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倒れる男性

学校で習う一般的なギランバレー症候群(GBS)の予後は良いなどと書かれていたりしますが、実際に臨床でみるGBSの方は軽症の方もおられれば、重度の方もおられます。重度の方に関しては予後は決して良好とは言えません。かなりの後遺症が残る方もおられます。

我々はセラピストは、患者さん個々人の症状と、動作レベルに合わせてリハビリテーションを行っていかなければいけません。

①呼吸理学療法

非常に重度で、呼吸筋麻痺が生じている様な患者さんにおいては、適切な体位変換や排痰介助が必要となってきます。

1.体位管理

まず体位変換ですが、換気維持・改善を目的とし、背臥位、腹臥位、側臥位、前方へ45°傾けた側臥位、後方へ45°傾けた側臥位、ギャッジアップ座位の6つで行います。体位管理は2時間ごとに行います。

2.排痰

呼吸筋が麻痺している時は、排痰に必要な換気(気流)と咳嗽力の低下が見られます。理学療法においては、痰が貯留している部位を把握してその部位が最も上になるような体位をとり、重力による痰の移動を促します。

また、その姿勢で呼吸介助法を加えて、呼気の気流をあげます。

3.呼吸練習

自発呼吸の回復が観察されれば、その改善を目的に呼吸練習を開始します。人工呼吸器に表示される1回換気量がより大きくなるよう、呼吸介助の手技を加えながら深呼吸を促します。この時は呼吸筋の疲労に注意します。

②関節可動域訓練、拘縮予防

拘縮の起こりやすい部位としては、足関節底屈、膝関節屈曲、股関節屈曲外旋位となります。

特に、足関節底屈は硬くなりやすく、十分なストレッチが必要です。

ただ、末梢神経障害によって、筋緊張の低下や腱反射の減弱・消失、感覚障害がみられる患者さんにおいては、過度なストレッチをしてしまうと組織損傷が生じてしまうので気をつけて、伸張しなければなりません。

なぜ過伸張がいけないかというと、伸張した際に神経も同時に過度にストレッチされてしまい、神経回復に悪影響を及ぼすと言われているためです。

③筋力訓練・全身持久力トレーニング

やはり、運動負荷をかけたトレーニングは理学療法においても重要な所かと思われますが、ニューロパチーに対する運動負荷で気をつけなければいけない点としては、過用を予防しながら患者さんの神経再生過程、心肺機能回復、筋機能回復に最も適した負荷を設定する事を心がける事です。

1.負荷量の設定

症状増悪期においては積極的な筋力訓練はしてはいけません。増悪期を過ぎてから段階的に負荷量を増やしていきますが、この時に過用性筋力低下、疲労に注意しながら運動療法を進めていきます。

実際には運動後翌日の疲労感、筋痛、筋のはり、異常感覚、筋力低下が出現したりしますが、その症状がトレーニング後1~2日続くようであれば負荷量を少なくし、症状が無ければ負荷量を漸増していきます。

2.運動負荷の実際

患者さんごとに合った負荷量を考えて設定しなければなりません。

○急性期・増悪期直後

GBS急性期の時期では離床は注意して段階的に行っていかなければなりません。起立性低血圧が生じる方は、離床は徐々に行っていかなければなりませんし、ティルトテーブル弾性ストッキングも有効です。

○MMT1~2のレベルの時期

まだこの時期は、過度な筋収縮の繰り返しは疲労や過用性筋力低下の原因となるため、筋力訓練を行う際は低負荷、低強度から開始します。具体的には患者さんがあまり力まない程度の負荷で、10回×1~3セット程度です。

筋収縮感覚が得られにくい場合は、関節運動を他動的に行う様子を確認しながら自分で動かしていくようにフィードバックしながら練習していくと良いでしょう。加えて、筋電図バイオフィードバック練習、機能的電気刺激、筋収縮を促す筋腹皮膚への軽擦法、タッピングなども取り入れるといいと思われます。

○MMT2~3のレベルの時期

抗重力的な活動も補助しながら少しずつ行っていく時期ですが、まだ座位や立位保持などは抗重力筋に大きな負担となりやすいため、段階的に保持時間や保持方法を考慮しながら進めていくべきです。

徒手スリングスライディングボードなどを活用しながら抗重力筋群を補助したり、立位・歩行練習では支柱付き長下肢・短下肢装具を使用して末梢筋群への負担を減らしながら抗重力活動を促したりするのも良いでしょう。(中枢の筋群に比べて末梢の筋群が回復が遅いため、末梢の筋群をサポートしながら、運動を行う必要があります。)

○MMT4前後のレベルの時期

神経再生が進んできている時期になれば、負荷強度をどんどん高めていきます。スクワット、ランジ、カーフレイズなどCKC下での練習にて筋力・協調性ともに回復に努めていきます。

OKCでは最大筋力の60~80%の負荷でトレーニングを実施していきます。

④痛みへの対応

痛みの状態がかなり強く、理学療法プログラムの実施が難しい場合、薬物治療による疼痛コントロールをしていく必要があります。医師との連携が重要です。

理学療法においては、TENSの実施やマッサージ・ストレッチにより一時的に痛みを和らげる対処が必要です。痛みの増強しない範囲で行うと良いでしょう。

⑤GBSに残存する疲労への対応

リハビリテーション以外の時間の過ごし方でも、生活場面において疲労の管理をしてしていく必要があります。

患者さんによっては普通に過ごしただけで疲労が強く残る方もおられるため、実生活においてエネルギーの消費減少を目的に、生活習慣の変更、生活のペース、規則正しい生活、睡眠の改善などの指導も必要となります。具体的には自助具の使用や、手すりやベッド周囲の環境整備などが特に重要です。

○Dr.との連携

☆主治医に確認すべき内容

・全身状態が不安定な期間においては、その病態とリスク
・適切な運動負荷のレベル
・内科的な治療の今後の予定や治療に際する活動制限についての指示
・末梢神経障害の病態と今後の予測される経過などについての情報


(内山 靖:神経症候障害学―病態とエビデンスに基づく治療と理学療法:文光堂:2016)


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