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膝の注射

よく患者さんはこんな事を言われませんか?

「何年も前から膝に水が溜まり始めて、整形外科で水を抜いてもらってたけど、一度抜くとクセになるみたいですぐ溜まりますなあ。」

特に高齢者でよくある光景ですが、本当にクセになるのでしょうか?

そもそも「水」と呼ばれるものは、「関節液」と言い、普段関節の中に存在しています。

この関節液の役割は、膝関節の動きをスムーズにする事と、膝関節の軟骨に栄養を送る事です。膝関節の潤滑油のような役割があります。

水が溜まっている状態とはどういう事かというと、膝関節の関節内に過剰に関節液が存在する状態の事です。

関節液を生産するのは滑膜ですが、なんらかの刺激で炎症が生じると関節液を過剰に生産します。

つまり、滑膜が炎症を起こし、関節液が過剰に生産される事によって、通常よりも多くの関節液が溜まる事となるのです。

なので、関節液を抜いた所で滑膜の炎症が治っていなければまた関節液は溜まるわけで、「水を抜くとクセになる」というよりかは、滑膜の炎症が治らない時期に何回も関節液を抜く事をするため、クセになってしまうと言われるようになってしまったのです。

水が溜まるのを治すためには、滑膜の炎症を治すことが一番重要となります。

(伊能 良紀:図解入門よくわかる膝関節の動きとしくみ (How‐nual Visual Guide Book):秀和システム:2014)


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臨床では「足がなんだかむくんできた」とか「手が左より右がむくんでいる」とか、「顔がはれぼったいです」というような訴えを耳にし、実際に浮腫を認める事があります。「むくみ」とは浮腫の事ですが、体の中では一体どのようになっているのでしょうか?

むくみ 写真

浮腫は医学的に一言でいえば、「間質液が過剰な状態にある事」と言えます。

浮腫の状態 ブログ用

そもそも、人間の体重の約55~60%は水であり、その全水分量のうちの間質液が異常に増加してしまっている状態です。これは体重自体も増えている状態です。

浮腫を観察する際にはまず、その浮腫が全身性のものか、局所性のものか観察して考えていきます。

浮腫の原因 ブログ用

「全身性浮腫」にしても「局所性浮腫」にしても間質液に過剰に水分がある状態ですが、なぜこうなってしまったのでしょうか?

原因については以下の通りです。

●毛細血管内圧の上昇
毛細血管内圧とは、毛細血管の中の力学的な圧の事です。これが高い状態だと、水分は血管外へ漏出します。

●静脈圧の上昇
静脈内圧も静脈の中の力学的な圧の事です。これも高い状態だと水分が血管外に漏出します。

●血漿浸透圧の低下
血漿浸透圧とは、血管の中に水分を保とうとする圧の事です。高い状態となると、水分は血管外から血管内へ引っ張り込まれます。つまり、血漿浸透圧が低下している状態だと、間質に水分が留まったままの状態となります。

●リンパ管の閉塞
血管外にでた水分の1割はリンパ管内に移動しますが、リンパ管が閉塞する事により、血管外に出た水分が回収されずに間質に残ったままになってしまいます。

●血管壁透過性の亢進
炎症が生じる事により、ヒスタミン、セロトニン、ロイトコリエンなどの化学伝達物質によって血管壁の透過性が亢進し、水分が血管外へ出てしまいます。

以上の状態が何らかの疾患によって引き起こされ、浮腫を生じてしまいますが、その原因となる疾患はどんなものなのでしょうか?

≪全身性浮腫≫

①心臓性浮腫
臨床において、心不全の方は浮腫を認める事が多いですが、心臓のポンプ機能が低下(心拍出量が減少)してしまうと、全身に送る血液が少ないため、静脈の方では血液が渋滞する事で静脈内圧が上昇し、浮腫が生じてきます。

また、腎臓においても心機能の低下に付随して、腎血流量が低下する事を察知して、レニンを分泌します。レニンはアンジオテンシンⅡを介してアルドステロン分泌を増やすので、腎臓でのナトリウムと水の再吸収が増えてきます。そうすると循環血漿量を増加させて腎血流量を維持しようとするのですが、同時に毛細血管内圧も上昇させてしまいます。

②肝性浮腫
肝硬変で浮腫が生じる場合があります。この時の原因は肝臓での蛋白合成の低下によって、低蛋白血症が生じるためです。血液中の蛋白が減少すると血漿浸透圧の低下が生じ、これが浮腫を起こしてしまう原因となります。

