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立ち上がり時に、重心の前方移動が難しく、離殿で失敗している方は脳血管障害や股関節術後に限らず、臨床ではよく見られます。

立ち上がり時の重心前方移動においては、骨盤・体幹の前傾、下腿の前傾が重要になります。

つまり、股関節と足関節の動かし方が十分に行えるようになると、重心の前方移動はもっとスムーズに行えるようになってきます。

立ち上がりには2つの戦略(ストラテジー)があるとされます。

力(ちから)ストラテジー:重心を支持基底面の中にとどめ続けながら、下肢の筋力で主に立ち上がるやり方です。(高齢者の方や、立ち上がりに失敗している方が良くやる立ち上がりの戦略です。)この戦略を選択した場合、重心の前方への移動量は多く要求される事となり、②に比べて重心の前方移動が不十分になりやすくなります。

運動量ストラテジー:骨盤・体幹前傾の勢いを股関節伸展筋でブレーキをかけることで、膝関節伸展のモーメントに変えていくという慣性力を利用します。(われわれ健常人が良く用いる立ち上がりの戦略です)

つまり、立ち上がり動作で重心の前方移動を十分に行う様にしていくには、②の立ち上がりのやり方が選択される必要があります。

まず、評価としては矢状面で動作時の上半身重心(Th7~9)がどのように移動しているかを確認しながら、体幹の屈曲の程度と、骨盤の前後傾の有無を見て、離殿のタイミングで下腿の前傾が適度に行えているかを評価します。この時に立ち上がりのスピードや、骨盤・体幹の前傾の停止するタイミングで殿部離床・膝関節伸展が起きているかを確認して、運動量ストラテジーの戦略にて動作が行えているかを評価します。

以上の評価を踏まえ、ROMやMMTで、ある程度問題ないレベルにはあるが、立ち上がり時に重心の前方移動ができていない方に対しては、動作の学習が必要になってきます。

○骨盤・体幹前傾が不足している場合

骨盤前傾の誘導アプローチ ブログ用

上図の左は、三角ウェッジにより座面を傾斜させることで、座面より上の質量中心位置を前方に移動しやすくすることが可能になります。

中央は、椅子での端座位の状態から椅子の後脚を持ち上げるようにすることで、座面より上の重心を前に移動することが可能となり、骨盤前傾が誘導できます。

右は、端座位にて膝を深く屈曲することによって、ハムストリングスの短縮位・大腿直筋の伸張位を生じさせて、それにより骨盤前傾を誘導できます。

骨盤前傾の誘導 ブログ用

上図は、セラピストが患者さんの大腿前面の皮膚を両側同時に遠位方向に移動させている状態ですが、そうすることで骨盤前傾を誘導することができます。

○下腿の前傾が不足している場合

下腿前傾の誘導 ブログ用

キャスター付きの椅子に腰かけ、足底接地の状態で、下腿の前傾により椅子を前方に移動していきます。この際に、バランスボールを下腿前方と床との間に挟み込み、上図のようにバランスボールを潰していくような意識で下腿前傾を促していくのもよいでしょう。

この時注意する点としては、踵部が床から離れてしまうと足関節底屈を促してしまうので注意が必要です。

○立ち上がりのスピードが遅く、慣性力を利用して殿部離床ができない場合

慣性力を用いた立ち上がりが重要となりますが、離殿時に下腿の前傾と同時に、骨盤の前傾に股関節伸展筋がブレーキをかけていくことを学習していきます。このタイミングを習得していくまで繰り返し練習していきます。

まず、端座位で大腿上に上肢を置き、そのまま膝蓋骨の方に手掌を滑らせながら、一定の速度で体幹前傾していきながら殿部離床までもっていきます。殿部離床後は立ち上がらずに、すぐに着座してこれを繰り返していきます。

注意する点としては、上肢の力でpushしないようにしていきます。

(福井 勉:ブラッシュアップ理学療法―88の知が生み出す臨床技術:2012)


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脳卒中後のうつ病は比較的頻度の高い障害です。臨床の現場においても、脳血管障害にうつ病が合併し、リハビリテーションの進行の妨げになっている方も多いのではないかと思われます。

