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立ち上がり動作は日常生活においても、非常に重要な動作であり、ベッドから車いすへの移乗や、トイレへの移乗などADLの自立に向けて必須の動作になってきます。

立ち上がり動作のシークエンス

◎第1相

座位姿勢~殿部離床までの間の区間を指します。
股関節は、頭部は足指よりやや前に出るまで屈曲を続け、下肢は荷重の準備のため、大腿四頭筋や大殿筋、ハムストリングスの緊張が高まり、下腿がまっすぐ床面に配列されます。左右の下肢は、対称的な角度になります。

◎第2相

殿部離床~足関節が最大背屈位までの区間を指します。
股関節の屈曲が制動されるタイミングで膝の伸展が起こり、殿部が座面から離床します。この時に足関節の背屈角度が最大となります。左右の足底は全面接地し、踵でしっかり荷重した状態になります。

◎第3相

足関節最大背屈位~股関節伸展終了までの区間を指します。
殿部が浮いて両足部で囲まれた狭い支持面内を重心線が通るようになってから頭部と殿部の両体節部位が同時に重心線に近づく方向に移動して身体重心の上方移動が開始します。股関節の伸展が始まってから膝関節が伸展します。

以上が、立ち上がり動作の流れになりますが、動作分析をする際には、どの相でどのポイントを確認しながら見ていくのかをはっきりさせなければいけません。

◎第1相のチェックポイント

・安静座位から骨盤前傾し、体幹がしっかりとした坐骨支持の直立姿勢になっているのか?
・足部が前方を向き、下腿が床面と直立になるように位置しているか?
・股関節の屈曲による骨盤の前傾により身体重心がまっすぐ前方加速しているか?
・左右均等に下肢にウエイトがのっているか?重心移動はまっすぐ前方に移動しているか?
・左右の下肢は、対称的な角度か?
・上肢で何かにつかまったり、過剰努力が起こっていないか?

◎第2相のチェックポイント

・下腿が前方に傾斜して、膝が前に出ているか?
・ウエイトを前方移動させながら、上肢に頼らず動作が行えているか?
・骨盤の傾斜はないか?
・左右の下肢のウエイトは均等にかかっているか?
・ウエイトはまっすぐ前方に移動しているか?
・足底が全面接地しているか?踵が浮いていないか?
・上下肢の連合反応は出ていないか?
・股関節が内外旋していないか?下腿は垂直に保てているか?
・頭部・体幹のアライメントは適切か?

◎第3相のチェックポイント

・股関節、膝関節、足関節の伸展のタイミングは適切か?左右差はどうか?
・重心の上方移動は安定しているか?
・左右のウエイトの偏移はないか?
・連合反応は起きていないか?
・骨盤の位置はどうか?
・股関節は内外旋、内外転中間位となっているか?

(石井慎一郎:動作分析 臨床活用講座―バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践:2013)


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ここ連続で筋力訓練についての記事を書いていますが、もう一度見直してみるきっかけにしてみました。

筋力アップのためにはただやみくもに動かせばいいというものではなく、歩けば歩くほどいいというものではなく、効率的にかつ、人にあった適切なやり方というものが存在します。

そのためにも筋トレの大前提を振り返ってみます。

過負荷の原則

筋力増強運動によって筋力を増強させるには、一定量以上(少し疲れるくらい)の負荷を加えて、ある時間・ある程度以上の筋を収縮させることが必要になってきます。

これを過負荷の原則(overload principle)と言います。

それには、
・運動の強度
・運動の持続時間
・運動の頻度
・運動の期間

の4つの基本条件があります。

まず、

・運動の強度

一般的には最大筋力の20%以下の負荷であると筋力低下をきたすといわれ、
最大筋力の20~30%の強度で筋力は維持され、
筋力増強を目的とした場合は、最大筋力の60%以上の強度が必要であり、
筋持久力を目的とした場合には35%以上の強度が必要となります。

