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有酸素運動 女性

糖尿病診療ガイドラインにて有酸素運動は週2~3回以上、20~60分行う事が一般的に勧められています。なぜこのような設定になっているのでしょうか?

そもそも「有酸素運動」とは、エネルギー産生に酸素を利用する運動の事を指し、無酸素性作業閾値(AT)以下の中等度までの強度で行い、糖や脂肪を燃やしながら行う運動の事を言います。

根拠となる効果としては、有酸素運動を20分以上行う事によって急性効果により血糖値を下げ、週2~3回以上実施して運動しない日をあまり開けすぎないようにする事で、インスリン感受性、血糖コントロール、脂質代謝改善などの慢性効果を持続させるためという理由があります。

以下に作用機序を生理学的に述べていきます。

まず、インスリンが作用するには、細胞膜のインスリン受容体に結合し、細胞内のIRS、PI3キナーゼ、Aktなどの伝達分子を活性化させる必要があります。伝達分子が活性化すると、細胞内の糖輸送担体(GLUT4)が細胞膜表面に移動し、糖を骨格筋内に取り込みます。運動はインスリン受容体や伝達分子を増加・活性化させ、インスリン感受性を亢進させる効果があります。また、GLUT4を優位に増加させるという報告があり、糖を取り込みやすくし血糖コントロールに寄与します。細胞内のミトコンドリア数も増加するため脂肪酸酸化能力も改善されます。

運動によりこういった効果が期待できるのです。

これらの慢性効果は、運動を中止しても24時間(1日)~72時間(3日)その効果が継続されるという報告があります。そのため、週2~3回以上の有酸素運動を行う事でその効果を保つことができます。

下記の図の通り、運動しない日を開けすぎると1週間で効果は消失してしまいますので、日を開けすぎないように注意は必要です。

インスリン抵抗性の改善効果

また、20分以上の有酸素運動を実施する事で、運動しない場合より血糖上昇の程度が小さくなると言われています。米糖尿病学会では糖尿病患者に対して運動は週に150分以上実施するよう推奨しています。毎日運動するとしたら日割にして1日20分程度となりますし、週3~5回の頻度であれば一日当たり30分~50分の運動時間が必要となる計算になります。また、糖質・脂質の効率良い燃焼のためには20分以上持続する事が望ましいとされます。

推奨される有酸素運動の種類は、全身の大きな筋を使った運動でウォーキング、ジョギング、サイクリングが代表的です。

運動強度に関しては、心拍数自覚症状を目安に設定します。

心拍数の目標値はKarvonen法を用い、予測最大心拍数の40~60%で設定した数値を使用します。

自覚症状の目標は、自覚的運動強度(RPE)Borg指数を使用します。RPEでは10~12の範囲、Borgスケールでは11~13の範囲が望ましいとされます。

(石黒 友康、田村 好史:理学療法士のためのわかったつもり?!の糖尿病知識Q&A:医歯薬出版:2016)


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糖尿病はここ近年の食生活の変化や、ライフスタイルの乱れにより、患者数が急増していると言われています。

臨床においても、糖尿病を患っている方は多く、それに伴い合併症が出現し、ADLが低下している患者さんは多く見られます。

われわれ理学療法士は「糖尿病」に対してどのような方針で、患者さんにどう説明し、どういったアプローチをしていけば良いのでしょうか?

まず、糖尿病には大きく1型糖尿病2型糖尿病がありますね。

○1型糖尿病に対する理学療法の考え方

1型糖尿病は、インスリンを合成・分泌する膵臓のランゲルハンス島のβ細胞によって、血液中のインスリンが不足し、絶対的な欠乏状態になる事です。これに対して、高血糖となり糖尿病性ケトアシドーシスにならないように患者さんの保護のため、インスリン注射が必要になります。

こういった方に理学療法では運動療法を行いますが、運動療法によって筋量の維持・増大を図り、インスリンの利きを良くするとともに、心肺持久性も向上させ、ADLが快適に行えるという効果があります。

「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」においても、1型糖尿病患者における運動療法は、「進行合併症が無く血糖コントロールが良好な場合、インスリン療法や捕食でいかなる運動も可能であり、長期的血糖コントロールは不明だが、心血管系疾患の危険因子を低下させ、生活の質を改善させる」として強く勧められています。

○2型糖尿病に対する理学療法の考え方

対して2型糖尿病は、生活習慣の乱れや環境因子などが影響する事により発症します。現代人に多いのはこちらで、日本の糖尿病の全体の9割を占めるともいわれています。

インスリンの分泌の低下インスリンの感受性低下が原因となります。

こういった場合の理学療法は、糖尿病発症前の耐糖能障害(IGT)の場合は、糖尿病の発症予防として、また、発症してしまった場合は合併症予防として適切な運動療法を実施します。

合併症を発症してしまった場合には、病態に合わせて運動療法、物理療法、補装具療法やADL指導が行われます。最終的には症状の進行を遅らせ、運動機能を十分に維持させていくことを目的とします。血糖コントロールに関してのみ理学療法介入するのではなく、日常生活全般に治療介入していく必要があります。

「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」においても、2型糖尿病患者における運動療法について、「運動により心肺機能、血糖コントロール、脂質代謝の改善、低血圧やインスリン感受性の増加が認められ、食事療法と組み合わせるとさらに高い効果が期待できる」と強く推奨されています。

以上がそれぞれの理学療法の考え方となります。

では、実際に予防として、どのような運動療法が良いのでしょうか?

運動の要素としては、心肺持久力を向上させる有酸素運動、筋力・筋持久力を向上させるレジスタンストレーニング、柔軟性を改善させる体操やストレッチングなどの3つの要素をバランスよく組み合わせて、個別にその比率を調節しながら実施していくことが望ましいとされています。

運動前後には3分以上の準備運動と整理運動を行います。

運動の内容は、患者さんが「いつでも・どこでも・一人でも」できる運動を選択し、実施しやすいものを指導します。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準」(2013)においては、「運動」や「生活活動」の活動量として3METS以上の活動を行う事が推奨されています。

以下の表は糖尿病のコントロールの基準ですが、この基準を参考に運動プログラムの立案や、継続の判断に反映させていきます。こういった指標により運動療法を考えていきます。

糖尿病のコントロール基準と運動の効果 ブログ用

(南條 輝志男、大平 雅美、野村 卓生、石黒 友康:糖尿病の理学療法:メジカルビュー社:2015)

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