うつ症状は、患者さんの身体機能・認知機能・社会機能にマイナスの影響を与えるだけでなく、家族への負担の増加の影響もあります。

脳卒中後のうつ病の罹患率は、発症後10%程度から40%台と幅広い報告があります。

脳卒中後に自殺念慮を抱く患者さんは、脳卒中患者の7%にもおよぶという報告があります。脳血管障害後に自殺によって死亡する割合は、健常者と比較するとおよそ2倍になります。

脳卒中後うつ病の症候学的特徴としては、気分の落ち込み、不安、イライラ感、焦燥感を伴います。意欲は低下し、興味・性欲の減退、思考面では自責感、自信の喪失、思考力の低下、自殺念慮などが生じてきます。

身体的な面では、動悸、のぼせ、発汗などの自律神経症状、倦怠感、不定愁訴を訴え、不眠となることが多く、食欲減退、体重減少が認められることも多いです。午前中が症状としては、最も重くなるという日内変動を認めることも多いです。表情は暗く、外見は悲壮感が漂っています。

以上のような症状に、いち早くスタッフが気づき、対処していくことが重要となります。

まず、脳卒中後うつ病を判断する前に、うつ病アパシーを区別して鑑別していかなければなりません。

うつ病では、抑うつ気分を伴い、気力の低下や、イライラ感、焦燥感を伴い、考えすぎで脳が疲れきっている状態ですが、アパシーでは基本的に抑うつ気分を伴わず、イライラ感、気分の低下はなく、脳は疲れていない状態です。また、うつ病では自殺念慮を伴う事がありますが、アパシーの患者さんではありません。薬物の治療面では、うつ病に対して抗うつ薬での効果を認めることが多いですが、アパシーの場合は、効果は乏しくドパミン遊離促進薬にて効果を認める事があります。リハビリの場面においても、うつ病に対しては無理をさせないことが基本ですが、アパシーの患者さんに対しては積極的に動かしていくことが必要になります。

脳卒中後うつ病の治療としては、薬物療法十分な休養が基本です。リハビリテーションにおいては、患者さんとの関わり方が重要になってきます。

患者さんとの接し方に決まった方法はありませんが、リハビリテーション自体がうつ病を改善することもあれば、リハビリテーションで現実に直面したことで、うつ病発症のきっかけを与えてしまうこともあります。こういった場合は、患者さんに自信をつけさせるために課題のレベルを下げて行う事も一つになってきます。

病棟生活においても、頑張りすぎてしまう性格の人の場合は、無理しすぎないように指導していくことも大切です。必要に応じてリハビリを一時中止することも必要になってきますが、患者さんが不安にならないように、困った時に相談にのれる体制をつくっていくことが重要かと思われます。

自宅復帰後でも、社会との接点が狭まることがないように、社会との接点を保つことで孤独感、絶望感を和らげていくことをしていかなければなりません。

本人や家族においても、脳血管障害の後遺症はほとんどの場合はじめて経験するもので、うつ病が合併した場合、家族の負担や困惑は非常に大きくなります。神経内科、リハビリテーション医、精神科医、リハビリテーションスタッフ、看護師、家族がそれぞれ意見交換を行いながら、治療方針を一定の方向に決めていくことが大事になります。

(河村 満:急性期から取り組む高次脳機能障害リハビリテーション QOL向上のために今すぐできる日常生活援助:2010)


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持久力訓練

理学療法の臨床の場面では、持久力の低下を生じていることで、日常生活動作の制限や社会活動能力の低下が起こっている事が多いです。

理学療法における問題点で「持久力の低下」をあげる事がありますが、では「持久力の低下」とはどういった状態の事をいうのか?どのような運動療法を行っていけばよいのか?明らかにしていかなければいけません。

持久力とは生理学的には、「筋のエネルギー源の供給と代謝産物の回収の定常性が維持させる状態」と定義されます。

ただ、評価を行う際には、単に運動持続時間や距離などの量的指標によって規定するのは難しい場合もあります。課題によって持久力の性質が違い、実際のパフォーマンスには筋力・スピード・技術力などの要素が含まれているからです。

持久力には「全身持久力」「局所持久力」があります。

全身持久力とは、全身の骨格筋の1/7~1/6以上の筋肉が働く場合です。つまり、呼吸・循環の持久力を指します。

局所持久力とは、全身の骨格筋の1/7~1/6以下の筋肉が働く場合で、いわゆる筋持久力を指します。

○全身持久力の目的

目的としては以下の通りです。

・最大酸素摂取量の増加
・有酸素作用開始の時間短縮
・有酸素作用の時間拡大
・心血管系の機能向上

○全身持久力に影響する因子

①トレーニング開始時の運動歴
・運動習慣のない人は最大酸素摂取量で50%の改善が期待されます。
・運動習慣のある人は最大酸素摂取量は10~15%しか改善されません。
・持久系アスリートは2~3%しか改善されません。

