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臨床上、リハビリテーションを必要とする対称の方は、高齢の方が多いのではないかと思われます。

高齢者になると、筋力が落ち、転びやすくなり、歩行スピードが落ち、背中が曲がってくる傾向にあります。

高齢者 写真

こういった変化というのは一体どのような事が生じているのでしょうか?

加齢に伴う機能的な変化は以下の通りです。

高齢者で生じる加齢に伴う機能低下 ブログ用

バランス能力の変化としては以下の変化が生じてきます。

・高齢者の姿勢制御では深部受容器からの情報不足を補う為に、視覚情報がより必要となる。そのため開眼よりも閉眼時の重心動揺が大きくなり、特に80歳以上で著明となる。
⇒高齢者では固有感覚の機能が低下してしまうので、なんとか視覚からの情報で代償しようとする傾向が臨床上よく見られます。確かに、閉眼においての立位保持ではすごく不安定になりますね。夜間時のトイレへの歩行など、視覚情報の少ない環境では特に注意が必要になるものと思われます。また、視覚や前庭感覚に頼るあまり、肩が上がってしまうような姿勢になってしまうのも固有感覚の低下によるものではないでしょうか?

・高齢者の姿勢制御の特性として、足関節戦略より、股関節戦略を用いる傾向にある。
・高齢者では、若年者より足関節周囲筋の反応開始までの時間が遅い傾向にある。

⇒高齢者では、足関節の機能が低下して、股関節戦略に依存するバランス反応をとる患者さんが多いのではないかと思われます。股関節戦略中心のコントロールを行う事によって、足関節は余計に固定させるような制御になり、足部の働きが低下する傾向にあるのではないでしょうか?治療において、足部への介入もバランス能力向上のためには、非常に大切という事ですね。

・高齢者の外乱刺激に対するステッピング反応は若年者に比べ、1歩のステッピングだけでは踏みとどまれずに、複数回ステッピングしたり、踏み出したらそのままバランスを崩す傾向が見られる。
⇒まあ、イメージできますよね。1歩踏み出した時に踏みとどまれない原因としては、踏みとどまる側の股関節の周囲筋の筋発揮の低下ですが、筋発揮不十分のために転倒リスクが生じています。外乱時に姿勢が崩れたり、ステップが複数回なるような方はまだまだ、転倒リスクが高い印象ですね。

○高齢者の歩行の特徴
・歩行速度の低下
・歩幅の短縮
・両脚支持時間の延長
・歩隔(step width)および足向角(foot angle)の増大
・遊脚期での足の挙上と低下
・腕の振りの減少
・体幹回旋の減少
・体幹前傾位
・不安定な方向転換
・振り出し時の足関節底屈と股関節伸展の減少
・踵接地時の足関節背屈の減少
・立脚期の膝関節屈曲位

⇒やはり、臨床においての高齢者の歩行もこのような特徴がありますね。

・高齢者における歩行パターンの変化の中で、特に歩行周期や歩幅の変動性が大きい高齢者は、転倒リスクが高い事が報告されている。
⇒歩幅のばらつきやなど、一定しない歩行は転倒のリスクが高い。臨床上、ふらふら歩いている方は転倒しやすいですよという事ですね。これもよく当てはまりますね。

・歩行速度は60歳を超えるころから急激に低下する。これは、できるだけ速く歩いた時の最大歩行速度で低下率が著しい。
⇒60歳を超えると最大歩行速度がかなり低下してくるんですね。そういった事も頭に入れて、そんなに無理はできないんだなと念頭においておかないといけないかもしれません。

(市橋 則明:高齢者の機能障害に対する運動療法―運動療法学各論:文光堂:2010)


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関連:高齢者の歩行速度・歩行率・歩幅の目安
臨床では「足がなんだかむくんできた」とか「手が左より右がむくんでいる」とか、「顔がはれぼったいです」というような訴えを耳にし、実際に浮腫を認める事があります。「むくみ」とは浮腫の事ですが、体の中では一体どのようになっているのでしょうか?

むくみ 写真

浮腫は医学的に一言でいえば、「間質液が過剰な状態にある事」と言えます。

浮腫の状態 ブログ用

そもそも、人間の体重の約55~60%は水であり、その全水分量のうちの間質液が異常に増加してしまっている状態です。これは体重自体も増えている状態です。

浮腫を観察する際にはまず、その浮腫が全身性のものか、局所性のものか観察して考えていきます。

浮腫の原因 ブログ用

「全身性浮腫」にしても「局所性浮腫」にしても間質液に過剰に水分がある状態ですが、なぜこうなってしまったのでしょうか?