・運動の持続時間

筋力増強の効果を得るためには、ある一定時間の運動負荷をかけていかなければいけません。

等尺性収縮ではその収縮時間、等張性収縮ではその反復回数です。

・運動の頻度

週2回の頻度では週3回の頻度に比べ、その結果が80%相当であったとの報告があります。

一般的には、毎日1回が効果的で、5日に1回だと50%に下がり、2週に1回だと効果はゼロ。それ以下になるとマイナスの効果になるとされています。

・運動の期間

筋力訓練開始後の週週間は神経性因子によるものであり、筋肥大は3~6週以降とされています。

高齢者の筋力増強は、若年者と比べ、運動期間を通して神経性因子と関与が大きいとされています。


(星永剛,北山徹:筋力増強運動の基本:PTジャーナル・第38巻第5号:2004)


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動作ができないという背景にある筋の機能障害は、ただ単に筋の張力が不足したために、関節運動がちゃんと起こらないというものではありません。

動作を正しく制御するためには、いくつもの筋が協調して活動し、それぞれの筋が適切なタイミングで、適切な張力をもち、適切な収縮形態(求心性・遠心性・等張性)で発揮されなければなりません。

例えば、起き上がりなんかにしても、腹筋だけ筋力があれば起き上がれるというものではなく、頸部や上下肢の筋が適切な場面で活動し、求心性・遠心性を上手くコントロールさせながら、起き上がっていくわけです。

石井先生によると、動作に必要とされる筋の作用が、十分に発揮されない状態を「筋の機能不全」と呼ぶことにしています。

筋の機能不全が起こる原因としては・・・
◎末梢性の原因
 原因:廃用性筋萎縮、筋に関する疾患や外傷、末梢神経損傷など
◎中枢性の原因
 原因:痙性麻痺、弛緩性麻痺、固縮などの筋緊張異常による

以上のように言われております。

末梢性の筋力低下の問題に対しても、「筋量の減少」なのか、「神経的要因」なのかを区別していかなければなりません。

術後などの廃用であれば、筋の横断面積が減少し、筋線維の萎縮が起こっています。これが、「筋量の減少」です。

やる気・意欲・大脳の興奮水準の低下によってインパルスの発射頻度の減少がおこり、動員される運動単位が低下します。これが、「神経的要因」です。

以上のような理由で筋力低下が引き起こされますが、では、筋力をつけたから、歩行能力が上がるかと言われればそういうわけでもありません。

正常な基本動作において要求される筋力ってそれほど大きくはありません。

歩行においては、平均して健常人の最大筋力の約25%程度といわれています。(Perry et al,1986)

たとえ十分な筋力が発揮できても、適切なタイミングで筋が収縮しなくては動作はスムーズに遂行することはできません。

タイミングのズレ、つまり筋の反応性の低下の原因としては、筋紡錘や腱紡錘などの固有受容性感覚器に刺激が加わらなくなり、神経-筋メカニズムの反応が賦活化しなくなることが原因となります。

(石井慎一郎:動作分析 臨床活用講座―バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践:2013)


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臨床所見で圧倒的に多い「筋力低下」です。

では、我々は、筋力低下に対してちゃんと正しくアプローチできているんでしょうか?

常に、原因を明確にし、適切にクリニカルリーズニングできているんでしょうか?

理学療法を行う上で、一番の基礎ですが、少しでも疑問に思った時は原点に返り見直してみることも必要になってくると思います。

そんなときに読み返すのは、やはり市橋先生の参考書ですね!

まず、筋力低下の原因ですが、筋力低下は主動作筋の神経性要因と、筋委縮の2つの原因が考えられます。

さらに、主動作筋以外の原因としては拮抗筋の過剰収縮固定筋の筋力低下の可能性があります。

※神経・筋病変(脳卒中や筋疾患)など、外傷によっても筋力低下は起こってはきますが、ここではないものと考えます。




◎主動作筋の神経性要因

・大脳の興奮水準の低下
廃用や加齢の原因によって、大脳の興奮水準は低下し、活動に参加する運動単位数や、発火頻度が減少し、発揮できる筋力が低下します。これは、自分の臨床でですが、このような方には筋トレの時は「ハイ!蹴って!!、ほら伸ばして!!」などと非常に大きな掛け声をして、興奮水準を上げるようにしています。