②遺伝
遺伝による影響度は25~50%と言われています。
トレーニング開始後1年間で、持久的な潜在能力は頭打ちになります。

③加齢
加齢に伴い最大酸素摂取量は低下し、中高年ごろから10年で5~10%低下、最大心拍数は10年で3%低下、最大心拍出量は約8%低下します。

④性差
思春期後は最大酸素摂取量が女性は男性の70~75%と言われます。

⑤トレーニング特異性
トレーニング効果は運動タイプの同じ課題でよく反映されます。

⑥筋量や運動タイプ
抗重力筋などの大筋群のトレーニングは最大酸素摂取量はアップします。局所持久力トレーニングではそれほど向上が期待できません。

○至適運動強度

全身持久力は、70~90%HR(50~85%VO2max)くらいでトレーニングすると改善します。

持続時間は70%HRで20~30分、90%HRでは10~15分、70%HR以外は45分程度で行います。

頻度は2~5回/週が望ましいとされています。

筋持久力は、最大の30%の負荷で最大の2/3以上で行い、頻度としては3回/週以上行う事が望ましいとされています。

○トレーニングの効果判定のしかた

①筋実質量の増大
②疲労の低減
③運動持続時間と距離の延長
④運動課題の記録の短縮

これらを指標に、持久力訓練によって効果が出ているかを臨床において判断していきます。

○なぜ持久力がアップしたのか?

①最大酸素摂取量のup

日常生活に必要なレベルは12~14ml/kg/分です。

トレーニング開始1~2週間後に改善が現れます。3か月実施すると最大酸素摂取量は15%増大します。この内訳としては、心拍数増大が50%、運動筋内の動静脈酸素較差が50%となっています。

ちなみに、1年間継続して実施すると、最大酸素摂取量は30%増大します。この場合の要因は動静脈酸素較差で運動筋の酸素の利用効率が高まるためです。

②心機能の適応

①の通り、心拍出量の増大が生じ、安静時での心筋の伸張が促され、また、訓練によって心筋の血管の増生が生じます。このことにより、心機能が良くなります。

③末梢部機能の適応

全身持久力トレーニングによって、動静脈較差が増大します。これは、筋肉内で酸素の利用効率高まったということです。なぜ、利用効率がアップするのかというと以下の項目になります。

・ミトコンドリアの数と大きさがup
・毛細血管密度が増大した
・筋線維あたりの毛細血管数が増大した
・筋線維typeⅡbがtypeⅡaに変異した

以上のことが要因と言われています。

④呼吸機能の適応

全身トレーニングによって、1回換気量が増大するような深い呼吸ができるようになり、有効細胞換気量がupします。

また、呼吸筋の持久力トレーニングでは肺活量は増大しないが、MVVは14%増加します。

○持久力訓練の実際

①持続法

プログラムとしては、ウォーミングup(3~5分)→エクササイズ→クールダウンの順序で行います。注意する点としては、運動で患者さんに不快な思いをさせないことです。

運動は最大心拍数の60~70%あるいは、120回/分の運動強度で行います。脈拍のモニターはex中か、安定した運動強度になってから3~5分後にチェックします。

②インターバル法

95~100%(ほぼ全力)を3~8secを行い、セット内の休憩時間は2~3分で、1セット4~5回実施し、セット間休憩は乳酸産生防止のために7~10分取っていきます。

(市橋 則明:運動療法学―障害別アプローチの理論と実際:2014)

