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靴
靴を履く過程は6つに分けることができます。

①靴を適切にセットする
②足先を靴の開口部に入れる
③足先を靴先に滑らせ、足を適切に靴内に位置させる
④靴を踵に入れる
⑤踵を靴後部に合わせる
⑥靴ひも・ストラップ等を締めて靴を足にフィットさせる

靴を履く動作で失敗している方は、この動作過程のどの相で失敗しているのか分析し、各動作ごとに代償手段を考えていきます。

①靴を適切にセットする
この相の場合、健常者は靴をまっすぐ置くことで、問題なく足を靴の開口部に入れることができますが、片麻痺の回復過程にある方は、下肢の運動パターンにより位置と方向で足を入れやすい向きがあります。ベッドサイドであらかじめ靴を置いておくときは、位置と方向は下肢の運動パターンに合わせた所に置くことが望ましいと思われます。

②足先を靴の開口部に入れる
この相で失敗する場合は、足部に重度の変形や拘縮があり、うまく開口部に入らない場合や、自分の足部や下肢全体を随意的に操作できない場合が多いと思われます。
こういった場合、上肢機能が保たれており、開口部を大きくした靴が、前上部の中央を開閉できるファスナー付きの靴です。
上肢の随意性が低く、THAなどで、床に手が伸ばせずリーチャーや火ばさみなどを使わざるを得ない方は、マジックテープのストラップ付きの靴が適していると思われます。
足部の変形や拘縮が重度で、介助者が靴をはかせることが困難な場合、フルオープンタイプの靴も有用だと思われます。

③足先を靴先に滑らせ、足を適切に靴内に位置させる
この相は靴を知覚しながら、足部を動かしていく過程です。
動作としては、足部全体を前方に移動させ、靴先の空間に入れ込んでいく過程ですが、この時足趾の屈伸運動を伴う場合があります。屈伸運動が不足している場合は、足趾のエクササイズを取り入れる必要があると思いますが、この過程で失敗している場合、②と同様に開口部が大きくできる靴で、前足部の空間が広いタイプの靴が適していると思われます。

④靴を踵に入れる
まず、この過程で失敗している場合、靴のサイズが合っているかを確認します。そのうえで、踵部が靴に入らない場合、靴べらの使用をお勧めします。

⑤踵を靴後部に合わせる
この過程は、足部を靴内空間の後方に位置させ、前方に少し余裕をもたせた履き方であり、靴の踵を床にトンとうちつける動作になります。これは特に積極的に歩行をする人で、靴からの圧や摩擦で足を痛めないようにするために重要な過程ですが、積極的に歩行を行わない方は省略されます。

⑥靴ひも・ストラップ等を締めて靴を足にフィットさせる
靴ひもやファスナーは上肢機能の高い方に適しており、困難であればストラップタイプのものがよく、バレーシューズの場合はこの⑥の過程は省略となります。ただ、バレーシューズの場合は②、③の動作が困難になりやすいために注意が必要となります。

(坂口 顕:理学療法士のための足と靴のみかた:2013)


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立位の姿勢制御戦略 ブログ用

学生時代よく耳にしたことがあると思います。人の立位時の姿勢制御の戦略は3種類に分けられ、

①足関節を中心とした運動で反応する足関節戦略(ankle strategy=アンクルストラテジー)
②股関節を中心とした運動で反応する股関節戦略(hip strategy=ヒップストラテジー)
ステッピング戦略(stepping strategy=ステッピングストラテジー)

足関節での制御では、足関節の周囲筋を十分に働かせて、足部を固定することが必要になってきます。股関節での戦略に比べてankle strategyは運動制御に強い筋力が必要になってきます。

特に、高齢者では、ankle strategyは難しい高度な反応となるので、機能しにくくなりやすいのです。高齢者はhip strategyで代償するようになりやすいのです。

ankle strategy⇒少しの動揺刺激が加わった時に働くバランスコントロール
hip strategy⇒大きい動揺刺激が加わった時に働くバランスコントロール

状況下に応じて働くようになっていますが、hip strategyメインで行っている高齢者においては、ankle strategyを身につけておくことは転倒予防に重要と考えられます。

