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歩行分析をされる際、皆さんはどこから見て考察されていますでしょうか?

まず、歩いておられる患者さんをぼんやり大まかに見て、全体像を把握しませんか?

臨床においてはまず、歩行の全体像を把握し、身体全体のメカニカルストレスの状態や関係性を確認してから、局所の関節運動やアライメントを観察し、評価していきます。そうしないと、局所だけを分析しても障害各所のストレスメカニズムを捉える事ができません。

学生や、新人が陥りがちですが、例えばswingでのつま先の引きずりに対し、足部周囲につい着眼点を持ってしまいますが、反対側下肢の問題かもしれないし、体幹・肩甲帯あるいは頸部の問題かもしれません。その関係性を見抜くためには、まず全体的に歩行の状態を捉えなければいけません。

そのために、まず歩行の全体像をどのような着眼点で見ていけばいいのかを記していきます。

①動きに流動性があるか?
②障害側は蹴りだし脚か踏みだし脚か?
③足の上に体重がしっかりと乗っているか?
④直線的に進行しているか?
⑤動きにリズムがあるか?
⑥左右立脚における動きの転換に遅れはないか?
⑦遊脚相での弛緩はあるか?
⑧前後への過度な移動はないか?
⑨左右の回旋に非対称が認められるか?
⑩左右への過度な重心移動はないか?
⑪各々の動きがどの時期で起こっているか?

まずは、歩行時に以上の項目を確認します。

こういったポイントで動作を全体的に観察し、動きに異常がある場合は何が原因で動作が阻害されているかを、局所的にここから分析していきます。

ここで、②の踏みだし脚・蹴りだし脚はどのようにして判断するかを述べていきます。こういった着眼点は特に、入谷先生が推奨しています。

以下の図は分かりにくいですが、歩行時の動作を水平面上で、上から見た図となります。六角形の図は骨盤で、前方に足を振り出している様子です。

踏みだし脚と蹴りだし脚 ブログ用

健常人でも我々は、左右の蹴りだしや、踏みだしの大きさが同じ人はだれ一人としていません。必ず左右差があります。その左右の相違で「踏みだし脚」と「蹴りだし脚」を決定していますが、定義として、立脚相で下肢全体の動きが後方へ大きいものが「蹴りだし脚」で、前方への動きが大きい物が「踏み出し脚」となります。


特徴的な動きとしては、「蹴りだし脚」では、同側の肩甲帯の前方回旋、骨盤の後方回旋、股関節伸展・内旋、膝関節伸展・外旋、足関節底屈、足部回内で、体重が内方移動しやすくなります。

一方、「踏みだし脚」では、同側の肩甲帯の後方回旋、骨盤の前方回旋、股関節屈曲・外旋、膝関節屈曲・内旋、足関節背屈、足部回外で、体重が外方移動しやすくなります。

こういった動きがどちらに優位に生じているかで「踏みだし脚」・「蹴りだし脚」を判断します。

(入谷 誠:入谷式足底板 ~基礎編~(DVD付) (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ):運動と医学の出版社:2011)


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パーキンソン病の患者さんは臨床において、特定の姿勢異常を呈している場合が多いですが、特に姿勢異常では、「体幹の側屈」と、「camptocormia」という特徴的な姿勢を取りやすくなります。

こういった特徴的な姿勢はどうして起こるのでしょうか?

体幹側屈とcamptocormia ブログ用

○体幹の側屈

パーキン症病の方でしばしば、体幹の側屈を呈している方を見かけると思います。たいてい、ほとんどの患者さんでは体幹の側屈に伴い、前屈も生じます。パーキンソン病の患者さんは、運動障害の程度は左右対称ではなく、laterality (ラテラリティ=左右差)があります。側屈を生じている側に脊柱起立筋および、腹斜筋の筋活動の亢進が生じており、かつ筋委縮も側屈している側に多く認められます。

原因としては、向精神薬による緊張性ジストニアによって体幹の傾斜をもたらすという説がありますが、定かではありません。現在は、身体図式による身体軸の傾斜が原因ではないかという説が有力です。パーキンソン病の患者さんに、倒れている体幹を垂直に他動的に戻すと、「余計に倒れている感じがします」という訴えが聞かれるのも納得ができます。

