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摂食・嚥下

起立性低血圧とは、起立時に収縮期血圧が20mmHg以上、または拡張期血圧が10mmHg以上下降することと一般的には定義されます。

高齢者での起立性低血圧の出現頻度は、1日に2回以上、1日1回、全くなしがそれぞれ1/3程度いるとされています。

40のナーシングホームに居住する844例の高齢者(すくなくとも1分以上体重を支えていられるという条件)を対象にベースラインで1日4回、食事前後の血圧を測定し、平均1.5年間の転倒の有無を追跡した結果、過去6ヶ月間に転倒の既往があるものは、起立性低血圧と転倒が有意に関連し、複数回起立性低血圧を示したものでは2.6倍の転倒再発リスクを示しました。

食事は消化機能を活発にし、副交感神経を刺激します。食後の収縮期血圧(最高血圧)が食前よりも20mmHg以上低下する場合には、食後低血圧の可能性が高いといえます。

食事後低血圧は一般的に、個人差はありますが、食後30分~1時間程度で出現すると言われます。

さらに食事後の姿勢変化によって、起立性低血圧が食事摂取後の低血圧と相加的に出現することがあるとされています。

臨床の現場では、食事後の歩行や立位などは転倒のリスクがあるという事を認識し、食後しばらくは休憩をとったり、食後低血圧を起こさないようにゆっくり食べるように促していくことも大切になるかと思われます。

(泉キヨ子:エビデンスに基づく転倒・転落予防 (EBN BOOKS):2005)


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「視床痛」という言葉を聞いたことがあると思います。

病態としては、視床膝状体動脈の出血によって視床後外側腹側核を含む障害で視床症候群を呈します。

視床痛の中枢性の痛みは脳卒中後1、2カ月して発症するのが一般的です。

症状としては、表在感覚の障害に加えて半身の持続的な激しい焼けつくようなジリジリとした痛みが生じ、さらに皮膚を軽く触ったり、圧迫するといった刺激に対して、激痛が発作性に増悪したりします。

いったん発症してしまうと、昼夜激痛に苦しむ事となり、ADL、QOLが著しく低下してしまいます。

視床痛による痛みによって、筋のアンバランスや不適切な姿勢異常と運動パターンによって機能障害を起こし、うつ症状も呈してきます。

薬物治療が行われることが主ですが、残念ながら効果はあまり期待できません。

現時点では視床痛に対する治療法については確立されていません。リハビリテーションにおいては痛みの増悪を起こさせずに、それでいてできるだけ積極的な運動を行っていく必要があります。

患者さんによっては痛みが軽減してくる場合もあります。

一方で臨床では、抑うつ的な症状を呈する方は多く、リハビリテーションが十分に行えない事があります。

人によって動ける幅や、環境によって精神的な面が改善されたりする場合があるので、多方面からのアプローチを考えていくことが大切ではないかと思われます。

また、視床後外側腹側核のすぐ背側に位置する後外側核は姿勢定位に関わる重要な核であり、これらの関係性を考慮した評価と治療を考えていくことが重要になってくるのではないかと思われます。

(原 寛美,吉尾 雅春:脳卒中理学療法の理論と技術:2013)


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臨床では、動作時の膝の痛みを訴える方で、脛骨粗面の内側の鵞足部に圧痛を示す方がおられます。

そういった方の下肢のアライメントは、外反膝(X脚)、回内足、大腿骨前捻、下腿外捻といった異常アライメントになっている場合が多いです。

また、内側ハムストリングスの短縮によっても鵞足部の痛みが生じる場合があります。

実際の評価としては、まず鵞足を触診して圧痛があるかどうか確認します。

次に、立位での骨盤前傾の有無を確認します。運動連鎖においては骨盤前傾により、股関節屈曲・内転・内旋、膝関節伸展・外旋・外反、足関節底屈が生じます。これにより、骨盤前傾が大きい患者さんは運動連鎖によって膝関節の外反アライメントとなり、鵞足にストレスがかかるためです。こういった方は骨盤へのアプローチを行っていきます。例えば、股関節の屈曲拘縮のある場合は股関節屈筋のストレッチを行い、屈曲拘縮がないのに骨盤前傾している場合は、腹横筋トレーニングや立位での骨盤後傾運動の練習などを行っていきます。