まず、ankle strategyの評価をしていきます。

立位で前方への上肢のリーチを行い、股関節屈曲や体幹前傾が生じず足圧中心が前方移動して、足関節戦略が行えているかを確認します。

これが行えない場合は、足圧中心を前方移動するための足関節周囲の筋力向上とバランス反応を促すトレーニングを行っていきます。

立位での足関節の底屈運動 ブログ用

運動療法の実際としては、立位で足関節の底屈運動を行います。最初は難しければ上肢支持をしたままで行い、できるようになってきたら、不安定なバランスマットの上で行ったり、上肢支持を外していったりして課題の難易度を上げていきます。

(武富由雄、市橋則明:理学療法プログラムデザイン〈2〉ケース別アプローチのポイントと実際;2012)


臨床では心不全をもつ患者さんは多く、心不全があることで運動負荷がかけられなかったり、十分な訓練ができず、動作獲得が困難になったりと、非常に難しい疾患の一つだと思います。

昔は、心不全患者さんの薬物治療の中心はジギリタス薬利尿薬でしたが、現代ではレニン・アンジオテンシン系(RAS)抑制薬β遮断薬を中心とした薬物治療の時代となり、心不全の予後は大きく改善してきました。

ただ、これらの薬物治療があっても心不全の方の予後は悪く、薬物治療のみでは心不全の治療と予防には限界があります。

昔は、心不全患者の治療原則は安静である!と言われていましたが、最近は多くの臨床研究から心不全患者であっても、運動療法を行う事により運動耐容能予後が改善することが報告され始めているのです。

心不全に対する運動療法の効果 ブログ用

これらから、代償された安定期にある慢性心不全に対して運動療法を実施することで、多くの良い効果が得られることが報告されてきました。

心不全の方は、運動後に「息が苦しい感じがします」とか、「ちょっと歩いたら疲れました」など、労作時の呼吸困難や易疲労性があり、これらの症状は心不全の運動耐容能の低下を示す特徴的な症状です。

しかし、運動耐容能と左室収縮機能との相関は低く、運動耐容能は骨格筋の筋肉量の減少や血管拡張能の低下および、代謝異常などの末梢因子の影響が大きいと考えられています。

つまり、心不全の患者さんへの運動療法は障害された心臓に「もっと働け!」と促すものではなく、自律神経機能や体液性因子の改善、骨格筋の血流や代謝の改善、換気パターンを含む呼吸状態の改善がされることによって、全身状態が良くなっていくというメカニズムになっているのです。

実際に、心不全の方に運動療法を開始する前には、適応と禁忌を評価しなければなりません。

初期の運動強度の決定に際しては、自覚症状・左室機能・血中BNP濃度・運動耐容能をメインで考慮して慎重に開始していきます。

特に、血液データから、BNPが200~400pg/ml以上にある症例では、ごく低強度による運動療法から開始して、心不全の増悪がないか症状を注意深く観察しながら行っていきます。

「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012)」による運動処方によると、運動強度の決定には、

①心拍数予備能を用いる方法
②最高酸素摂取量や嫌気性代謝閾値を用いる方法
③自覚的運動強度を求める方法
④安静時心拍数をもとにした簡便法

などがあります。

運動開始初期は、5~10分間の運動を15~30分の休憩をはさんで、2回繰り返す程度にとどめることが望ましいとされています。

また、初期の1カ月は毎週、自覚症状や体重の増減などの経過を比較していき、可能な限り胸部X線、血中BNP、できれば心肺運動負荷試験や、心エコー検査などで評価していくことが望ましいと思われます。

(上月正博:心臓リハビリテーション:2013)

膝蓋大腿関節(PF関節)とは、膝蓋骨と大腿骨からなる関節であり、「膝のお皿の上の部分が痛い感じです」など、膝蓋骨の周辺や膝前深部の痛みの訴えがある場合、膝蓋大腿関節の障害を疑います。

