下を履くときは、足を膝の上に乗せて履く
・衣服をあらかじめ重ねておく


⇨着圧のきつい靴下などは特に息切れが強く出現します。弾性ストッキングなどが必要であれば、それは他の方につけていただく方が良いかもしれません。

④入浴時のポイント

・脱衣所に座面の高い椅子を設置し、更衣や休憩に利用する
・シャワーを利用する
・浴室内では座面の高い椅子を利用し、洗面器や必要なものは台の上に載せる
・長めのタオルを利用し、腕をできるだけ挙上せず、下げたままで背中を洗う
・足を洗うときは、台の上に載せて洗う
・シャンプーハットを利用して洗髪する
・顔より高い位置でシャワーヘッドを固定して頭を流す
・洗髪・洗体の日を分ける
・半身浴を行い、体を冷やさないように乾いたタオルを肩にかけておく
・バスローブなどで体を保温して、椅子で休憩した後に体を拭いたり、着衣に取り掛かる


⇨日常生活の中で特に息切れを生じやすい入浴動作ですが、一気に動作を行わないように気をつけることと、頭を洗っている時に息を止めないように気をつける事が大切ですね。

⑤家事全般

・物干し竿の高さを低くする
・洗濯物、洗濯かごなどは下に置かず、台の上に載せる
・あらかじめ、座ったままハンガーなどに洗濯物を通しておく
・細かいもの(小さいハンカチ・靴下・下着など)は洗濯ネットにまとめて洗濯し、洗濯機から取り出しやすいようにする
・掃除は日にちを分けて行う。(今日はリビング、明日は寝室など)
・浴室掃除は長い柄のついたスポンジを利用する
・椅子に座りながら、食事の下ごしらえや調理を行う
・よく使う調理器具、食器、食品などはできるだけ低いところや高いところに保管しない
・食器洗い機を利用する


以上の①〜⑤が特に気をつけるべきポイントかと思われます。非常に参考になりますね。

しかし、息切れの症状の強い時など、動作が困難な場合は無理せず家族の方の協力を得たり、ヘルパーなどのサービス利用を駆使していくことも大切です。

本人が自分でできると思い込み、勝手に行ってしまい、動作後の息切れが強く出現したりと指導も難しい場面にも遭遇すると思いますが、一つ一つ動作指導を丁寧に行っていく事が重要かと思われます。

(桑原田 真弓、石原 英樹、竹川 幸恵:酸素療法まるごとブック: 救急から在宅までとことん使える! (呼吸器ケア2016年冬季増刊):メディカ出版:2016)

記事更新が久しぶりですが、少しずつ更新していきます。

臨床上多い変形性膝関節症の痛みですが、痛みの訴えから原因がどこにあるのかアセスメントしていくことが重要です。

まず、膝の痛みを生じるときはどんな時に膝が痛いか確認します。

どんな時に痛いか?

1.平地歩行時
→荷重時や歩行時の痛みであれば、膝伸展位での圧刺激の反応である為、大腿脛骨関節由来の疼痛である可能性があります。

2.階段昇降時
→階段昇降時に膝が痛い場合、膝屈曲位での圧刺激に反応がある為、膝蓋大腿関節由来の疼痛の可能性が高いです。

3.夜間痛
→夜間時の痛みがある場合、化学物質による炎症が生じていたり、夜間に膝関節にストレスが生じるような姿勢をし続けている可能性があります。

4.安静時痛(臥位・座位)

5.立ち上がり時
→階段昇降時と同じです。

どのような痛みか問診をし、痛みの種類から何が原因なのかを判断していきます。

どのような痛みか?

筋由来
鈍い・疼く・締め付けられる

神経由来
鋭い・光が走るような・火がつくような

骨由来
深い・しつこく苦しい・鈍い

骨折由来
鋭い・激しい・耐えられない

血管由来
脈打つ・拡がる

(Magee DJ:Orthopedic physical assessment 2003)



圧痛による評価

①膝蓋下脂肪体由来の疼痛
→膝蓋下脂肪体の部分に圧痛があれば、膝蓋下脂肪体由来の疼痛の可能性が高いです。
この痛みの主訴としては、階段昇降の特に降りで疼痛を訴えるケースが多いです。また、起立・着座にて疼痛を生じ、膝前面に鋭痛を生じます。
ROMでは完全伸展が不足し、筋力では膝伸展力不足の所見が見られます。
この部位への治療介入での治療効果は即効で、治療後すぐ痛みが軽減したりします。2週〜1ヶ月程度で疼痛は消失します。


②半膜様筋由来の疼痛
→半膜様筋付着部での明確な圧痛所見があった場合に、半膜様筋由来の疼痛を疑います。
この痛みの主訴としては、階段昇降の特に降りで疼痛を訴えるケースが多いです。また、起立・着座にて疼痛を生じ、歩行時痛で膝の内側痛の訴えがあります。
ROMは伸展・屈曲ともに不足しており、筋力は伸展で不足しています。治療介入において平均2〜3ヶ月で疼痛消失します。


