Photo Gallery

正しい筋トレ

①負荷強度

一般的に「筋肉を太くしたい」とか「筋力を高めたい」という目標を達成するために、必要な負荷強度は70%と言われています。

トレーニングの際には70%程度の負荷であれば効果が出ると言われ、これが世界のスタンダードになっています。逆に、70%以下の負荷量では狙った効果はあまり期待できません。

70%の負荷で余裕が出てきた人は、80%・・・と負荷を増やしていくと良いでしょう。

②適切なスピード

筋力向上のためには70%以上の負荷が必要ですが、一人で行うエクササイズで特に自重トレーニングで行う場合は、負荷を70%までもってくる事はなかなかできません。1秒で曲げて、1秒で伸ばすといったようなリズミカルなエクササイズでは反動を使ってしまう為に、筋肉にしっかりと働きかける事ができないのです。

そこで特に自重トレーニングにおいては、4秒で曲げて、4秒で伸ばすと言ったようなゆっくりとした動きにより、少ない負荷でもよりしっかりと筋肉に働きかける事ができるのです。

③適切な時間

適切な時間とは、筋肉が出しているトータルの時間、つまり「力を出している時間(秒)×回数」の事です。

研究においては、筋肉が力を出している時間が1セットあたり、80~100秒になるように設定する事で、最もトレーニング効果を生むとされています。

④適切な量(回数)

○秒で上げて、○秒で下げるというトレーニングを何回やるかという事ですが、自重にて4秒で上げて、4秒で下げるというスピードで行う場合、10~12回を目安にすると良いと思われます。

20回以上連続で簡単に行えてしまう場合、負荷が少なく筋肉に効いていない状態となっています。

⑤適切な頻度

トレーニングを毎日するかどうかの事ですが、例えば80%の負荷で8回を3セット行う場合、毎日するとオーバーワークになると言われています。また65%の負荷を20回で3セット行う場合も強い疲労を生じます。

これだけの負荷・回数を設定する場合、筋肉の修復させる期間を作らなければならないので、週2~3回の頻度がベストとなります。

ただ、上記の負荷で1セットだけ行う場合や、負荷量は少なめに行う場合は基本的に毎日行う事がすすめられます。

⑥正しいフォーム

トレーニングを行う際には「正しい姿勢で行う」というのが大前提となります。間違った姿勢や、乱れた姿勢では狙った効果が狙えません。

正しいフォームで行わずに回数だけをこなしているばかりでは、繰り返すうちに故障につながったり、怪我の原因となったりしています。

⑦種目の選択

どの筋肉への負荷を狙ったトレーニングなのかをしっかり理解し、同じようなトレーニングでもレベルによって違う部位が働く事も注意しながら種目を選択していきます。

最も効果的なトレーニングを選ぶことが重要です。

(石井 直方:正しく効果的に鍛えるための筋トレの正解:成美堂出版:2012)


※関連記事
関連:筋疲労の種類
関連:筋の長さ-張力曲線の考え方と臨床の関わり
関連:体幹を固定する感覚を養うコアトレーニング
ゆるみの位置としまりの位置

「ゆるみの位置(ゆるみの肢位)」と、「しまりの位置(しまりの肢位)」という言葉を聞いたことがありますか?

ゆるみの位置とは、Loose-packed position(LPP)といい、関節面が最も離開している位置であり、関節に生じるストレスが最小になる肢位(関節角度)です。

しまりの位置とは、Close-packed position(CPP)といい、靱帯や関節包が緊張し、関節面が密着して固定されている位置です。最も関節が安定している肢位でもあります。

それぞれ、関節の密着度により分けられています。なぜ、こういった肢位を考えなければならないのでしょうか?

関節モビライゼーションの手技を行う上で、離開法・滑り法はゆるみの位置で行う必要があります。なぜなら、しまりの位置では関節包・靱帯の緊張が高いため、関節がロックした状態となりモビライゼーションを行っても効果がありません。なので、十分関節の動きを出していくためにはゆるみの位置でモビライゼーションを行う必要があるのです。

そのほか、しまりの肢位では関節は機能的に安定しているので、肢位を保つために必要な筋力は最小限ですみますが、ゆるみの肢位では関節の適合性が悪いために、肢位を保持するために筋力が必要となります。