膝蓋大腿関節痛のある患者さんの膝蓋骨は外側不安定性となっている事が多いです。

膝蓋大腿関節の痛み ブログ用

ここで、筋力トレーニングを行う上で、大腿四頭筋の筋力トレーニングでは、膝蓋骨の外側偏位を修正することはできません。

どういうトレーニングがよいかと言うと、外側広筋(VL)よりも内側広筋斜頭(VMO)の方を強く収縮させるような選択的なトレーニングが重要となってきます。

では、どんなトレーニングが効果的かというと、

OKCでは股関節内転と伸展を組み合わせたトレーニングが良いとされています。

CKCでは30°膝屈曲位でのスクワットで股関節を内転方向に等尺性収縮させるのがよく収縮するとされています。

OKCでのVMOトレーニング ブログ用

CKCでのVMOトレーニング ブログ用

(武富由雄、市橋則明:理学療法プログラムデザイン―ケース別アプローチのポイントと実際;2009)


臨床の現場で変形性膝関節症(膝OA)を有する患者さんは非常に多く、疼痛を有し、動作障害を起こしている方は、膝OAに対してのアプローチが必要となってきます。

大規模なコホート研究によると、40歳以上の日本人における変形性膝関節症の有病率は男性42.6%、女性62.4%であり、国内の患者数は2530万人と言われています。

そのためにはまず、膝OAの評価をしていく必要があります。

部位別に分類すると、内側型、外側型、混合型に分けられます。

中でも、内側型変形性膝関節症が多いとの報告があります。

画像診断としては、荷重時X線像にて、
①骨棘形成
②関節裂隙の狭小化
③軟骨下骨の骨硬化
④膝関節アラメントの変化

これらに加え、骨欠損、骨萎縮、骨嚢包形成、関節亜脱臼などの所見を含めて評価します。

以上の臨床所見をもとに、K-Lの分類(Kellgren-Lawrence分類)や、腰野分類、北大分類などを用い、病期分類をしていきます。

今日臨床でよくつかわれる分類は、骨棘形成と関節裂隙の狭小化を指標にしているものが多いとのことです。

下肢のアライメントの評価としては、膝外側角(FTA)と、下肢機能軸(Mikulicz線)が重要です。

FTAとは、立位正面X線上で、大腿骨軸と脛骨軸の交点の外側角であり、日本人成人も正常値は男性178°、女性176°で軽度外反位となっています。

Mikulicz線とは、立位正面像にて大腿骨頭中心より足関節中心までの直線のことであり、この線と膝中心からの距離が2.5㎝以上離れている場合は病的だと言われています。

今回は、内側型のOAで、Kellgren-Lawrence分類でグレードⅠ・ⅡあるいはⅢの方の治療戦略について書いていきます。

まず、「なぜ膝OAは痛いのか?」という問題に対してですが、膝の内側に異常なメカニカルストレスがかかっていることで、疼痛が起きているのですが、初期の段階では半月板損傷や骨壊死などを鑑別する必要があります。

現在の所、疼痛発生のメカニズムとしては・・・

①罹患軟骨下骨の骨髄内小脈のうっ血
②関節包の骨棘など関節軟骨周辺での摩擦による滑膜炎
③変形や拘縮にともなう関節周囲の筋腱付着部炎

などが主な原因と考えられています。

ここで、大切なことは、膝OA自体は炎症性疾患ではないが、疼痛を呈する原因としては炎症性疾患も含まれているという事です。つまり、臨床で評価する際にまず炎症所見があるかどうかを評価し、炎症があればその対応を先に行うべきなのです。

(整形外科リハビリテーション学会:関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション 下肢・体幹:2008)


(山田 英司:山田英司 変形性膝関節症に対する保存的治療戦略 (理学療法士列伝―EBMの確立に向けて):2012)


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パーキンソン病の患者さんで、体幹前傾位になっている方は、臨床の現場では非常に多いです。