・痛み
OAなどによって生じる場合だと、筋力発揮する時に大きな関節圧迫力が加わり、痛みが生じ、筋力発揮を抑制する。

・関節の腫脹
例えば、膝関節の関節水腫が起こると、大腿四頭筋の筋活動に対して抑制がかかり、筋力低下が起こります。関節穿刺(膝の水を抜く注射→Dr.が行います)にて水腫を除去してから、筋力トレーニングを開始した方がよいです。

◎主動作筋の筋萎縮

筋萎縮により、筋力低下が起きている状態であり、筋萎縮のみの原因で筋力低下が起こっている場合だと、固有感覚の低下は起こりません。筋トレとしては最大反復法が適応となります。

◎主動作筋以外の問題

・拮抗筋の過剰収縮
特に高齢者や、術後患者に多く見られます。過剰収縮筋の緊張を落とし、反復練習(運動学習)が必要です。

・固定筋の共同運動障害や筋力低下
最大筋力発揮時には、その筋の起始部が固定されていないと、十分に筋力が発揮できません。
この場合は、固定筋の筋力トレーニングを行う必要があります。


(市橋則明:運動療法学―障害別アプローチの理論と実際:2008)


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カンファレンス

回復期病棟に入院される脳血管障害の方の入院期間は期限いっぱいの150日(5カ月)あるいは、180日(6カ月)となることが少なくありません。

一般的には、脳卒中の回復過程は、発症から180日まで麻痺の回復は進み、それ以降は安定し、後遺症はそのまま残ると言われています。

つまり、基本的には、予後が良ければ、期限いっぱいの入院し、麻痺をできるところまで回復させ、退院まで動作獲得のための訓練が必要となってくるのです。

その入院期間の途中で定期的にカンファレンスを行い、病状の状態や、今後の方針などを話し合っていきます。

チーム内で意見を統一させ、患者さんに一番良いアプローチを検討していくのです。

カンファレンスではどのような内容の検討事項があるのか?また、どの時期にどのような話し合いをするのか、大まかな流れを書いていきます。

◎入院時カンファレンス
・予後を予測
・評価内容と目標設定
・退院後の生活スタイルの検討
・退院までのタイムスケジュールの明確化
・リハビリテーション実施計画書の作成

◎1カ月カンファレンス
・再評価と目標の再検討
・リハビリテーションプログラムの再検討

◎2カ月カンファレンス
・病棟ADLの同時評価
・再評価と目標の再検討
・リハビリテーションプログラムの再検討
・リハビリテーション実施計画書の作成

◎3カ月カンファレンス
・試験外泊の検討
・福祉用具などの提案
・再評価と目標の再検討
・リハビリテーションプログラムの再検討
・リハビリテーション実施計画書の作成

◎4カ月カンファレンス
・家族への介護・介助指導の検討
・福祉用具などの提案
・住宅改修の原案作成
・家屋調査の実施
・再評価と目標の再検討
・リハビリテーションプログラムの再検討
・リハビリテーション実施計画書の作成

◎5カ月カンファレンス
・試験外泊を行っていく
・リハビリテーションプログラムの再検討
・リハビリテーション実施計画書の作成

◎6カ月カンファレンス(退院前カンファレンス)
・退院へ向けての最終確認
・維持期リハビリテーションへの情報伝達
・家屋状況、サービス利用の確認
・自主訓練、生活指導の確認
・リハビリテーション実施計画書の作成


以上となりますが、これはあくまでリハビリテーションサイドの検討事項ですので、Nrs・Dr・MSWなどの検討事項は別となります。

適切なタイミングで、適切な提案をし、リハビリテーションを円滑に進めていくことが大切であると思われます。


(丸山 仁司,黒澤 和生,望月 久,竹井 仁,網本 和:評価から治療手技の選択 中枢神経疾患編 (考える理学療法):2006)


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寝返り ブログ用

寝返りの動作分析に関する文献って、昔はほぼ皆無でしたよね。学生時代、レポートをつくる際に寝返りの問題点を抽出し、治療を考える時は非常に苦労しました。

皆さんはどうですか?