○camptocormia

camptocormiaとはいわゆる前屈症の事であり、臥位では体幹の前屈は見られませんが、立位や歩行のような抗重力姿勢制御を必要とする姿勢では、体幹の前屈が生じてくる状態です。意識的に自分で体幹の伸展は可能ですが、疲労によりすぐ体幹が前屈位に戻ってしまいます。

原因として、中枢説と末梢説の2つが考えられています。

中枢説としては、能動的ジストニアの一種だというものです。末梢説は、抗重力筋の筋炎ではないかというものです。

最近、支持されつつある仮説としては、一時的に能動的ジストニアによる問題が生じて、その後二次的変化として脊柱起立筋の萎縮が生じているのではないかと考えられています。

(松尾 善美:パーキンソン病に対する標準的理学療法介入―何を考え、どう進めるか?:文光堂:2014)


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われわれセラピストは、短い治療時間の間に適切に評価し、この患者さんが一人で歩けるのか?付き添いが無ければ歩けないのか?など判断していかなくてはいけません。

今回は、立位保持能力がどれだけできるかによって、歩行がどこまでできるかを大まかに判断する基準を考えていきます。

立位保持能力と歩行能力との関連 ブログ用

以上の表から・・・

○片脚立位が保持できれば、概ね屋外歩行自立レベル

○継ぎ足位が保持できれば、屋外歩行自立の下限・概ね屋内歩行自立レベル

○閉脚位保持可能であれば、屋内歩行自立の下限のレベル

以上のように大まかなスクリーニングが可能です。ただ、この結果は立位保持能力からみた一側面でしかないので、歩行能力がどの程度あるかはこれを元に、詳しく評価していく必要があります。

(奈良 勲:姿勢調節障害の理学療法 第2版:医歯薬出版:2012)

筋緊張の因子 ブログ用

我々はこの地球上で、「重力」という力に抗して直立二足で立って歩いたり、手を伸ばしたり、様々な動きをします。そのためには、人間は中枢神経系にて姿勢・動作時の筋緊張をコントロールしながら、動作を円滑に安定して行う事ができているのです。

座った姿勢で手を伸ばして物をとる時も、体幹の筋活動を上げて体幹が崩れないように反応しながら手を伸ばし、それでも目標物に手が届かない場合は、体幹の筋活動をもっと上げてさらに遠くへ手を伸ばすための安定性を得るために、体幹筋の筋緊張をコントロールしているのです。

こういった筋活動はMMTでは表現できませんが、臨床においては、姿勢時・動作時の筋緊張は適切に評価していかなければいけません。

中枢神経系における筋緊張のコントロールは、大脳皮質、基底核、小脳、脳幹、脊髄などのそれぞれのレベルが働いており、状況や環境に応じてコントロールされています。

臨床においては、「あれ、この患者さん先週より、筋緊張が上がってきてしまっているぞ。」とか、「先日より、低緊張が増してきているな、何故だろう。」あるいは、「こういう風にすると筋緊張が落ちてくるな」などという場合があります。セラピストは筋緊張に影響を与えている因子について検討していかなくてはいけません。

○筋緊張に影響を与える因子

①固有感覚制御
②覚醒・注意・意識
③フィードバック・フィードフォワード
④視覚刺激・聴覚刺激
⑤味覚・嗅覚
⑥知覚・認知
⑦精神症状(認知症)・記憶(想起)
⑧温度覚(体温・室温など)、痛覚
⑨自律神経症状
⑩支持面の状況
⑪筋の粘弾性・速筋・遅筋
⑫軟部組織の短縮(廃用・不動)
⑬バイオメカニクス
⑭加齢・成長・体重
⑮性差
⑯表現型
⑰既往症
⑱感情・情緒

