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脳幹網様体賦活系

臨床の現場でも、脳卒中の重度な方や、内部障害などで重度な方で意識がなく、刺激に対しての反応が無く、覚醒レベルが低い方をよく見かけます。

意識障害が生じる原因としては、脳卒中や頭部外傷、脳炎などの頭蓋内の病変による一次性脳障害と、循環障害や電解質異常、血糖異常などの頭蓋外の病変によるものに分かれます。

そもそも、「意識がある」という定義は何なのでしょうか?「意識がある」というのは、「起きている状態にある事(覚醒)」、「自分の今ある状態や、周囲の状況などを正確に認識できている状態」である事をいいます。

では、一方「意識が無い」というのはどういう状態なのでしょうか?「意識が無い状態」というのは単に寝ている状態ではなく、何らかの病的な理由で、昏睡した状態の事を言います。

寝ている状態、つまり「睡眠状態」は正常な脳が休んでいるだけなので、軽く刺激すると目を覚まし、覚醒することができますが、「昏睡状態」では刺激に対する応答はなく、覚醒することができない状態です。

意識を覚醒状態に保つ中枢は「脳幹網様体」と呼ばれています。「脳幹網様体」は中脳から橋にかけて、背側に存在します。

熱い・痛いなどの温痛覚や触圧覚などの「皮膚感覚(表在感覚)」は脊髄視床路を通って視床にたどり着き、位置覚や運動覚、振動覚などの「深部感覚」は脊髄後索路(脊髄延髄路)を通って視床にたどり着きます。

これらの脊髄視床路や脊髄後索路(脊髄延髄路)によって通じた情報は、視床を介した後は大脳皮質の知覚領域へと送られますが、一部は「脳幹網様体」にも伝わります。伝わった情報は整理・統合されて視床に伝わり、大脳皮質や視床下部に指令を出します。これによって絶えず脳は刺激を受ける事になり、覚醒レベルを維持できるのです。

つまり、意識障害を呈している患者さんは、大脳が広い範囲で障害されているか、脳幹網様体や視床のどこかで障害されている可能性があります。

では、意識障害を呈している患者さんにどういった関わりができるでしょうか?どのようにしたら覚醒レベルをアップできるのでしょうか?現在、分かっている事を記していきます。

○メカノレセプターによる刺激入力

「メカノレセプター」というのは感覚受容器の事で、足底の特に踵や親指・親指の付け根に豊富に存在します。メカノレセプターは、立ったり座ったりしている時に体重がどこにどうかかかっているかを検知する「センサーの機能」があります。

我々はこういった情報をもとに、姿勢筋緊張を保ち身体バランスをとっています。

足底のメカノレセプターからの情報は脳幹に送られ、そこから視床を経由して大脳皮質の知覚領野に伝わります。そこから各筋肉に指令を出してバランスをとっているのです。

つまり、メカノレセプターへの刺激入力をする事によって大脳を活性化させ、覚醒状態を保つことができるのです。

○背面開放座位

「背面開放座位」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは、端座位で背もたれにすがらない状態の姿勢の事を言います。

我々は普段背もたれの無い椅子に腰かけた時に、ピタッと止まっているように見えて実は微妙に揺れて動いています。こういった動揺が常に生じている中で、無意識のうちに「姿勢反射」によってバランスを崩すことなく座位が保てているのです。

この姿勢反射の中枢は脳幹の「中脳」です。

治療場面においては、前述のメカノレセプターへの刺激入力の要素も加え、端座位では床面にしっかり足底をつけるようにします。そして、端座位で体幹部の支えを少しずつ外していき、全身の筋肉への指令や姿勢反射を起こしていくようにします。

こういった座位をとる事によって、脳幹に刺激を与え覚醒レベルを維持できるようになるのです。

○五感からの刺激入力

そもそも五感とは「味覚・聴覚・触覚・視覚・嗅覚」を言います。五感からの刺激によって脳が全体的に活発に働く事が知られています。

味覚は舌に存在する味蕾で感じます。その感覚情報は脳幹にある味覚の中枢に行き、そこから視床→大脳皮質へと向かい、意識的な「味覚」となります。

聴覚は内耳から入ってきた音が蝸牛神経を伝って脳幹に伝わり、その後大脳皮質に向かいます。

触覚は、精細触覚(識別性触覚)と粗大触圧覚で経路が違いますが、最終的には視床に到達し、大脳皮質の知覚領野に伝わります。

視覚中枢は後頭葉にあります。目から入った情報は、大脳の後頭葉に伝わります。

これら五感からの刺激は、車椅子上だけでなく、ベッド上においても刺激入力によって覚醒度の維持・拡大が図れます。

○経口摂取の重要性

「口から食べる」という行為はたくさんの神経が総動員して活動する高次なプログラムのもとに成りたっています。

経口摂取をする事によって、脳全体への刺激となり、覚醒が促される事となります。

(太田 純子:脳神経疾患病棟 観察・アセスメントスキルが身につく超実践プログラム: 新人ナースお助けワクワク誌上研修 (ブレインナーシング2016年春季増刊):メディカ出版:2016)


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検査結果に悩むドクター

急性期のみならず、回復期においてもリスク管理に注意して離床を考えていかなければなりません。今回は、血液データに焦点を当てて、実際に離床に影響する病態の指標となる検査項目や安全に離床を進めていくための留意点・対処法を考えていきます。