また、扁平足の有無も確認します。扁平足の患者さんの場合は、立位で足関節外反しており、運動連鎖によって膝関節屈曲・内旋・外反、股関節屈曲・内転・内旋、骨盤前方回旋が起こるために、鵞足部にストレスがかかりやすくなっています。こういった方は足底板などによって足部からのアプローチを行っていきます。実際の治療としては、アーチサポートや内側ウェッジ入れることで足部を回外位にします。

鵞足部の痛みが出ている方は内側ハムストリングスの緊張が高い場合が多く、この場合はストレッチによって軽減することがあります。

アイシングによって疼痛が軽減する場合もあります。

(武富由雄、市橋則明:理学療法プログラムデザイン―ケース別アプローチのポイントと実際;2009)

バランス 玉乗り
実際の臨床の場面において、バランス能力の評価を行うに当たっては、みなさんセラピストはどのような評価項目を行っておられるでしょうか。

もちろんすべての方が画一的な方法で評価を行っている事はなく、動作からその方に必要な項目を行っておられると思います。

今回は、近年取り上げられる機会の多い以下の3種類のパフォーマンステストに着目し、検討を行います。

①Functional Reach(FR)
②Timed Up and Go Test(TUG)
③Fanctional Balance Scale(FBS)


①Functional Reach(FR)

FRは、高齢者のバランス測定のために、Duncanらにより提唱されたテストです。検査自体はとても簡単で、腰幅程度の開脚立位をとって上肢を90°挙上位とした後に、できるだけ前方にリーチ動作を行い、その時の最大移動距離を測定します。

一方で、バランスとは、静的バランスが「支持基底面が維持されて、質量中心のみがうごいているもの」で、動的バランスは「支持基底面および質量中心が、ともに移動・変化するもの」とされています。

このことから、FRは静的バランスの指標となるわけですが、動的バランスに基づく歩行との関連を示した報告も少なくありません。ただ、静的バランスは機能性は評価できても、日常的な動作の中での評価になっているかと言えば難しいと言わざるを得ません。日常的な生活の中では外乱負荷に対する応答、支持面が変わる中での随意運動など、さまざまな条件下でのバランスの推測が必要となり、FRだけでは難しいと思われます。

②Timed Up and Go Test(TUG)

TUGは、バランス障害をもつ高齢者の移動能力を評価するため、Podsiadloらにより提唱されたパフォーマンステストです。検査は、対象者が椅子から立ち上がり、3mの直線距離を歩行した後に方向転換してもとの椅子に戻り、着座するまでの時間を測定するものです。このテストによって、下肢・体幹の筋力、協調的な筋活動、立ち直り反応、下肢の支持性など複合的なパフォーマンスを評価できるとされています。しかし、このテストは動作に要した時間という特異的側面のみで判定されます。

日常生活においての歩行では確かに歩行スピードが求められる場面も出て着ると思いますが(例:横断歩道を渡る、自動ドアをすり抜けるなど)、もともとのADLで歩行スピードが低い患者さんは、自立判定にいつまでたってもならない、なんて事になるので、歩行の自立判定を行うにはこの場合は他の判断要素があるようです。

③Fanctional Balance Scale(FBS)

FBSは高齢者のバランス能力を把握するための指標として開発されたものです。日常生活に関連する14項目の動作課題を行い、その安全性、所要時間、距離の要素で5段階(0~4点、計56点満点)で判断するものです。

この評価は、座位・立位での静的な姿勢保持能力とともに、動作時のバランス能力の評価が可能とされています。歩行能力との関連を示した報告も多いです。ただ、臨床の現場においてはこの検査は14項目もあるので、要領よく行っても15~20分はかかるため、忙しい現場においては難しくなるでしょう。

それぞれの評価で、どのような情報を知ることができるのか把握しておく必要があると思われます。

(井上 和章:“ながら力”が歩行を決める 自立歩行能力を見きわめる臨床評価指標「F & S」:2011)


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糖尿病患者さんで初期の段階の方は普通の靴で問題はないが、症状が進行している方であると普通の靴では適応とならなくなります。

なぜ、糖尿病の人に特別な靴が必要なのか?