以上の因子が考えられます。

②覚醒・注意・意識についてですが、特に、脳幹網様体にある上行性賦活系の働きにより、筋緊張はコントロールされています。

③フィードバック・フィードフォワードについてですが、反応的動きをフィードバックコントロールと言い、予測的動きをフィードフォワードコントロールと言い、環境や課題に応じて準備的に筋緊張を変化させます。また、末梢からの感覚情報を元に筋緊張を変更していきます。例えば、目の前に物があり、それに対してリーチして持ち上げるという課題があるとすると、準備的に下肢・体幹・肩甲帯の筋緊張を物の重さに対して活動を上げていきます。どのような課題(task)を与えるかによって筋緊張は変化するため、効率よく予測的なフィードフォワードコントロールを促すには、その患者さんの職業で行っていた動作や記憶にある課題を行う事が良いと思われます。

⑩支持面の状況についてですが、支持面とは人と外部環境との接触面の外縁を結んだ面の事です。支持面が広ければ広いほど筋緊張の働きはわずかでよく、支持面が狭いと筋緊張が高まりやすくなります。つまり、支持面を変化させることにより、筋緊張を変化させることができるのです。

⑯表現型についてですが、姿勢・動作パターンは長年行ってきた職業や、生活習慣、環境に影響されてきます。その人が取りやすい姿勢や、行いやすい動作によって、高まりやすい筋群が筋緊張の高くなる部位となります。脳血管障害となると高まりやすい筋群の表現型がさらに強調され、筋緊張が高まりやすくなります。

⑰既往症についてですが、以前患った病気が現在の姿勢・動作パターンに影響している事です。例えば、足部の外傷などによって、足関節背屈制限が出現したとします。そうすると歩行パターンは立脚期で下腿を前に出すことができないので、股関節屈筋で振り出しを代償するようになりやすくなります。そういった既往を持つ方が、脳血管障害となり片麻痺となると、過剰努力となっていた股関節屈筋の要素が筋緊張として現れやすくなります。

⑱感情・情緒についてですが、大脳辺縁系が情動をつかさどっていますが、筋緊張との関連があります。学校の授業でもつまらない話し方の先生の授業は退屈で、姿勢も不良姿勢になりがちですが、自分の不得意な授業でも面白く、分かりやすく説明される先生の授業では、生徒の姿勢も良く、熱心に耳を傾ける傾向にあると思います。これと同じように、我々セラピストの声掛けや、基本的態度の程度が患者さんの筋緊張に影響する事があります。

(斉藤 秀之、加藤 浩:筋緊張に挑む―筋緊張を深く理解し、治療技術をアップする! (臨床思考を踏まえる理学療法プラクティス):文光堂:2015)


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臨床では痛みもなく、ROM制限も解消され、筋力も十分あるのにも関わらず、歩行時には立脚期に十分な荷重が行えず、単脚支持期が短く、跛行を生じるケースを見かけ「これは一体何だろう?」と考えていくことが良くあります。

そういった場合にまず考えるのは以下の項目です。

①立脚初期~中期で重心の上昇が不十分である

立脚初期~中期にかけては重心が上昇していくのが正常歩行となりますが、重心の上昇が十分にできない場合は、単脚支持期が短くなる事があります。自分でやってみると良く分かりますが、片方の膝や股関節を曲げたままで歩くと、荷重が上手くかけにくい感じがして、単脚支持期が短くなると思います。

歩行観察時に、立脚中期で重心が上昇した位置になっていない場合、治療としては立脚中期で重心が適切な位置での荷重練習が良いかと思われます。

この荷重練習の際には、以下の図のように、荷重側の股関節の屈曲や内転、膝関節の屈曲、体幹の側屈、足関節の底屈が生じないように注意していきます。

荷重練習 ブログ用

②ロッカー機能が低下しており、荷重の移行がスムーズに行えていない

歩行時には、ヒールロッカー、アンクルロッカー、フォアフットロッカーが機能していますが、これらが機能しない事で荷重の移行がスムーズに行えず、単脚支持期が短くなる事もあります。

例えばフォアフットロッカーが出ていない場合は、立位や臥位で前足部や足趾への荷重練習や、支持脚から対側の荷重への移行の練習などを繰り返し行う必要があると思われます。