転倒予防のエビデンス

地域在住高齢者の転倒予防のための介入方法に関するコクラン・システマティックレビュー2009年版においてエビデンスが述べられています。

①グループエクササイズによる複合的な運動介入には転倒予防効果がある。
→相対リスク:0.83

②太極拳には転倒予防効果がある。
→相対リスク:0.65

③在宅での個別運動介入には転倒予防効果がある。
→相対リスク:0.77

④ビタミンDを摂取しても転倒を予防する効果は認められない。
→相対リスク:0.96

⑤環境整備には転倒予防効果は認められない。
→相対リスク:0.89

⑥滑りにくい履物には転倒予防効果は認められる。
→相対リスク:0.42

⑦抗精神病薬の中断には転倒予防効果がある。
→相対リスク:0.34

⑧頚動脈洞過敏症を改善することで、転倒予防効果ある。
→相対リスク:0.42

⑨白内障の治療には転倒予防効果がある。
→相対リスク:0.66

上記のとおりとなり、特に①、②、③はセラピストが率先して行うようにしていかなければなりません。

太極拳は最近、転倒予防効果があると言われるようになってきていますが、臨床の現場で、そのまま実践するのは難しい所もあると思います。太極拳の運動特性を含んだ簡単なオリジナルの体操を行っている地域も多いようです。

興味深いのは⑤ですが、環境整備だけでは転倒予防効果はほとんどないということです。必要なことは、環境整備に加えて、運動介入などによる包括的な介入であり、それが転倒予防効果を向上させるとのことでした。

病院から退院して在宅での自立した生活を行う上で、転倒を未然に防いでいく必要が臨床では大切になってきます。

(市橋 則明:高齢者の機能障害に対する運動療法―運動療法学各論:2010)

リハビリテーションやスポーツでのエクササイズはCKC(閉鎖性運動連鎖)OKC(開放性運動連鎖)に分けられます。

われわれが日常生活で行っている動作としては、両方の構成要素を組み合わせたものになります。

 CKCとOKCを使い分けてエクササイズを行う目的としては、運動様式や筋骨格系への力や負荷のかかり方が違ってくるからであり、損傷部位への負担や、強化したい部位へ適切なエクササイズ行う為に使い分ける必要があります。

下肢のリハビリテーション、特にACL損傷後のトレーニングにおいてCKCとOKCの比較検討がされています。

○CKCとは

 CKC(closed kinetic chain)は、四肢の末端(遠位端)が固定された状態で、自重による抵抗運動を行う事です。多関節運動の動きに対応しています。例としては立位でのスクワットやプッシュアップの動作、歩行時のstance phaseなどになります。

○CKCの特徴

 CKCでは運動時に共同的な筋収縮が起こることで、関節の動きを安定させます。ただし、目的とする筋に対して選択的に介入調整をすることは難しいです。

 CKCでは、特有の関節の圧迫力・筋の共同収縮によって、求心性受容器の活動が増加して、神経系の効果が期待できます。

CKCではOKCよりも脛骨の前方移動が少ないことが分かっています。要因としては同時収縮によって関節が固定されるためです。

 健常者においてはOKCよりもCKCの方が筋力増強効果に関連性があると言われています。しかし、脳卒中片麻痺患者では比較検討された報告は少ないです。

○OKCとは

 OKC(open kinetic chain)は、四肢の末端(遠位端)は固定されておらず、末端が自由に動く運動の事です。単関節運動の動きに対応しています。例としては、座位での膝伸展の運動、歩行時のswing phaseの状態となります。

○OKCの特徴

 同時収縮が乏しく、日常生活動作で見られるパターンが少ないですが、目的の筋を選択的に収縮させることができます。ただし、日常生活において上肢の動作はほとんどOKCです。

○ACL再建術後の初期のリハビリテーション

 OKCよりもACLに負担の少ないCKCでの介入が多いですが、必要に応じて大腿四頭筋の刺激を行う為にOKCで選択的に介入することもあります。CKCでは代償動作が起こりやすく、誤った使用方法での学習をしてしまう可能性があるので注意しなければいけません。正確な動作方法の獲得をしなければ、再受傷の可能性があるからです。


OKCとCKCトレーニング ブログ用

(嶋田 智明:よくわかる理学療法評価・診断のしかた―エビデンスから考える:2012)



また、他書では以下のように述べられています。

○OKCの特徴

・身体の遠位が動く
・単独の関節が動く
・動くのは関節の遠位の肢節である
・主動作筋が主に活性化される
・免荷肢位で行われる
・動く肢節遠位に抵抗がかかる
・回転モーメントは筋への伸張負荷となる
・外力を使った安定化が必要
・筋肥大を目的に行う

○CKCの特徴

・遠位部は支持面と接している
・相互依存型の関節運動である
・遠位部・近位部の両方または単独で動く
・多数の筋群が活性化される
・一般的には荷重肢位で行われる
・抵抗は他部位に同時にかかる
・軸負荷を利用する
・筋活動、関節圧迫による内部安定化が生じる
・協調性を高める目的で行う