ただ、実際は血液データだけにとらわれず総合的に判断し、医師と連携を取りながら離床を進める必要があります。

①貧血

貧血であるという事は、全身に酸素を運ぶ役割をする赤血球の数量の減少や、形や成分が低下している事です。指標となる検査項目は、赤血球数、ヘモグロビン値、赤色素量などです。

離床などによる運動負荷により、全身の酸素需要が高まりますが、貧血の状態だと十分に全身に酸素が供給できず酸素不足になる可能性があります。

貧血の症状を呈している時は、患者さんはリハビリに対し意欲的に行う事ができず、拒否的言動を示す事があります。患者さんの貧血時の症状(息切れ・唇や爪の色・冷や汗・動悸・めまい・頭痛)を観察し、症状がみられた場合は離床を中止し、医師や看護師に報告・相談します。

また、貧血の症状がある時は、たとえ症状が安定していても医療処置・清潔行為・食事・排泄などの直後に離床を行わない方が望ましいです。

②炎症

指標となる検査項目は、白血球数、CRPなどです。

離床によって、栄養や酸素を消費しすぎると、患者さんの防御機構に負担がかかり、体力消耗によって離床への気力が減退してしまう可能性があります。

38℃を超える発熱の場合は、休憩し栄養・水分・酸素を十分に補給する必要があります。

③出血傾向

指標となる検査項目は、血小板数、フィブリン、プロトロンビン時間、活性化部分、トロンボプラスチン時間(APTT)、FDPなどです。

出血傾向にあると、少しの刺激でも出血・内出血が生じやすくなるため、介助やポジショニングで注意が必要です。

特に臥位時あるいはギャッジアップ時の仙骨部や殿部の摩擦やズレや、体重が1箇所に集中しないように注意する必要があります。

④栄養不良

指標となる検査項目は、TP、Albなどです。

カロリー不足が生じると、自分の体内のたんぱく質や脂肪を分解してそれをカロリーとして使用しますが、離床によりカロリー消費が増えるため、栄養状態が悪化してしまいます。

栄養不足による症状としては、疲労、冷え、浮腫、筋力低下、気力低下・無表情などです。

⑤肝機能の異常

指標となる検査項目は、TB、HB、GOT、GPT、LDHなどです。

肝機能障害がある場合は、老廃物の蓄積、エネルギー貯蔵や配給能の低下から、倦怠感、脱力感、かゆみ、嘔気、体重減少、消化管出血、浮腫などが起こります。

肝臓の血流は、座位や立位よりも臥位の方が増加します。よって離床によって肝臓への血流は低下してしまうので、肝細胞回復の支障となる可能性があります。しかし、慢性期や代償期の肝機能障害では無理のない範囲で運動する事が進められています。

よって、離床の際には肝臓の血流を円滑にさせるため、食事・経腸栄養摂取後1~2時間程度は安静臥床を優先し、離床を避ける必要があります。運動負荷も自覚症状に注意し、患者さんが心地よい負荷量となるよう調節します。

⑥血糖値の異常

膵臓から分泌される「インスリン」が不足すると血糖値が上昇しますが、指標となる検査項目は、血糖値のほかHbA1cなどです。

離床などによる運動負荷によって、エネルギー消費が増加すると血糖値の変化が生じてくる可能性があります。

低血糖の症状として、冷や汗、手の震え、めまい、目がチカチカする、動悸、あくび、脱力感などがあり、さらに症状が進行すると、思考力の低下、異常行動、痙攣、意識障害、昏睡の状態になります。

低血糖の症状が出た場合は、離床を中止して医師や看護師に相談します。

⑦腎機能の異常

指標となる検査項目は、BUN、Cr、電解質の乱れ(ナトリウム、カルシウムの低下、カリウムの上昇)などです。

離床などの運動負荷によって、新陳代謝が活発となり老廃物の産生が増加しますが、腎機能が低下して濾過機能が低下していると血液中の老廃物が体内に溜まり、疲労感・嘔気・広い範囲の皮膚のかゆみ・浮腫・不整脈などの症状が出現します。

腎不全であっても腎機能が安定していれば日常生活動作において特に問題は無いと言われていますが、急激に腎機能が低下した場合は離床を中止する場合があります。

腎機能低下による自覚症状(倦怠感、疲労感など)が生じますが、患者さんによっては無理をされる場合がありますので、活動の範囲に注意していきます。

⑧電解質異常

指標となる検査項目は、Na、Cl、K、Ca、Mgなどです。これらは主な電解質ですが、神経や筋肉の機能を含む体の細胞が正常に機能するために必要です。

電解質のバランスが崩れると、倦怠感、疲労感、しびれ、脱力感、筋力低下、嘔気、不整脈、錯乱、意識障害、浮腫などの症状を呈します。

電解質異常の原因としては、手術や感染による身体侵襲期、絶食や臓器障害による摂取量と排泄量のバランス不良、循環障害による水分バランスの調節不良、薬剤の効果などがあります。

離床そのものが電解質の異常の悪化となる可能性は低いですが、電解質異常が進んだ場合、急変を生じるかもしれないという予測のもとに関わる必要がありそうです。

(曷川 元:実践!早期離床完全マニュアル―新しい呼吸ケアの考え方 (Early Ambulation Mook):日本離床研究会:2007)


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