前足部への荷重練習 ブログ用

③別の部分の機能不全を代償してできた動作パターンを学習した結果

ある場所の機能が低下し、それを代償するために単脚支持期が短くなる事もあります。例えば、対側の遊脚が上手く振り出せないために、意図的に支持側の立脚の時間を短くしていたりする事も考えられます。遊脚側やその他の機能や動作の関連性を評価して、何が原因かを考えていく必要があります。

この場合は機能障害に対して治療を行い、正常パターンに近い動作を反復して学習していきます。

以上の課題を行った後に、歩行練習を行う際には、「股関節を伸ばして」とか「お尻が後ろに引けているので前に出して」という運動学的な要素のコマンド入力によって歩容を改善するよりも、「つま先のほうで踏ん張るように力を入れて」など力の入れ方に意識を向けた方が行いやすい事が多いです。

以上の原因以外にも臨床では多くの原因が考えられますが、一つ一つ評価・検証していく必要があります。

(武富 由雄、市橋 則明:理学療法プログラムデザイン―ケース別アプローチのポイントと実際:文光堂:2009)

咳 ブログ用

臨床においては患者さんで、咳が強く出ていたり、長く咳が続く方がおられます。咳嗽(咳)はなぜ出るのでしょうか?その原因に対してセラピストはアセスメントしていく必要があります。

そもそも何故我々は咳をするのかというと、咳によって気道内のゴミなどの異物や痰を、呼気と同時に気道外へ吐き出す為で、生体防御反応の一つと言えます。

まず、咳嗽(咳)には大きく分けて湿性咳嗽と、乾性咳嗽の2つの種類に分けられます。

その原因に関しては、主に以下の原因が考えられます。

①湿性咳嗽(痰のからむ咳)

1)鼻の疾患の場合
・鼻ポリープ

2)感染(上気道~肺)
・気管支炎
・肺炎
・肺化膿症
・肺結核
・非定型抗酸菌症
・肺真菌症など

3)閉塞性肺疾患
・慢性気管支炎
・びまん性汎細気管支炎
・気管支喘息など

4)気管支や肺の構造の変化
・気管支拡張症

5)腫瘍
肺癌など

6)心疾患
左心不全による肺水腫

②乾性咳嗽(痰のからまない咳)

1)感染(上気道~肺)
・咽頭炎
・マイコプラズマ肺炎

2)閉塞性肺疾患
・肺気腫

3)拘束性肺疾患など
・肺線維症
・間質性肺炎
・塵肺
・過敏性肺臓炎
・肺好酸球増多症候群

4)腫瘍
・肺癌
・良性腫瘍
・胸膜中皮腫

5)胸膜疾患
・胸膜炎
・自然気胸

6)刺激性気体の吸入
・喫煙
・各種ガス

7)薬物
・アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬

8)精神神経性
・精神不安定症

以下の表は咳の出る時間帯によって、どのような病態が考えられるかという表です。また、咳がでる時間帯のほかにどのような場所で出るのか?季節に関係するのかも大切な要素です。

咳の出る時間帯例 ブログ用

以上の可能性を踏まえて、どの症状が強くなったのか、どのくらいの負荷量で運動療法を実施していく必要があるのかを検討していく必要があります。特に運動負荷に関しては、左心不全によるものであれば慎重にいかなければいけません。

(齋藤 宣彦:症状からみる病態生理の基本 (看護学生必修シリーズ):照林社:2009)

手術での侵襲、あるいは靱帯や腱の損傷など、組織に何らかの有害な刺激が加わり、損傷が起こると、損傷を受けた組織の除去あるいは修復を促すために炎症という生理反応が生じ、その後、残存する細胞が増殖し、損傷された組織を元通りに修復する過程をたどります。

組織損傷の治癒過程は大きく3つに分かれます。

①炎症期
②増殖期
③成熟期

だいたい以下の図のような流れで治癒過程をたどっていきますが、筋損傷の場合は治癒過程のメカニズムがやや異なりますので、除外します。

組織損傷の治癒過程 ブログ用

①炎症期

組織が損傷を受けるとまず、炎症の中心的な役割をなす血管反応がスタートし、その後白血球による貪食と炎症の終焉を迎えます。その過程として以下の変化が生じます。

1)血管内径の変化とそれに伴う血流量の変化

まず、組織損傷では血管からの出血を伴うため、損傷部位周囲の細動脈が一過性に収縮し、血小板を凝集して凝血槐をつくる事で止血します。この一過性の収縮は数秒~数分間持続し、その後は細動脈は拡張し、これが数十分~数時間持続します。血管が拡張する事によって、血流量が増加するために発赤や熱感などの炎症の症候が出現します。