寝返りは数多くのパターンがあり、健常人でも常にワンパターンの寝返りをするわけではないため、どのような寝返りができたらゴールなのか?考え方の基準になるものがありませんでした。

石井先生の動作分析の考え方は、非常に明確です。

正常と逸脱した動作を単に正しいフォームにするというのではなく、動作の「機能」を見ていかなくてはいけないという事です。

特に、寝返りは起き上がりや、立ち上がりにつなげていく動作であるべきという事なのです。

◎寝返りの第1相

頭頚部のわずかな屈曲と回旋が生じ、上側の肩甲帯の前方突出とリーチが起きるまでの区間を指します。
運動の開始部位は頭頚部である。頭頚部の屈曲と回旋が動作に先行して起こります。
頭頚部の屈曲回旋に続き、上側になる肩甲骨が胸郭面上で前方突出し、上肢が寝返る側にリーチされます。

◎寝返りの第2相

上部体幹が回旋運動を始め、上側になる肩が下側の肩の上に配列されるまでの区間を指します。
肩甲骨の前方突出と上肢のリーチに続き、胸椎・腰椎が回旋し、体軸内で回旋が生じ上部体幹が寝返る方向に回転していく。
胸椎が回旋し始めるころから寝返っていく側へ身体重心を移動させるため、下肢が支持面を操作します。
体軸内の回旋は、上部体幹が先行して、下部体幹の回旋へと波及していきます。

◎寝返りの第3相

上部体幹の回旋に続いて下部体幹が回旋を始め、側臥位になるまでの区間を指します。
第3相の体軸内回旋は、第2相と異なる回旋パターンを呈します。
第2相の体軸内回旋は、固定された下部体幹に対して上部体幹が回旋します。一方、第3相になると回旋運動は逆転し、固定された上部体幹に対して下部体幹の回旋運動がおきます。
この回旋運動の逆転によって、先行した上部体幹の回旋に下部体幹の回旋が追いつき、側臥位が完成します。

(石井慎一郎:動作分析 臨床活用講座―バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践:2013)


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<症例>
85歳
男性
労作時息切れなどあり
心臓カテーテル検査を実施。
冠動脈重症3枝に対して心拍動下冠動脈バイパス手術を施行。
ope翌日には人工呼吸器から離脱し、PT開始となります。
Dr.の指示のもと早期の理学療法開始となり、離床を進めていきます。

<PT前の確認事項>
・昨日までの全身状態(看護記録、Drからの情報)
・ドレーン、ルート、人工呼吸器など付属類
・呼吸循環動脈(血圧・脈拍・心拍数・SpO2・心電図など)

<ベッドサイドでのPT前の手順>
・高齢で脳梗塞のリスクも高いために、ope中は血圧低下に十分注意を払っている。
 ope後は神経症状なども見られず、予定通り人工呼吸器からの離脱も行えている。
 積極的なリハの実施をDrより指示あり。
 胸部X線上、心胸郭比の増加、胸水の貯留が認められます。
・中心静脈カテーテル
 スワン・ガンツカテーテル
 末梢動脈カテーテル
 左右の胸腔ドレーン
 心嚢ドレーン
 心電図モニター
 酸素投与
 膀胱留置カテーテル
 などの付属品類が挿入されています。
 カテコールアミンなどの薬剤投与量を座位耐久性練習前に確認します。
 ちなみに、本症例は、ドパミン塩酸塩(DOA)、ドプタミン塩酸塩(DOB)ともに4ml/時
・BP 146/68、P 86、心電図上は心室性期外収縮の散発が認められています。
 SpO2 100(酸素60%、10L、マスク)
 心係数3.3L/分/㎡
 肺動脈楔入圧9mmHg
 尿量も確保されている状態です。


さぁ、この状態の患者さんを起こしていきます!