特に、パーキンソン病の方での体幹前傾位は重心が前方変位しやすく、歩行時の前方突進を助長してしまう問題点があります。

治療アプローチを考えていく上では、胸腰椎に着目しがちであるが、股関節に問題点がある方が多いです。

パーキンの体幹前傾 ブログ用

原因としては・・・

①股関節の伸展制限のために立位・歩行時に体幹前傾となり、それを代償するために胸腰椎が伸展している。

②股関節伸展筋である大殿筋の筋力低下があり、股関節伸展が保てず、体幹前傾となってしまう。

①、②のどちらかの原因の場合もありますし、両方混在している方もおられます。

理学療法の実際として、股関節の伸展制限がある場合は、ストレッチによって伸展可動域を出していきます。

股関節前面のストレッチ ブログ用

大殿筋の筋力低下がある場合は、大殿筋メインでトレーニングを行っていきます。

大殿筋優位のブリッジング ブログ用

個別にトレーニングが行えたら、今度は股関節伸展位での立位姿勢を学習していきます。

立位エクササイズ 股関節伸展位 ブログ用

声掛けのポイントとして、ただ「体を起してください!」というコマンドでは、胸腰椎の伸展を強めやすい傾向にある方が多いですので、「股関節を前出すように体を伸ばしてください!」とか、「おへそを上げるように伸びてください!」など、股関節の伸展を意識していく工夫が必要だと思われます。

(武富由雄、市橋則明:理学療法プログラムデザイン〈2〉ケース別アプローチのポイントと実際;2012)


訪問介護は一般的にホームヘルプサービスと言われ、掃除、洗濯、買い物などの家事や、食事、排泄、入浴などに介助が必要な場合に受けることができます。

臨床では、退院後に在宅で生活していく患者さんで、特に独居の方で、利用頻度の多いサービスになります。

サービスを提供する人は、訪問介護員(ホームヘルパー)と呼ばれ、介護福祉士1級、2級のホームヘルパー養成研修や介護職員基礎研修を修了した人がなることができます。

◎要介護1~5の方が対象になるのは・・・訪問介護で、「身体介護」「生活援助」の二つの区分があり、それぞれに料金が異なります。「生活援助」は一人暮らしで、家族や地域の協力が得られない場合にのみ(⇒つまり、同居家族がいる場合、原則利用できませんが、市町村によって判断が異なります)利用できます。

◎要支援1~2の方が対象になるのは・・・介護予防訪問介護で、本人が自力で家事を行うのが困難で、一人暮らしで、家族や地域の協力が得られない場合にのみ(⇒つまり、同居家族がいる場合、原則利用できませんが、市町村によって判断が異なります)、身体介護と生活援助の区分はなく、利用回数による定額制で利用できます。

<身体介護>
・食事介助
・排泄介助
・衣類の着脱介助
・身体整容
・入浴介助・清拭
・洗面
・体位変換
・移乗・移動介助
・通院・外出介助
・就寝・起床介助
・歩行訓練の介助
・自立支援のための見守り援助
・特段の専門的配慮をもって行う調理

<生活援助>
・掃除
・洗濯
・衣類の整理・補修
・一般的な調理
・配膳・下膳
・買い物
・薬の受け取り

※生活援助とならないサービス
(以下の事はヘルパー利用の際、サービスとして行ってもらえません!注意しましょう!)

・利用者以外の者の洗濯、調理、買い物、布団干し
・主として利用者が使用する居室以外の掃除
・来客の応接(お茶、食事の手配など)
・自家用車の洗車
・庭の草むしり
・花木の水やり
・犬の散歩やペットの世話など
・家具、電気機器などの移動、修繕、模様替え
・大掃除、窓のガラス吹き、床のワックスがけ
・室内外家屋の修理、ペンキ塗り
・植木の剪定などの園芸
・正月などの特別な料理

・・・例えば、「お客さんが来る部屋が散らかっているから、ヘルパーさんに片づけてもらおう。」とか、「外の犬の世話が今後難しくなるから、ヘルパーさんにお願いしよう。」というのは認められていません。

ただ、これらを保険外でしてもらったり、市区町村の生活支援事業シルバー人材センターなどを紹介して行ってもらう方法はあります。

(高室成幸:図解入門ビギナーズ 最新介護保険の基本と仕組みがよーくわかる本 (How‐nual Beginners Guide Book):2012)


(杉田まどか:現役ケアマネが教える最新介護保険利用のしかた:2012)


(國光登志子:図解 介護保険の上手な利用術:2007)