2)血管透過性の亢進と滲出液の形成

次に、炎症により血管内皮細胞が収縮し、細胞間接合部が開く事で血管透過性が亢進します。これは、普段は血症タンパク質や細胞は細胞接合部から通過できませんが、炎症により細胞間接合部の開いた部分からりタンパク質を含んだ血漿成分が滲出し、腫脹として現れます。

3)細胞成分の血管外への遊走と細胞性滲出物の形成

血管透過性が亢進し、血管内の液体成分が減少し、血液粘性が増加すると血流速度が遅くなり、白血球などの細胞成分が血管壁に集まり内壁を転がる(ローリング)現象が生じます。そうすると白血球は血管内皮細胞の間隙を通りぬけ、血管外へ出て、炎症が生じている損傷部位に向かって遊走します。

4)白血球による貪食

遊走した白血球の中で、まず最初に働くのは好中球で、これは侵入した細菌や細胞の残骸を除去します(貪食作用)。そして、最終的に好中球はアポトーシスを起こし、マクロファージに貪食されます。また、好中球に遅れてマクロファージが損傷部に集まり、アポトーシスを起こした好中球や組織の残骸、細菌を貪食します。それと同時に、線維芽細胞も損傷部に集まり、マクロファージや単球ともに損傷・変性したコラーゲンなどの細胞外基質を分解します。

5)炎症の終焉

壊死した細胞の除去が終わると、炎症に関わった化学伝達物質は中和されていきます。その後、血管の状態も血管拡張も血管透過性の亢進もなくなり、血流も正常となり、滲出していた血漿成分はリンパ管を通って回収されていきます。炎症の終焉は通常、受傷後から7~10日で見られます。

②増殖期

受傷後、約3日~2週間の時期に当たり、以下の変化が生じます。

1)上皮化

受傷後数分以内に、上皮化と呼ばれる表皮の再生が始まります。基底層からのケラチノサイトの供給によって表皮を形成し、ラミニンやタイプⅣコラーゲンにより基底膜の形成が行われ、表皮の再生が完了します。

2)肉芽組織形成

血小板やマクロファージから分泌されるPDGF(血小板由来成長因子)により、線維芽細胞が刺激され、その線維芽細胞が組織に集積・新入します。そして、線維芽細胞の増殖が生じ、創部は細胞外基質で埋め尽くされるようになります。これが、肉芽組織形成と呼ばれる反応です。

3)血管新生

肉芽組織が形成された部分に酸素と栄養素を供給するために、血管新生という反応が生じます。血管内皮細胞が分裂・増殖し、創部に集積します。それによって創部には毛細血管が新生してきます。ちなみに、血管新生があまりされない肉芽組織は難治性となりやすいとされています。

③成熟期

受傷から約5日後以降からは成熟期と呼ばれる時期にもあたり、以下の変化を生じます。

1)創収縮

肉芽組織が形成されると、創収縮という反応が生じ、傷口がだんだん小さくなっていきます。

2)コラーゲンのリモデリング

ここから数カ月かけてコラーゲンの分解・合成(リモデリング)を繰り返して、肉芽組織から瘢痕組織へ変化していきます。初期に合成されたタイプⅢコラーゲンは、この過程でタイプⅠコラーゲンに置き換わり、抗張力も増加します。そして血管新生は消退して、線維芽細胞の数も減少します。