(中山 孝:理学療法基礎治療学I 運動療法 (ビジュアルレクチャー):医歯薬出版:2012)



○開放運動連鎖(OKC)

・神経的因子の強化よりも筋肥大が得られる
・目的の筋をピンポイントで鍛える事ができる
・荷重制限のある時期にも行える
・ADLやスポーツ動作など、実際の動作とは異なる筋の使い方でのトレーニングとなるため、特異性の原理に基づかない事がほとんどである。

○閉鎖運動連鎖(CKC)

・特異性の原理に基づいて行う
・実際の動作と近い関節運動となり、筋の協調的運動が必要となる
・同時に複数の筋が使われるので、強化したい筋が上手く使われない可能性があり、その場合、目的外の筋が代償的に強化されてしまうという欠点がある

(解良 武士:運動療法学 (15レクチャーシリーズ 理学療法テキスト):中山書店:2014)


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静止立位での身体重心の位置は第2仙椎の高さにあり、身体を100%とした場合に、男性では床から56%、女性では55%の位置にあると言われています。

ただし、臨床において動的立位ではこの方法では、身体重心の位置は特定できません。

こういった場合、臨床では福井先生の提唱する上半身重心と下半身重心の中点を求める方法で簡易的に見ていきます。

身体重心の求め方 ブログ用 (2)

上半身重心:第7~9胸椎

下半身重心:大腿の上から1/3と1/2の中点

身体重心:上半身重心と下半身重心の中点

(嶋田 智明:よくわかる理学療法評価・診断のしかた―エビデンスから考える:2012)


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脳卒中などにより、感覚の知覚と認知に関わる部位に病変がある場合では、現状では感覚障害の回復は困難であると言われています。

神経再生の視点から考えた運動療法を行う事は、適切ではないと考えられています。

ただし、一部の感覚種が選択的に障害されている場合は、他の感覚種からの求心性入力で起こる知覚を現実の状況と対照させ、認知する身体状況(座標、関節角度など)を再度基準化する意味においては、感覚障害の改善が期待できます。

どういう事かというと、例えば、脳卒中により下肢の表在感覚が障害され歩行・立位保持が困難な患者さんが、残存している運動覚や位置覚からの情報をもとに下肢の位置情報を把握して、歩行や立位保持を獲得していくという事です。

そのためにどのような要素が必要かというと、次のようになります。

①運動療法を行うための基本的な原則

 不安定版やエアマット、バランスボールなどを使用し、能動的な運動を努力量を調整しながら、身体位置や関節角度を調節しながら課題を行い、関節位置・努力感・運動のタイミング(速度・方向の転換タイミング)・全身の姿勢などの要素に注意を向けながら能動的に運動を行います。

 金子らは、平衡運動保持法を行った所、運動覚や位置覚も改善され、能動的に運動感覚を知覚する運動課題の運動感覚の精度に対する有効性が確認されています。

②注意の付与

 患者さんには訓練内容を十分に把握し、自分の運動に注意を向けてもらうようにし、断続的かつ反復または継続的に行っていただきます。

③結果の知識:knowledge of results(KR)

 「自分がどのように運動したかを話させるのでよく注意して運動してください」などという声掛けを行い、自分の運動を認知させた上で、視覚的な情報や数値の提示などで結果の知識を付与します。練習の回数が同じである場合、KRの頻度は少ない方が学習の成績はよいと言われています。

④局所の運動感覚を意識した運動課題

 例としては、以下のような関節肢位の制御に注意を払いながら行えるような課題です。

運動感覚に注意を向けたエクササイズ ブログ用

⑤感覚再教育

1)感覚障害を自覚させる:感覚消失の程度と範囲を、患者さん本人に確認します。

2)課題の難易度
 課題は患者さんが十分に行えるものとし、興味を引く課題で、学習を促進させるために、失敗と成功が程度にあるレベルのものが好ましいとされます。

3)認識の方法を教えるため、視覚のみではなく健側の手からの入力も知覚するための方策として利用します

4)集中力の維持
 集中力を最大限に持続させるには休憩をとったり、課題を変えたりします。

5)感覚テストとトレーニングに使用する課題や物体は、異なるものとします

6)教示する課題の具体例
 ・書字覚課題
 ・身体図式課題:目隠しをした状態で麻痺側の中指を探しなさいというような課題です。
 ・物体認知課題:手で持ち、日常使う物品の形状や質量、質感を識別します。
 ・他動的スケッチ課題:患者さんは手元を見ないまま鉛筆をもち、その手をセラピストが握り図形を描きます。