また、循環血漿量の低下により、レニン-アンジオテンシン系が亢進し、アルドステロン分泌を増やし、腎臓でのナトリウムと水の再吸収を増やします。

③腎性浮腫
腎臓の糸球体が障害される疾患では、尿に蛋白がでてきます。尿蛋白が長く続くと、低蛋白血症となり、血漿浸透圧が低下してしまいます。

また、腎血流量の低下によりレニン-アンジオテンシン系が亢進し、アルドステロン分泌が増えてきます。その結果、尿細管で水とナトリウムが再吸収されます。

④内分泌性浮腫
甲状腺機能低下症の場合は、多糖類、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などが皮下組織に沈着します。これらの物質には保水性があるため、間質に水分が残り浮腫が生じるようになってしまいます。

⑤栄養障害性浮腫
吸収不良症候群や蛋白漏出性胃腸症では、低蛋白血症によって血漿浸透圧低下が生じ、浮腫を呈します。

≪局所性浮腫≫

静脈血栓症や上大静脈症候群では、静脈の流れが悪くなり、その部分以前の静脈の内圧が上昇してしまいます。それによってその部分の浮腫が生じてしまうのです。

また、癌のリンパ節転移や手術後の癒着において、リンパ管の閉塞を生じてしまう場合があります。この場合、リンパ管の閉塞部位以前の部分で浮腫を生じる事になります。

さらに、外傷などによって炎症が生じ、炎症反応において血管壁透過性の亢進が起こる事で、炎症が起きた部位周囲の浮腫になります。

臨床では、片麻痺の患者さんの麻痺側に浮腫を認める事が多いと思われます。これは、麻痺側の血管運動神経の機能が低下し、筋の運動による筋ポンプ運動が生じず、そのために麻痺側の上下肢にて静脈血とリンパ液が停滞します。静脈圧と毛細血管内圧が上昇するために浮腫を生じてきます。重力の影響を容易に受け、浮腫が増強してしまう傾向にあります。こういった場合、ベッド上であまり麻痺側を下にして寝ないように気をつけた方が良いと思われます。

(齋藤 宣彦:症状からみる病態生理の基本 (看護学生必修シリーズ):照林社:2009)


(井上 泰:なぜ?がなるほど!病態生理絵解きゼミナール 改訂2版: ナース・研修医・コメディカルのための:メディカ出版:2014)


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関連:組織損傷とリハビリテーション
咳 ブログ用

臨床においては患者さんで、咳が強く出ていたり、長く咳が続く方がおられます。咳嗽(咳)はなぜ出るのでしょうか?その原因に対してセラピストはアセスメントしていく必要があります。

そもそも何故我々は咳をするのかというと、咳によって気道内のゴミなどの異物や痰を、呼気と同時に気道外へ吐き出す為で、生体防御反応の一つと言えます。

まず、咳嗽(咳)には大きく分けて湿性咳嗽と、乾性咳嗽の2つの種類に分けられます。

その原因に関しては、主に以下の原因が考えられます。

①湿性咳嗽(痰のからむ咳)

1)鼻の疾患の場合
・鼻ポリープ

2)感染(上気道~肺)
・気管支炎
・肺炎
・肺化膿症
・肺結核
・非定型抗酸菌症
・肺真菌症など

3)閉塞性肺疾患
・慢性気管支炎
・びまん性汎細気管支炎
・気管支喘息など

4)気管支や肺の構造の変化
・気管支拡張症

5)腫瘍
肺癌など

6)心疾患
左心不全による肺水腫

②乾性咳嗽(痰のからまない咳)

1)感染(上気道~肺)
・咽頭炎
・マイコプラズマ肺炎

2)閉塞性肺疾患
・肺気腫

3)拘束性肺疾患など
・肺線維症
・間質性肺炎
・塵肺
・過敏性肺臓炎
・肺好酸球増多症候群

4)腫瘍
・肺癌
・良性腫瘍
・胸膜中皮腫

5)胸膜疾患
・胸膜炎
・自然気胸

6)刺激性気体の吸入
・喫煙
・各種ガス

7)薬物
・アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬

8)精神神経性
・精神不安定症

以下の表は咳の出る時間帯によって、どのような病態が考えられるかという表です。また、咳がでる時間帯のほかにどのような場所で出るのか?季節に関係するのかも大切な要素です。

咳の出る時間帯例 ブログ用

以上の可能性を踏まえて、どの症状が強くなったのか、どのくらいの負荷量で運動療法を実施していく必要があるのかを検討していく必要があります。特に運動負荷に関しては、左心不全によるものであれば慎重にいかなければいけません。

(齋藤 宣彦:症状からみる病態生理の基本 (看護学生必修シリーズ):照林社:2009)

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