この記事は続きます・・・後日へ

(嶋田 智明,斉藤 秀之,有馬 慶美:ベッドサイド理学療法の基本技術・技能 (臨床思考を踏まえる理学療法プラクティス) :2013)


最近は、テレビCMなどで尿漏れの治療薬などをよく目にすると思われますが、尿漏れ・尿失禁に対して深刻な悩みとして日常生活が著しく低下している方もおられます。

尿漏れ、つまり尿失禁にはいろいろな種類があり、その対処方法も異なります。

高齢者で多いのは・・・
・機能性尿失禁
・切迫性尿失禁
・溢流性尿失禁
・腹圧性尿失禁


機能的尿失禁は、病気やけが、加齢により体が動きにくくなった場合に生じるもので、その対処方法としては、脱ぎやすい服を着る。あるいは、トイレまでの廊下に手すりをつけるなどです。

切迫性尿失禁や、溢流性尿失禁に対しては、薬物療法や手術療法が行われます。

そして、腹圧性尿失禁は、くしゃみや咳、荷物を持ち上げた時などの動作によって不意に腹圧がかかった時に、弱くなった骨盤底筋群が耐えられず、尿が漏れてしまうものです。

正常な骨盤底筋群は膀胱を十分に支え、尿道を締める働きを持っています。ただ、骨盤底筋群が弱くなると膀胱が垂れ下がってしまい、尿道を閉める力が落ちてしまい、尿が漏れやすくなってしまいます。

特に、女性は妊娠や経腟分娩の原因によって骨盤底筋群が弱くなります。

腹圧性尿失禁の予防および治療法としては、運動療法が有効とされています。

報告によると、腹圧性尿失禁患者に1回20分の骨盤底筋群のトレーニングを1日3回毎日施行した結果、腟内圧が上昇し、6~8週間で84%の患者に尿失禁の改善が見られたとのことです。

通常、骨盤底筋群は横隔膜や腹筋群と協調して働くため、腹圧性尿失禁の方に対しては、深部筋を働かせるようなエクササイズを提案していきます。

尿失禁に対しては、それ自体が生命の危機に関わることはないので、治療は後回しにされがちですが、時には本人の自尊心を奪い、生活の質(QOL)を低下させる原因となり、リハビリに対するモチベーションの低下につながるため、臨床の現場では適切な対応をとることが望ましいと考えられます。

(市橋則明、小田伸午:ヒトの動き百話―スポーツの視点からリハビリテーションの視点まで;2011)

我々、人間の姿勢制御には「視覚」、「前庭感覚」、「体性感覚」が複雑に影響し合っています。
その中でも、特に高齢者においては、メインとして「視覚」からの情報を用いて環境を認識しています。

歩行動作の安定性には、視覚情報の役割は非常に大きいと考えられています。

動きの中で発生する知覚情報として、オプティカルフロー(オプティックフロー)があります。
オプティカルフローとは、身体または物体の動きによって網膜上に生じる規則的かつ工学的な変化のパターンを指します。

ちょっと難しいようですが・・・課題遂行時の周辺の風景の流れや、見え方の変化のことですね。

最近は、講習会に行くと、よく聞く言葉になってきました。

我々が進行方向を見据えて前に進む時、網膜上では進行方向の一点を中心として風景が拡大していきます。
この拡大率は、中心から遠くなるほど大きいため、中心から遠い位置ほど風景が早く通り過ぎているように見えます。

例えば、椅子に向かって歩いている場合、目標である椅子を中心とした周辺領域は接近に伴い徐々に拡大して見えますが、椅子を中心とした網膜に映る周辺領域は、自分から近い周辺領域ほど拡大率が大きくなる。

誰もが、自動車や電車の眺めで体験したことはあると思います。

オプティカルフローを知覚することで、さまざまな情報を獲得します。空間を直進する場合、フローの拡大中心が移動方向となります。等速度で移動する場合は、空間にある物体に対してどのくらいの時間で到達するかを特定することができます。歩行のような空間移動行動の場合は、オプティカルフローを知覚することで、歩行の制御に必要な情報の多くが獲得できると考えられています。

例えば、トイレットペーパーの芯を2つ両目にあて、のぞいた風景だけ見て歩こうとしてください。周辺の景色の変化が見えなくなることで、目標物までの距離が分かりにくくなり、歩くのが怖くなりませんか?