(市橋 則明:運動療法学―障害別アプローチの理論と実際:2014)

正常なアライメントを立位で確認し、どの部分に異常があるかを確認していくことは治療に入る前の基本となってきます。

教科書的には、矢状面では耳垂・肩峰・大転子・膝蓋骨後面・外果の5㎝前部が一直線上に位置し、前額面では後頭隆起・椎骨棘突起・殿裂・両膝関節内側の中心・両内果の中心が一直線上に位置していると言われています。

立位アライメント ブログ用

ただ、これだけでは臨床的には不十分です。

これ以外のチェックポイントとして何を見るべきなのかを記していきます。

【矢状面】

頭頚部:頭部はニュートラルで頸部は前方に弯曲している

胸椎:正常な後弯

肩甲骨:前方に35°傾斜

上腕骨頭:骨頭が肩峰内、近位、遠位ともに同じ垂直面上

腰椎前弯:20~30°

骨盤:ASISと恥骨結合が同一垂直面上に位置している
   ASISとPSISを結ぶ線と水平面のなす角度が5°以内(ASISが下)多くとも±15°以内


股関節:屈伸0°腸骨稜頂点と大転子を結ぶ線が大腿長軸と一致している

膝関節:ニュートラル

脛骨:軸が垂直

足関節:長軸アーチニュートラル

足指:ニュートラル

【前額面】

頸・胸・腰椎:垂直

胸骨下角:90°

肩甲骨:水平で第2~7胸椎に位置し、胸郭上で平坦、両肩甲骨内側縁は平行、胸椎棘突起から約7.5㎝離れている。両肩峰はTh1棘突起下縁を通る水平軸のわずか下に位置

上腕骨:上腕骨上面は肩峰よりわずかに外側、ニュートラルポジションで胸郭に平行

肘関節:手掌を体側に向けると、肘窩は前方、肘頭は後方となる

傍脊柱部の対称性:腰椎棘突起から5㎝外側で、左右の膨隆部分の差が1.25㎝以内

骨盤:水平

膝関節:生理的外反5°

以上のチェックポイントを確認し、どこにアライメント異常があり、どういったアプローチを考えていくかという事が重要になってきます。

(竹井 仁:第45回日本理学療法士協会全国学術研修大会 「運動器の10年」セミナー5 筋肉の評価:2010)

「歩行」という動作には大脳皮質は大きく関与してないと考えられています。

最近はよく言われますが、歩行中はCPGという皮質下のシステムが働いています。

ただし、最初の一歩は歩行中の制御システムとは全く違う制御が必要です。つまり最初の一歩は皮質の関与が必要です。

最初の一歩目の制御にはGaitinitiationという随意的な制御が必要で、これは最初の一歩目を振り出す時に1回だけ起こります。そのあとの歩行中はこの制御は起こりません。

Gaitinitiationの神経機構は、運動野の4野もしくは6野から遊脚肢へ運動指令を出力することで始まります。

この指令は以下の図のように伝わり、遊脚側下肢の振り出しと、それに伴う立脚側の体幹・骨盤の伸展活動が促通されます。

Gaitinitiationの神経機構 ブログ用

これらに伴い、体幹の伸展活動によって、頭部の上方への加速度が前庭核に伝わり、前庭核が橋に対して抑制性の指令を出します。これによって、立脚側の下肢は伸展筋活動をしたまま、骨盤から上部体幹の筋緊張が必要最低限に制御されます。この制御に問題があると、体幹伸筋群の過剰な緊張が起こってしまいます。

このGaitinitiationの後は、CPGでの制御に変わり皮質下の活動がメインになります。

臨床においては、歩き出しで失敗しているが、歩き出した後は安定してスムーズに歩けている患者さんや、反対に最初の一歩目は気をつけて出せてはいるが、連続的な歩行ができない患者さんと特徴的な病態を示している方がおられる事があると思います。その時はどのような神経回路を働かせる必要があるのか?そのためにはどのような課題が必要になるのか?という事を考えていく必要があると思われます。

(石井慎一郎:歩行の臨床バイオメカニクス レクチャーノートシリーズ Vol.1:2011)


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