③内側側副靱帯・鵞足由来の疼痛
→内側側副靱帯(関節裂隙レベル)・鵞足(薄筋・半腱様筋)で圧痛を生じた場合、内側側副靱帯・鵞足由来の疼痛を考えます。この痛みの主訴としては、階段昇降の特に降りで疼痛を訴えるケースが多いです。また、起立・着座にて疼痛を生じ、歩行時痛で膝の内側痛の訴えがあります。アライメントとしては下腿が過外旋となっており、大腿の外側にstiffnessを生じていることが多いです。この部位への治療介入では、平均1〜2ヶ月で疼痛消失します。


④内側半月板由来の疼痛
→内側半月板後節の圧痛や、McMurray testが陽性である場合、内側半月板由来の疼痛である可能性があります。この疼痛の場合、明確な疼痛出現日を言うことができます。例えば大きな外力による外傷によって、その後痛くなったなど。この場合の疼痛は運動療法による即時効果は低く、長期的に変形性膝関節症が一気に進行すると言われています。


(八木茂典:機能解剖に基づいた変形性膝関節症の治療~3タイプ8パターンの痛みと動作の治し方~:2017)


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倒れる男性

学校で習う一般的なギランバレー症候群(GBS)の予後は良いなどと書かれていたりしますが、実際に臨床でみるGBSの方は軽症の方もおられれば、重度の方もおられます。重度の方に関しては予後は決して良好とは言えません。かなりの後遺症が残る方もおられます。

我々はセラピストは、患者さん個々人の症状と、動作レベルに合わせてリハビリテーションを行っていかなければいけません。

①呼吸理学療法

非常に重度で、呼吸筋麻痺が生じている様な患者さんにおいては、適切な体位変換や排痰介助が必要となってきます。

1.体位管理

まず体位変換ですが、換気維持・改善を目的とし、背臥位、腹臥位、側臥位、前方へ45°傾けた側臥位、後方へ45°傾けた側臥位、ギャッジアップ座位の6つで行います。体位管理は2時間ごとに行います。

2.排痰

呼吸筋が麻痺している時は、排痰に必要な換気(気流)と咳嗽力の低下が見られます。理学療法においては、痰が貯留している部位を把握してその部位が最も上になるような体位をとり、重力による痰の移動を促します。

また、その姿勢で呼吸介助法を加えて、呼気の気流をあげます。

3.呼吸練習

自発呼吸の回復が観察されれば、その改善を目的に呼吸練習を開始します。人工呼吸器に表示される1回換気量がより大きくなるよう、呼吸介助の手技を加えながら深呼吸を促します。この時は呼吸筋の疲労に注意します。

②関節可動域訓練、拘縮予防

拘縮の起こりやすい部位としては、足関節底屈、膝関節屈曲、股関節屈曲外旋位となります。

特に、足関節底屈は硬くなりやすく、十分なストレッチが必要です。

ただ、末梢神経障害によって、筋緊張の低下や腱反射の減弱・消失、感覚障害がみられる患者さんにおいては、過度なストレッチをしてしまうと組織損傷が生じてしまうので気をつけて、伸張しなければなりません。

なぜ過伸張がいけないかというと、伸張した際に神経も同時に過度にストレッチされてしまい、神経回復に悪影響を及ぼすと言われているためです。

③筋力訓練・全身持久力トレーニング

やはり、運動負荷をかけたトレーニングは理学療法においても重要な所かと思われますが、ニューロパチーに対する運動負荷で気をつけなければいけない点としては、過用を予防しながら患者さんの神経再生過程、心肺機能回復、筋機能回復に最も適した負荷を設定する事を心がける事です。

1.負荷量の設定

症状増悪期においては積極的な筋力訓練はしてはいけません。増悪期を過ぎてから段階的に負荷量を増やしていきますが、この時に過用性筋力低下、疲労に注意しながら運動療法を進めていきます。

実際には運動後翌日の疲労感、筋痛、筋のはり、異常感覚、筋力低下が出現したりしますが、その症状がトレーニング後1~2日続くようであれば負荷量を少なくし、症状が無ければ負荷量を漸増していきます。

2.運動負荷の実際

患者さんごとに合った負荷量を考えて設定しなければなりません。

○急性期・増悪期直後

GBS急性期の時期では離床は注意して段階的に行っていかなければなりません。起立性低血圧が生じる方は、離床は徐々に行っていかなければなりませんし、ティルトテーブル弾性ストッキングも有効です。

○MMT1~2のレベルの時期

まだこの時期は、過度な筋収縮の繰り返しは疲労や過用性筋力低下の原因となるため、筋力訓練を行う際は低負荷、低強度から開始します。具体的には患者さんがあまり力まない程度の負荷で、10回×1~3セット程度です。