トレンデレンブルグ徴候 ブログ用

トレンデレンブルグ徴候とは、股関節外転筋の機能不全が存在する患側下肢で片脚立位になったときに、骨盤の水平位を保つことができず、遊脚側下肢の骨盤が下がる現象です。

片脚立位時に、患側へ体幹が側屈し、かつ骨盤傾斜も起こる現象をデュシェンヌ現象といいます。

中殿筋機能障害を伴う歩行では、患側立脚期でトレンデレンブルグ徴候が出現すると同時に、頭部・体幹が患側あるいは健側へ傾く2種類の代償運動が生じます。

(石井慎一郎:動作分析 臨床活用講座―バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践:2013)


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パーキンソン病の方で小刻み歩行を呈する方は、臨床上よく見る事があります。

歩幅は基底核から補足運動野への投射によって行われており、小刻み歩行は補足運動野の活動の低下が原因ではないかと考えられています。

一般的には・・・

外部環境の手がかりに依存しない自発的な運動は、基底核→補足運動野系が働いています。
外部環境の手がかりの情報を利用しての運動は、小脳→運動前野系が働いています。


また、パーキンソン病では、歩行の自動性が低下しており、注意機能に大きく依存しています。注意が他の課題にいくと、歩行への注意が低下し歩幅を維持できません。

治療の方針としては、障害されている基底核→補足運動野系の調節ではなく、残存している小脳→運動前野系が活性化するために外的な手がかりの利用による代償的な運動療法を指導します。

また、注意の配分に考慮した運動指導を行っていきます。(歩行への意識の集中、dual taskを避けるなど

小刻み歩行に対する工夫 ブログ用

上図は視覚的な手がかりとして、床面の工夫の一例を示しています。これを跨ぐようにして歩幅の増加を図ります。

(武富由雄、市橋則明:理学療法プログラムデザイン―ケース別アプローチのポイントと実際;2009)


extension lag ブログ用

extension lag(エクステンションラグ)は膝関節伸展不全のことであり、膝関節の術後(TKAなど)の方によく見られます。

extension lagとは、他動(passive)の伸展可動域と、自動(active)の伸展可動域の差のことです。

一般的に、原因の一つとして内側広筋の筋力低下と言われたりしますが、京都大学大学院の市橋先生によると、膝関節伸展不全の原因は内側広筋の筋力低下ではありません。

内側広筋を麻酔しても最終伸展は可能であり、最大筋力の低下もないと報告されているからです。

extension lagの原因は以下の通りですが、この中で最も考えられるものに対してアプローチしていきます。

1.筋力低下
2.ハムストリングスの収縮
3.ハムストリングスの短縮
4.痛み(反射性の抑制)
5.腫脹(伸展域の方が関節の圧が高まり、大腿四頭筋に抑制をかける)
6.大腿四頭筋短縮位での収縮不全

治療の実際として・・・

1の筋力低下の場合は、絶対的な筋力が不足しているために、膝伸展の筋力トレーニングを行います。負荷量はその人に応じて設定しながら、行っていきます。

2の場合は、膝関節伸展でハムストリングスの同時収縮が起こってしまっているため、セラピストや患者自身が、座位でハムストリングスを触診し、収縮の程度をフィードバックしながら、膝伸展を繰り返して行っていきます。

3の場合は、短縮のためストレッチを行います。

4・5の場合は、痛みのでない範囲の角度で、また痛みの出ない負荷量でトレーニングを行います。

6の場合は、座位の大腿四頭筋の短縮位で痛みがないのにも関わらず、lagが出現しているので、膝90°から伸展のエクササイズをするのではなく、膝0°の伸展位でキープするように保持することで伸張性のトレーニングとなり、効果が出やすくなります。

そして、extension lag自体が問題点になるかという点ですが、膝伸展不全があっても動作上の問題となることはほとんどありません。また、膝関節伸展不全があるからと言って、歩行時に膝折れが出現するというものでもありません。

よって、lagを治すという事は治療優先順位としては低く、臨床的にはlagがあっても通常の筋力トレーニングを行うということになってきます。

(武富由雄、市橋則明:理学療法プログラムデザイン―ケース別アプローチのポイントと実際;2009)


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