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lateropulsion ブログ用

lateropulsion(ラテロパルジョン)という現象を聞いた事があるでしょうか?lateropulsionとは側方への突進現象の事をいい、不随意的に一側に身体が倒れてしまう現象の事を言います。

立位姿勢を観察すると一見、pusher症候群と区別がつきませんが、pusher症候群とは異なります。

pusher症候群と違うのは、pushingの場合、非麻痺側の上下肢が突っ張って押してしまったり、姿勢を正中位に他動的に修正した時に抵抗がありますが、lateropulsion(ラテロパルジョン)の場合は抵抗なく姿勢を正中位に修正できます。

臨床においては、あまり遭遇する場面がないと思われますが、lateropulsionは延髄外側部梗塞にて出現するWallenberg(ワレンベルグ)症候群の一つとしてよく知られています。学会での症例報告も見かけます。

延髄外側部梗塞では、Horner症候群(眼裂狭小、瞳孔縮小、発汗減少など)、損傷と同側の顔面と反対側の上下肢・体幹の感覚解離(温痛覚障害)、同側の小脳失調、構音障害、嚥下障害、嗄声、眼振、眩暈、嘔気などをきたすWallenberg症候群が出現します。またこの疾患においては、錐体路は延髄の腹側を通っているので、随意運動は障害されません。

lateropulsionの責任病巣としては、背側脊髄小脳路外側前庭脊髄路の障害が原因だと言われています。

背側脊髄小脳路は、同側の下肢と体幹からの無意識的な固有感覚の情報が伝達される経路です。

外側前庭脊髄路は、同側の体幹と下肢の伸筋群(抗重力筋)の活動を高め、筋トーヌスを亢進させる経路です。歩行時は特に、軸足になる方の下肢の大腿四頭筋の運動ニューロンの活動が高まります。

このメカニズムを考えると、障害側と同側に体が傾く理由も納得ができますね。

lateropulsionに対する理学療法としては、視覚情報入力を利用したアプローチが難しいため、体性感覚のうち、意識されない体性感覚でなく、意識される知覚(触覚、圧覚情報)を利用してアプローチしていくことが良いと考えられています。

感覚情報を強く意識させて、立位保持を獲得させてから、段階的に歩行訓練に展開していく事が望ましいと考えられます。

(原 寛美,吉尾 雅春:脳卒中理学療法の理論と技術:2013)

看護師

2012年10月発行の書籍です。

普通の書店には置いていない本ですが、非常に興味深い書籍です。

全国トップレベルの病床数を誇る大分県の湯布院厚生年金病院が、50年の歴史を背景に、回復期リハビリテーション病棟の取り組みとチーム医療の実践のノウハウをまとめています。



回復期リハビリテーションへの挑戦―よりよいチーム医療と質の向上をめざして

全国的にも有名な温泉地「湯布院」だけあって、温泉を利用しているプール浴室が設置されており、水中歩行や水中ストレッチ、水中筋力増強など水中でのリハビリテーションが実践されています。その運動療法の効果と、プール浴の実際が書かれています。

脳卒中のリハビリテーション技術の展開として、歩行アシスト装置の装着にて歩行訓練の実施や、三次元動作解析を用いて動作の解析を厳密に行ったり、ロボットスーツHALを用いた歩行訓練、r-TMS(反復経頭蓋磁気刺激)などの最新機器を使用してリハビリテーションを実施しておられます。

また、摂食嚥下訓練でもチーム医療が展開されており、「おおいた食のリハビリテーション研究会」を開催し、各専門職団体が体験型の情報交換型の研修会を行っておられます。

回復期リハ病棟のリスク管理として、医療安全体制、転倒・転落working groupなどの転倒予防活動、無断離院対策としての「スナフキンファイル」などの取り組み、感染対策、死亡・転院事例検討会などの活動によって医療の質を向上していく努力もされています。

また、それぞれの職種の取り組みの実際や、退院後の地域リハビリテーション、教育体制などの実践が紹介されています。大変参考になります。

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