組織損傷のリハビリテーション ブログ用

以上のメカニズムを踏まえて、ではリハビリテーションではどの時期にどのようなアプローチを考えていけば良いのか考えていかなければいけません。

①炎症期のリハビリテーション

基本的に、炎症の起こっている時期にリハビリ介入でできる事はほとんどありません。炎症に対しては、血管拡張ならびに血管透過性亢進といった血管反応を、いかにして軽減させるかがリハビリテーションの命題になります。このためにはアイシングである寒冷療法が適応となります。なぜなら、冷却により血管収縮が起こり、血管透過性は低下してくるためです。また、この時期のRICEの処置も非常に重要な対応です。要は、冷却に加えて心臓よりも高い位置にし、圧迫を加える事で血流の減少をさせるためです。また、血管透過性の低下は、血中の様々な化学物質の末梢組織内への遊離を抑えることにつながり、痛みの軽減につながります。

また、その他の方法として超音波(非温熱作用)、レーザー、TENSなどが炎症による痛みの軽減に効果があると報告されています。

言うまでも有りませんが、この時期の温熱療法は禁忌とされています。それは、血管拡張、血流増加、血管透過性亢進により炎症を助長してしまうからです。

②増殖期のリハビリテーション

この時期の組織学的変化は、表皮における上皮化、真皮での肉芽組織形成、血管新生が生じます。よって、表皮の上皮化のためにはケラチノサイトの新陳代謝を促さないといけないので、温熱療法が適応となります。また、肉芽組織形成のためには酸素・栄養素の供給が必要であり、そのためには血管新生が大切で、これに対しても温熱療法が適応です。

その他にも超音波やレーザーなども線維芽細胞を刺激する事が報告されており、それにより、肉芽組織形成が促されます。

ただし、温熱療法を開始するタイミングは非常に難しい所かと思われます。なぜなら、炎症期と増殖期は始めと終わりがかぶっており、早すぎてもいけないし、遅すぎてもいけないので、C反応性タンパク(CRP)や、赤血球沈降速度(ESR)などを目安に開始時期を検討するのが良いと思われます。

③成熟期のリハビリテーション

この時期の組織学的変化としては、創収縮とコラーゲンのリモデリングが起こります。そのためには超音波やレーザーが効果があるとされています。

また、この時期はとくに痛みの悪循環に陥らないために、温熱療法や運動療法により筋のリラクセーションや循環改善を図っていかなければいけません。この時期の痛みは、筋収縮の惹起や、交感神経の興奮によってさらなる痛みの増悪だけでなく、循環障害により発痛物質が産生される事で、新たな痛みの発生が起きてしまう可能性があります。

ここで大切なのは、痛いから動かさないのでは不活動状態により、新たに痛みが発生してしまうので、安易に動かさないというのは良くありません。痛みがコントロールできる中での運動療法は非常に重要と考えられます。

(松原 貴子、沖田 実、森岡 周:ペインリハビリテーション:三輪書店:2011)


動きのとらえ方の概念で、カウンターアクティビティー(CA)・カウンターウエイト(CW)・カウンタームーブメント(CM)という言葉を耳にされた事があるかと思います。これは、クラインフォーゲルバッハの運動学の概念で、運動の拡がりを制御するための動きや平衡反応を表した表現となります。

まず、身体を頭部、胸郭、骨盤(腰椎を含む)、上肢、下肢の5つの部位(Body Segments)に分け、それぞれがどのように動いているかを考えていき、姿勢・動作の分析のポイントとしていきます。

○カウンターアクティビティ(CA)とは

CAとは、運動の拡がりを拮抗筋活動で制御する活動です。例えば下の図で言うと、左にウエイトシフトする際には体幹の左側屈でウエイトシフトするのではなく、右の体幹の側腹筋で制御している状態を表します。

○カウンターウエイト(CW)とは

CWとは、目的動作に伴い運動に参加する体節以外の部位を、目的方向と反対方向に移動させる事で、ヤジロベエのように重みを釣り合わせて運動の拡がりを制御する活動です。下図では、ウエイトシフト時には直接参加しない下肢を、ウエイトシフトの方向とは反対の方向に動かすことによって、重みを釣り合わせて制動している状態を表します。

○カウンタームーブメント(CM)とは

CMとは、目的動作に伴って起こる運動の拡がりに対して、その逆の方向に運動の拡がりを起こす2つの運動を同時に行う(ぶつかり合う)事で制動する活動です。下図では、上部体幹と下部体幹の側屈は逆方向ですが、そうすることによって運動を制御してバランスをとっている状態です。