ではどのような靴を選定すべきなのか?

これらの問題を理学療法士を始め、医療スタッフが患者・家族に説明し、理解していくことが今後の患者さんのADL獲得に大きく差をつけます。

その際の注意点も確認していく必要もあります。

糖尿病の三大合併症の一つであり、最も早期に出現するのは糖尿病性神経障害となります。糖尿病性神経障害とは運動神経障害知覚神経障害自律神経障害の総称であり、どれも糖尿病性足病変の重大な要因となります。

☆運動神経障害では足趾の変形が生じ、市販の靴ではサイズが合わなくなる

運動神経障害によって、筋肉・腱組織のバランスが崩れると足趾が変形していきます。代表的な例として、外反母趾、内反小趾、hammar toe、claw toeなどがあります。このような足になってしまうと、市販の規格靴ではサイズが合わなくなり、歩行時の圧迫やずれによって趾尖部や関節などの突出部に胼胝鶏眼(うおのめ)を形成します。

☆知覚神経障害では、痛みを感じなくなり傷も感じない

通常は、胼胝や鶏眼(うおのめ)は歩行時や荷重時に非常に痛く感じますが、知覚神経障害があると痛みを感じないため、気づかなくなります。また、サイズの合わない靴を履き続けても気づきません。このため、胼胝や鶏眼(うおのめ)が悪化し、そこに菌が感染して足が真っ赤に腫れ上がって初めて受診する患者さんも少なくありません。

☆自律神経障害では、感染に対する皮膚の防御機能が弱くなる

自律神経とは呼吸、循環、代謝、体温調節、消化、分泌、生殖などを無意識に行われている機能を調節する神経であり、この神経が障害されてしまうと、発汗機能も障害されるので、皮膚は乾燥し、皮膚の亀裂から菌が入り込み、感染に対する防御機能が働かない状態となってしまいます。

このため、糖尿病患者さんは足に傷がつきやすい環境下にあり、傷ができても自覚がなく、悪化させやすいという悪循環に落ちいりやすいため、適切なフットケアを行い、胼胝や鶏眼、傷をつくらせないことが非常に重要なのです。また、糖尿病患者さん本人も自分の身体に関心が低い人が多く、異常があってもすぐ診察を受けずに、重篤化するケースもあるので患者教育も大切になります。

また、すでに傷ができている患者でも、フットウェアで除圧するだけで治癒することもあります。やむを得ず、足趾の切断に至った患者さんでも、適切な対応で早期のリハビリが可能となります。

適切なフットウェアが3年後の再発率を60%から30%に減少させたという報告もあり、再発予防としても重要な役割を果たしています。

そこで、靴選びに関してですが・・・

糖尿病性足病変に適応となる靴の機能としては、足に傷ができにくく、既に足に傷がある場合は治癒の進行を遅らせない事が大切です。

適応となる靴の種類としては、免荷用靴糖尿病患者向け規格コンフォートシューズ靴型装具の3つがあります。

★免荷用靴
潰瘍の治療、術後の早期リハビリが必要な場合に使用します。前足部や後足部がくりぬいて免荷の状態になったものなど種類があります。

★糖尿病患者向け規格コンフォートシューズ
これは糖尿病患者向けに製作された規格靴です。骨突起部に縫い目がなく、あたりが柔らかくつくられています。足に変形があり、傷ができやすい人が適応となります。

★靴型装具
これはまず、足の採型を行い、オーダーメイドで製作する靴です。適応としては、規格靴では対応できない重度の足変形の状態か、足部の切断がある方です。

以上が屋外で履く靴についてですが、糖尿病患者さんの場合、屋内での履物も重要となります。

家の中でも、裸足で歩くと硬いものを踏んだり、何かに足をぶつけて傷ができる可能性があります。

本当は屋内でも、屋外と同じ靴を履くことが好ましいのですが、屋内で靴を履くことに抵抗感がある方は、ルームシューズが良いのではないかと考えられます。

また、靴下に関しても、足を清潔に保つために毎日替えることが重要です。その時、靴下に血液などが付着していないかチェックすることで傷の早期発見につながります。また、足尖部に縫い目がないものや、下腿部の締め付けが弱い物など、糖尿病患者用の靴下も市販されています。


