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脱臼リスク

THA(Total Hip Arthroplasty)は人工股関節全置換術であり、特に臨床でリハビリテーションを進めていく上で術後脱臼は予防していかなければなりません。

THA後の術後脱臼は、近年では1%前後(前側方進入0.7%、側方0.43%、後側方1.01%)と報告されています。

では、脱臼しやすいとはどのような状態なのか考察します。

そもそも術後脱臼の因子としては、手術因子術後因子に分けられます。理学療法士が関与が可能であるのは術後因子ですが、脱臼のリスクファクターを考える上では理学療法士も手術因子の影響も知っておかなければなりません。

整形Dr.との相談も重要になるため、そのための知識としては必要となってきます。

◎脱臼のリスクファクター

○オシレーションアングルとインピンジメント

オシレーションアングル(oscillation angle)とは、人工股関節のカップ内縁とネックのインピンジメント(衝突)が生じるまでの可動域の事です。

以下の図の角度の事です。最近の人工関節のデザインはオシレーションアングルを増大させるために改良されてきています。

オシレーションアングル

しかし、人工関節の可動域は限度があるため、オシレーションアングルを超えて可動域を求めると脱臼肢位である「屈曲・内転・内旋」、「伸展・外旋」でインピンジメントが生じて脱臼しやすくなります。

THAは側方進入の術式では「屈曲・内転・内旋」、前方進入の術式では「伸展・外旋」の複合運動で脱臼が生じやすいとされていた。しかし、どちらの術式においても前述の2つの複合運動でインピンジメントが生じる可能性があり、脱臼のリスクは生じます。

また、インピンジメントはネックがカップ内縁に「カチッ」と当たり生じるインピンジメントと、骨突出部とネックのインピンジメントがあります。骨棘が残っている場合は、脱臼予防の指導は慎重に行います。

○カップの設置角度

カップの設置角度で前方開角が大きすぎる場合は脱臼のリスクが増加します。

カップの実際の角度は、姿勢の影響を強く受けるので動作中に骨盤(カップ)と大腿骨(ステム)の相対的な位置関係がどのように変化するのかをイメージする事が大切です。

○骨盤アライメント

脊柱後弯・骨盤後傾が生じている高齢者の場合は特に注意が必要となります。骨盤後傾位では、カップのヘッドに対する前外側の被覆率が低減し、後方でのインピンジメントが生じやすくなります。

また逆に、骨盤前傾が生じている場合は前方でのインピンジメントが生じやすくなります。

○股関節外転筋力

股関節外転筋を中心とした軟部組織の緊張は、カップに対してヘッドを求心位に保つように働き、こういった筋の緊張が低い患者さんの場合は脱臼の危険性が高くなります。

○ヘッド径とJumping distance

大きなヘッド径を使用した場合は、小さなヘッド径のものと比べてヘッドがカップを乗り越えるまでの距離(Jumping distance)が大きくなるので脱臼のリスクが軽減します。

(杉本 和隆、美﨑 定也、相澤 純也:人工関節のリハビリテーション 術前・周術期・術後のガイドブック:三輪書店:2015)



また、脱臼の時期についてもこのように言われています。

術後3カ月以内に生じるものを早期脱臼、3カ月以降に生じるものを晩期脱臼と呼びます。

股関節は「関節包」という強固な袋に普段は守られていますが、手術の際にはこの関節包を除去するため、再生するまでの間の3カ月は特に注意が必要です。この時に「側臥位(体位交換)中に患肢が落ちる」「不用意に上半身の捻じれが生じる」と言った不用意にとりやすい危険肢位を避けなければいけません。

一定期間(6~12カ月)経つと、関節を保護・安定化させる関節包が再生されて脱臼のリスクが大きく軽減されます。

(中川 法一:トータル・ヒップ・ケア 股関節 チームで支える人工股関節全置換術:三輪書店:2015)



時期に関してはこのようにも言われています。

THAの初回脱臼の半数は術後6週以内に起こる。1年以上経過後の新規脱臼率は低い。

早期脱臼の約1/3は習慣性脱臼となる。

(Berr DJ et al.JBJS Am 2005)



また、手術因子に関してステムとカップの位置についてこのように言われています。

ステムの前捻30°では、カップの外転角は40~45°、カップの前捻角15°程度が望ましい。

いずれもradiografic definition(X線評価)で

(Miki H Clin Biomech 26 2011)



骨頭経については以下のように言われています。

骨頭径が大きくなるとJumping distanceが大きくなり、脱臼しにくくなります。

ライナー径28mm<よりも36mm以上では10年通算脱臼率が1/4~1/2となる。

(Impingement with Total Hip Replacement 2007)



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