筋収縮感覚が得られにくい場合は、関節運動を他動的に行う様子を確認しながら自分で動かしていくようにフィードバックしながら練習していくと良いでしょう。加えて、筋電図バイオフィードバック練習、機能的電気刺激、筋収縮を促す筋腹皮膚への軽擦法、タッピングなども取り入れるといいと思われます。

○MMT2~3のレベルの時期

抗重力的な活動も補助しながら少しずつ行っていく時期ですが、まだ座位や立位保持などは抗重力筋に大きな負担となりやすいため、段階的に保持時間や保持方法を考慮しながら進めていくべきです。

徒手スリングスライディングボードなどを活用しながら抗重力筋群を補助したり、立位・歩行練習では支柱付き長下肢・短下肢装具を使用して末梢筋群への負担を減らしながら抗重力活動を促したりするのも良いでしょう。(中枢の筋群に比べて末梢の筋群が回復が遅いため、末梢の筋群をサポートしながら、運動を行う必要があります。)

○MMT4前後のレベルの時期

神経再生が進んできている時期になれば、負荷強度をどんどん高めていきます。スクワット、ランジ、カーフレイズなどCKC下での練習にて筋力・協調性ともに回復に努めていきます。

OKCでは最大筋力の60~80%の負荷でトレーニングを実施していきます。

④痛みへの対応

痛みの状態がかなり強く、理学療法プログラムの実施が難しい場合、薬物治療による疼痛コントロールをしていく必要があります。医師との連携が重要です。

理学療法においては、TENSの実施やマッサージ・ストレッチにより一時的に痛みを和らげる対処が必要です。痛みの増強しない範囲で行うと良いでしょう。

⑤GBSに残存する疲労への対応

リハビリテーション以外の時間の過ごし方でも、生活場面において疲労の管理をしてしていく必要があります。

患者さんによっては普通に過ごしただけで疲労が強く残る方もおられるため、実生活においてエネルギーの消費減少を目的に、生活習慣の変更、生活のペース、規則正しい生活、睡眠の改善などの指導も必要となります。具体的には自助具の使用や、手すりやベッド周囲の環境整備などが特に重要です。

○Dr.との連携

☆主治医に確認すべき内容

・全身状態が不安定な期間においては、その病態とリスク
・適切な運動負荷のレベル
・内科的な治療の今後の予定や治療に際する活動制限についての指示
・末梢神経障害の病態と今後の予測される経過などについての情報


(内山 靖:神経症候障害学―病態とエビデンスに基づく治療と理学療法:文光堂:2016)


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体幹筋

腹横筋はインナーマッスルの一つとして知られていますが、後方では胸腰筋膜に付着して、腹腔内圧に関与すると言われ、上肢・下肢の運動に先行して収縮するなどの特徴があります。

健常人はもちろん、運動器疾患、脳血管疾患の患者さんにも共通して言える事ですが、腹横筋の機能が向上する事で体幹・骨盤帯の安定性を向上する事ができ、四肢運動の安定化、日常生活活動やスポーツにおいてパフォーマンスの向上が期待できると言われています。

腹横筋研究は主に超音波診断装置をが使用されており、腹横筋の筋厚が増大する事は腹横筋収縮を意味しています。

まず、腹横筋の触診ですが、腹横筋は上前腸骨棘(ASIS)の2横指内側の部分が1番触診しやすい場所です。その場所を指で押さえ、深呼吸をしてもらうと奥の方でわずかに横にスライドするような感覚があると思いますが、それが腹横筋の収縮です。大きく手前に張りだすような筋の張力の高まりは内腹斜筋の緊張なので、間違えないように注意します。

腹横筋を単独で収縮させる場合は、骨盤底筋群を収縮させると良いです。コマンドとしては、男性の場合は「精巣挙筋を上にあげる様な感じ」、女性の場合は「腟を上に引き上げる様な感じ」で収縮を入れると、筋連結により腹横筋を単独で収縮させることができます。ただ、この方法は収縮感覚が分かりにくいので高齢者などには難しいと思われます。

そして、腹横筋の収縮が確認できたら、次に骨盤帯が十分に固定(stability)できているかを評価します。

下図のようにSLR(下肢挙上運動)を行い、下肢がどの程度上げられるのかと、下肢挙上時の骨盤の後方回旋が生じているのかの評価をします。

骨盤帯固定性の評価

例えば、右下肢挙上をした際に右の骨盤後方回旋が生じているが、左下肢を挙上した際よりも後方回旋が強い場合は、左の腹横筋の機能低下と判断します。

これは、一側下肢の挙上で反対側の腹横筋が働くためです。

この評価により、左右どちらかの腹横筋の機能低下が生じている場合、その腹横筋に対してエクササイズをしていきます。

(福井 勉:ブラッシュアップ理学療法―88の知が生み出す臨床技術:三輪書店:2012)


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