(坂口 顕:理学療法士のための足と靴のみかた:2013)


脳卒中後の早期の抗重力的な運動機能がまだ不十分な時期に、背臥位からの起き上がりや抗重力活動の求められる座位などを行うことで、上肢筋とくに屈筋群の緊張が高まったり、体幹や肩のアライメントが崩れやすくなる方が臨床ではよくおられます。

また、肩全体の固定と動きが、筋の弛緩のために得られない事があります。これらが肩の痛みの誘因になることも考えられます。

大脳小脳神経回路の障害を伴う場合には、フィードフォワードの障害による運動前発射が上手く行えずに、肩関節や股関節のような中枢部の固定が難しくなることが多いです。

立位や歩行練習が行われるような時期では、フィードフォワードシステムとしての近位四肢筋や体幹筋の活動が得にくいことから、麻痺側下肢への効率的な荷重・姿勢保持が困難で、上肢では連合反応としての屈筋群の過活動が見られます。

大脳小脳神経回路の障害の回復期初期では、情動・認知・記憶などの調節がうまく行えない小脳性認知情動症候群(CCAS)を呈する事もあります。情動のコントロールがうまく行えずに、注意障害を持つ上肢の低緊張状態の患者の肩関節は、かなり危険な状態にあるため管理に注意が必要です。

大脳小脳神経回路の障害をきたす方のなかにはCCASに加えて、フィードフォワード制御としての運動前発射が動作中に見られないことから、姿勢の崩れが良く見られ、日常的にそれを繰り返してしまう。それを補うように麻痺側上肢は過度の屈筋の緊張が生じ、繰り返されることによって著しい上肢の屈曲拘縮を招いてしまいます。

さらに空間認知や姿勢定位の障害を併せ持つと、その上肢はさらに著しい過活動を生じ、下図のような屈曲拘縮を作り出すこととなります。

上肢の屈曲拘縮 ブログ用

まず、これを防いでいくためにも、フィードフォワード制御を意識して、徹底的に姿勢制御の練習を繰り返すことが重要となります。変形拘縮となってしまった場合は治すことはできませんが、変形拘縮の予防として姿勢制御の練習は必要となります。

方法としては、立位で長下肢装具の利用によって麻痺側下肢への荷重を促して、股関節周囲や体幹筋が働きやすい環境をつくり、上肢への過度な影響を抑えることも重要です。

今回は座位についてのポイントですが

座位で練習を行う時に特に気をつけなければいけないのは、ヒトの股関節の構造にあります。

千里リハビリテーション病院の吉尾雅春先生が言われている事ですが、ヒトの真の股関節、すなわち寛骨大腿関節の最大屈曲は70°程度であるという事です(下図)。下図は健常者の股関節屈曲角度ですが、特に、脳卒中患者の麻痺側股関節屈曲角度は制限されていることは多いですが、寛骨大腿関節の動きが制限されていることは少ないと言われています。
そして、安楽座位で骨盤は後方に40~50°、姿勢を正した座位でも骨盤は20°程度後方に倒れた状態です。

健常成人の股関節屈曲 ブログ用

脊柱はその倒れた骨盤上にあり、座位で体幹を抗重力伸展するためには大腰筋の随意的な活動が不可欠となります。

そのために座位練習では、座面を高くしたり、ウェッジやクッションなどによって前方へ傾斜させることで、上記の股関節の可動域制限と、骨盤の後傾の問題を考慮して骨盤前傾を促すことができ、効率的に体幹の抗重力伸展が促されることとなります。(下図)

下図は膝関節・股関節が90°程度で座位保持を行っていますが、もっと座面を上げて高座位の状態で座位練習を行うと良いと思われます。

座位の安定性を増すための工夫 ブログ用

このような股関節周囲・体幹筋が働きやすい環境をつくった上でのエクササイズにより、フィードフォワード制御を意識していくことは大切なことであると思われます。

(原 寛美,吉尾 雅春:脳卒中理学療法の理論と技術:2013)


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