クラインフォーゲルバッハの運動学 ブログ用

これら3つの反応は単独で独立して起こるのではく、いくつかが組み合わさって同時に起こります。

カウンターアクティビティー・カウンターウエイト・カウンタームーブメントを活性化させてもバランスが取れなかった場合は、新しい支持面に変更しバランスをとる反応が生じます。

(長澤 弘:脳卒中・片麻痺理学療法マニュアル:文光堂:2007)


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筋スパズム(spasm)は筋攣縮とも言い、定義としては筋の痙攣が生じて筋内圧が上昇し、同時に血管のスパズムも生じて虚血が生じている状態の事を言います。

筋内圧の上昇により、筋内の血管が圧迫され虚血状態になると、そこから発痛物質が拡散し、痛みを生じてきます。

実際の臨床の場面でも、有る部分の筋がカチカチになっており、動かしたり、押さえたりすると「痛いです」という訴えを聞く事がよくあります。これは、脊髄反射によって、持続的な筋の痙攣が生じて、筋にグーッと力が入っている状態の事の場合が多いです。

筋スパズムは筋の痙攣が生じている事ですが、一般的に痙攣というと筋がピクピクなっている状態を想像しますが、脊髄反射によって持続的な筋緊張の増加なので、ずっと力が入っている様な状態です。

今回は、筋スパズム(spasm)のメカニズムについて記していきます。

まず、関節周囲の組織に何らかの物理的刺激(手術侵襲などによる刺激)や、化学的刺激(炎症などによる刺激)が加わる事で、侵害受容器が反応し、その信号が脊髄内に入ります。その後は、脳に痛みとして伝達されるものと、脊髄反射を介して末梢へ伝達される経路に分かれます。

筋スパズムに関連するのはこの脊髄反射を介する方ですが、交感神経に関与する節前線維に作用して、血管の攣縮を引き起こし(上図)、前角細胞のα運動線維に作用して、筋の攣縮を引き起こすもの(下図)があります。

筋スパズムのメカニズム ブログ用

以上のようにして、血管と筋の攣縮を引き起こす事で、局所循環を停滞してしまう事により、筋細胞は虚血に伴い、組織が変性してしまいます。それによって、生じる発痛関連物質が感作する事で疼痛運動制限を引き起こしてしまいます。

筋の虚血状態 ブログ用

この筋スパズムをそのままにしておくと、脊髄反射が反復して起こる事となり、悪循環となり、関節拘縮をつくってしまう原因となりかねないのです。

では、これが筋スパズム(spasm)だとどうやって見分ければ良いのでしょうか?

筋スパズムだと確認するために3つの所見を評価します。

①圧痛所見の有無

筋スパズムの生じた筋は、まずこれが出現します。なぜかというと、筋細胞外に発痛関連物質が放散し、高域値機械受容器やポリモーダル受容器の閾値が低くなるために、圧迫も侵害刺激として受容してしまう為です。なので、ぐっと筋を押した時に痛みが生じていれば、筋スパズムの可能性が高いです。

②伸張位と弛緩位の緊張の程度

筋スパズムの生じている状態は、脊髄反射により持続的な痙攣が生じているので、関節肢位がどの肢位でも筋緊張は高くなっており、筋を弛緩させる肢位にしても筋緊張はグーッと高いままです。また、筋を伸張位にすると、緊張はさらに増加するため疼痛が生じやすいです。

筋スパズムとは逆に、筋の短縮であれば、伸張位で筋緊張は高くなり、弛緩する肢位にすると筋は弛緩します。

③筋力低下と等尺性収縮時痛の有無

筋スパズムが生じている筋は、筋萎縮は認めないものの、筋力の発揮が十分に行えず、筋力低下を認めます。

また、筋内圧の上昇している状態の所に、さらに強い等尺性収縮をかける事で、疼痛が出現します。

(赤羽根 良和、林 典雄:肩関節拘縮の評価と運動療法 (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ):運動と医学の出版社:2013)


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