原因については以下の通りです。

●毛細血管内圧の上昇
毛細血管内圧とは、毛細血管の中の力学的な圧の事です。これが高い状態だと、水分は血管外へ漏出します。

●静脈圧の上昇
静脈内圧も静脈の中の力学的な圧の事です。これも高い状態だと水分が血管外に漏出します。

●血漿浸透圧の低下
血漿浸透圧とは、血管の中に水分を保とうとする圧の事です。高い状態となると、水分は血管外から血管内へ引っ張り込まれます。つまり、血漿浸透圧が低下している状態だと、間質に水分が留まったままの状態となります。

●リンパ管の閉塞
血管外にでた水分の1割はリンパ管内に移動しますが、リンパ管が閉塞する事により、血管外に出た水分が回収されずに間質に残ったままになってしまいます。

●血管壁透過性の亢進
炎症が生じる事により、ヒスタミン、セロトニン、ロイトコリエンなどの化学伝達物質によって血管壁の透過性が亢進し、水分が血管外へ出てしまいます。

以上の状態が何らかの疾患によって引き起こされ、浮腫を生じてしまいますが、その原因となる疾患はどんなものなのでしょうか?

≪全身性浮腫≫

①心臓性浮腫
臨床において、心不全の方は浮腫を認める事が多いですが、心臓のポンプ機能が低下(心拍出量が減少)してしまうと、全身に送る血液が少ないため、静脈の方では血液が渋滞する事で静脈内圧が上昇し、浮腫が生じてきます。

また、腎臓においても心機能の低下に付随して、腎血流量が低下する事を察知して、レニンを分泌します。レニンはアンジオテンシンⅡを介してアルドステロン分泌を増やすので、腎臓でのナトリウムと水の再吸収が増えてきます。そうすると循環血漿量を増加させて腎血流量を維持しようとするのですが、同時に毛細血管内圧も上昇させてしまいます。

②肝性浮腫
肝硬変で浮腫が生じる場合があります。この時の原因は肝臓での蛋白合成の低下によって、低蛋白血症が生じるためです。血液中の蛋白が減少すると血漿浸透圧の低下が生じ、これが浮腫を起こしてしまう原因となります。

また、循環血漿量の低下により、レニン-アンジオテンシン系が亢進し、アルドステロン分泌を増やし、腎臓でのナトリウムと水の再吸収を増やします。

③腎性浮腫
腎臓の糸球体が障害される疾患では、尿に蛋白がでてきます。尿蛋白が長く続くと、低蛋白血症となり、血漿浸透圧が低下してしまいます。

また、腎血流量の低下によりレニン-アンジオテンシン系が亢進し、アルドステロン分泌が増えてきます。その結果、尿細管で水とナトリウムが再吸収されます。

④内分泌性浮腫
甲状腺機能低下症の場合は、多糖類、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などが皮下組織に沈着します。これらの物質には保水性があるため、間質に水分が残り浮腫が生じるようになってしまいます。

⑤栄養障害性浮腫
吸収不良症候群や蛋白漏出性胃腸症では、低蛋白血症によって血漿浸透圧低下が生じ、浮腫を呈します。

≪局所性浮腫≫

静脈血栓症や上大静脈症候群では、静脈の流れが悪くなり、その部分以前の静脈の内圧が上昇してしまいます。それによってその部分の浮腫が生じてしまうのです。

また、癌のリンパ節転移や手術後の癒着において、リンパ管の閉塞を生じてしまう場合があります。この場合、リンパ管の閉塞部位以前の部分で浮腫を生じる事になります。

さらに、外傷などによって炎症が生じ、炎症反応において血管壁透過性の亢進が起こる事で、炎症が起きた部位周囲の浮腫になります。

臨床では、片麻痺の患者さんの麻痺側に浮腫を認める事が多いと思われます。これは、麻痺側の血管運動神経の機能が低下し、筋の運動による筋ポンプ運動が生じず、そのために麻痺側の上下肢にて静脈血とリンパ液が停滞します。静脈圧と毛細血管内圧が上昇するために浮腫を生じてきます。重力の影響を容易に受け、浮腫が増強してしまう傾向にあります。こういった場合、ベッド上であまり麻痺側を下にして寝ないように気をつけた方が良いと思われます。