見え方の変化が姿勢制御に大きく関連しています。

視覚情報を取り込むためには、視線を動かすことが必要です。
歩行や上肢動作など、日常行為の遂行中の視線の移動パターンと身体の移動パターンには、時間的・空間的関係があることが明らかになっています。
適切な身体運動の実現のためには、適切な視線行動が必要です。

目標物である椅子に座ろうと歩いている時、足元の階段に気付かずに、足を踏み外してバランスを崩して転倒しました・・・なんて事ではだめなのです。

歩行中の視線というのは自分の進むべき方向、あるいは目標到達点や障害物などに対して停溜します。また、目の前の情景をくまなくサーチするような非効率的な動きではなく、個々の状況における歩行の目的達成に必要な情報に対して選択的に向けられます。

オプティカルフローの考え方に基づけば、最適な進行方向に視線を固定することは、対象への到達時間を特定するための光学的な情報を利用でき、安全な空間移動のための非常に効果的な視線行動といえます。

臨床のリハビリテーションの現場においても、オプティカルフローは姿勢制御において欠かせない要素であり、視線を正しく制御することは、空間内の重要な対象物の視覚情報処理のために不可欠なのです。

(山岸茂則:臨床実践 動きのとらえかた  何をみるのか その思考と試行:2012)



ちなみに富田先生が言われている「視覚的なフロー」と「体性感覚的な場のフロー」の乖離した状態は以下の動画になります。

視覚的なフローと体性感覚的な場のフローの乖離した状態

右側に近づこうと意識しても、身体は反発して近づけないのです。
我々、健常者が行う寝返りの動作パターンは非常に多く、以下のパターンに分類できる。

◎上肢の運動パターンの分類

上側の上肢が肩関節の高さより低い位置でリーチされる動作パターン
上側の上肢が肩関節の高さより高い位置でリーチされる動作パターン
上側の上肢で床面を押し付け、その後リーチする動作パターン
上側の上肢で床面を押し続けて寝返る動作パターン

◎頸部、体幹の運動パターンの分類

骨盤と肩甲帯の位置関係が固定された動作パターン
骨盤が先行する動作パターン
骨盤と肩甲帯の位置関係が変化する動作パターン
肩甲帯が先行するパターン

◎下肢の運動パターンの分類

両側下肢が屈曲し、床面からもち上がる動作パターン
片側下肢が屈曲し床面からもち上がる動作パターン
片側または両側の下肢が屈曲し、床面を押して寝返る動作パターン
片側の下肢が支持面から持ち上がり、下肢の重さを利用して寝返るパターン
どちらの下肢も支持面と接触し続けるが、下肢で床面を押す部位が変化する動作
側臥位へと回転するにつれて、右脚または大腿は左下肢の後ろに残されるパターン

(Randy R,Richter:Description of Adult Rolling Movements and Hypothesis of Developmental Sequences,PHYS THER.69:1989)



ただ、機能障害のない健常成人が行う寝返りの動作パターンは非常に豊富であり、10回寝返れば10通りの寝返りをする場合があります。寝返り動作の正常運動パターンを定義するのは難しいです。

しかし、運動パターンには、ある普遍的特性が存在しています。

その普遍的特性とは「脊柱の回旋運動による肩甲帯と骨盤帯の間の回旋」すなわち、「体軸内回旋」です。(Bobath,1978)

健常成人の寝返り動作においては、身体各体節を筋活動によって連結させ、ある部位から始まった回旋運動が、途切れることなく前進に波及します。また、身体すべての体節が、身体の回転運動を阻害しないように運動するのが特徴です。

(石井慎一郎:動作分析 臨床活用講座―バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践:2013)


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