(齋藤 宣彦:症状からみる病態生理の基本 (看護学生必修シリーズ):照林社:2009)


(井上 泰:なぜ?がなるほど!病態生理絵解きゼミナール 改訂2版: ナース・研修医・コメディカルのための:メディカ出版:2014)


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臨床では術後の炎症や、神経の損傷により痛みが長引き、通常よりも痛みの訴えがかなり強くなっている患者さんを目にすることがあると思われます。

「痛い!痛い!なにすんねん!!」「そんなに痛いですか?触ってるだけですけど?」

こういった痛みには大きく2つに分けられ、普通に触っただけでも痛い「アロディニア」と、軽い痛み刺激でもものすごく痛みを感じる「痛覚過敏」があります。

こういった強い痛みの訴えは、臨床においてリハビリテーションの進行の妨げとなり、難治性の疼痛となる場合があります。今回はこの痛みのメカニズムにクローズアップしていきます。

○アロディニア

アロディニアとは正常なレベルの触刺激、圧刺激あるいは温冷刺激においても「痛い!!」と感じてしまう状態の事であり、時には自分の着ている服や、布団やクッションが当たるだけでも痛く、風が当たっただけでも痛いと感じてしまう事もあります。こういった痛みは日常生活に大きな支障をもたらすことになります。

アロディニアのメカニズム ブログ用

アロディニアがなぜ発生するかというメカニズムについては2つあります。

・侵害受容器の閾値低下(末梢性感作)
・WDRニューロンの閾値低下(中枢性感作)

このいずれか、あるいはどちらもが生じる事によって、通常痛みとならないはずの刺激が痛みとして生じます。

○痛覚過敏

痛覚過敏は、軽い侵害刺激を非常に強い痛みとして感じる状態です。痛覚過敏はアロディニアとともに生じる事が多く、刺激と反応の様式はアロディニアと同一です。

痛覚過敏には一次痛覚過敏二次痛覚過敏があります。

一次痛覚過敏障害の局所(障害部位)で生じます。⇒侵害受容器の過敏化(末梢性感作)

二次痛覚過敏障害部位の周囲⇒脊髄後角の侵害受容ニューロンの過敏化(中枢性感作)

以上のメカニズムで痛みが生じています。

痛みを軽減させるアプローチは様々あると思います。痛みの原因に対しての治療(薬剤など)なのか、鎮痛系の賦活(運動療法、電気刺激、心理的アプローチ、生活環境整備など)なのか、目的をはっきりさせてアプローチしていく必要があります。

セラピストはこういったメカニズムを認識し、どのようにする事で痛みが増強したり、痛みが軽減したりするのかを個別的に把握していく必要があります。

(松原 貴子、沖田 実、森岡 周:ペインリハビリテーション:三輪書店:2011)


(伊藤 和憲:図解入門よくわかる痛み・鎮痛の基本としくみ (How‐nual Visual Guide Book):秀和システム:2011)


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参考書 画像 ブログ用

現在「変形性膝関節症(OA)」の患者数は推定2500万人と言われています。膝の変形に加え、歩行時の痛みなど日常生活に苦しんでおられる方は本当にたくさんおられます。

我々、理学療法士が行える保存療法にはどのようなものがあるでしょうか?

評価すべきところは膝のみではなく、全身的なメカニカルストレスを評価し、それに対して治療していかなければなりません。そのために必要な病態や症状の理解、戦略を立てるためのオススメ参考書を今回は紹介します。

どの本も良書で、問題が多くて複雑化した患者さんでも、多角的な視点で変形性膝関節症を捉え、どこに着目し何を考えるべきかが具体的に記されています。理学療法士は治療は個別的に考えなければいけません。

極める変形性膝関節症の理学療法―保存的および術後理学療法の評価とそのアプローチ (臨床思考を踏まえる理学療法プラクティス)



山田英司 変形性膝関節症に対する保存的治療戦略 (理学療法士列伝―EBMの確立に向けて)



変形性関節症―何を考え、どう対処するか (実践Mook・理学療法プラクティス)



多関節運動連鎖からみた変形性関節症の保存療法―刷新的理学療法



膝関節疾患に対する理学療法 ~変形性膝関節症を中心とした評価と治療~[DVD番号 me122]



関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション



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