どういう事かというと、膝関節は完全伸展位(しまりの位置)では内側・外側側副靱帯により側方安定性が保たれていますが、軽度屈曲位では大腿筋膜張筋などによる緊張を高めておかないと、膝が立脚で動揺してしまいます。高齢者の軽度膝屈曲位のおばあちゃんなんかは大抵、大腿筋膜張筋の緊張が高いですよね。

(市橋 則明:運動療法学―障害別アプローチの理論と実際:文光堂:2014)


(中山 孝:ビジュアルレクチャー理学療法基礎治療学I 運動療法:医歯薬出版:2012)


※関連記事
関連:関節可動域の制限因子
関連:なぜストレッチをするのか?施行する際の注意点は?
関連:運動学・機能解剖のオススメ参考書
ヒマワリ 歩行

歩行に必要なMMTっていくらだと思いますか?

我々は普段の歩行では、筋力はそんなに使って歩いてはいません。そもそも、MMTは0~5の6段階で評価されますが、歩行に必要とされる筋肉はMMTで3+程度とされています。

3+とは、軽く抵抗をかけても動かせるぐらいの程度であり、MMT5での筋力を100とすると3+は10~20程度だと言われています。

つまり、正常の5分の1程度の筋力があれば歩行は可能という事です。

セラピストの中でも歩行に必要な筋力はあるのに、「歩けない」=「筋力が無い」と判断して筋トレを指導している場面はありませんか?

筋力訓練の後、患者さんが歩けない場面を見た時、もう一度筋力による影響なのか、それ以外の影響なのかを再考してみる必要があります。

(國津 秀治:図解入門よくわかる股関節・骨盤の動きとしくみ (How‐nual Visual Guide Book):秀和システム:2013)


※関連記事
関連:筋力低下の原因
関連:正常歩行に必要な関節可動域
関連:全体像からみる歩行分析
ランニング

腎臓の糸球体や尿細管が何らかの原因で冒されることによって、腎臓の機能が失われた状態である慢性腎臓病(CKD)という病態があります。

保存期のCKDは透析療法は必要ないまでも、ゆっくりと腎臓の機能は低下している状態であり、治療としてはその進行を防ぐ事が重要となってきます。

こういった慢性腎臓病(CKD)の患者さんに対して、われわれはどのような運動をしていくべきなのでしょうか?

そもそも腎臓は安静時には心拍出量の5分の1の血液供給を受け、組織単位重量当たりの血液潅流量は他のどの臓器よりも多いですが、運動時には骨格筋・肺・心への血液配分率が高まるために、腎血流量は低下します。

腎血流量は腎機能の中で運動により最も顕著な影響を受けるものであり、運動強度や心拍数などとも相関し、激しい運動時には50~75%も低下する事が知られています。

短期的に運動を行うと尿蛋白排泄量が増加し、腎血流量(RBF)や糸球体濾過量(GFR)が減少することから、強すぎる運動を行うと腎機能障害や腎病変が悪化する危険があるとされています。

しかし、かといって日常生活の活動範囲を制限し、運動を控えて安静を長期間行うとQOLが大きく低下するだけでなく、運動耐容能の低下やインスリン抵抗性の増加を介して心血管系合併症を増加させ、腎疾患の進行速度を増す危険性があります。

現在、CKD患者における理想的な運動強度や運動時間の科学的根拠は明らかにされてはいませんが、腎障害患者において適度な運動や運動耐容能やQOLを向上させるという報告や、糖や脂質代謝を改善させるメリットなども報告されています。

我々は運動負荷試験を行う上で、CKD患者に対して以下の注意が必要となります。


◎CKD患者の運動負荷試験の注意

・医学的チェックは、患者のかかりつけの腎臓専門医によってなされるべきである。
・高血圧症や糖尿病の治療で一般的に使用されているものを含めて、患者は多数の薬物を使用している傾向がある。
・CKD患者(ステージ1~4)に多段階運動負荷試験を行う時は標準的な運動負荷試験法を施行すべきである。
・トレッドミルや自転車エルゴメーターのプロトコールがCKD患者に使用されるべきであり、特にトレッドミルはより一般的であるように思われる。
・自転車エルゴメーターが使用されるならば、推奨される初期の準備運動の負荷強度は20~25Wである。その負荷強度は1~3分ごとに10~30Wずつ増加すべきである。
・維持血液透析を受けている患者では、運動負荷試験は血液透析を実施しない日に計画すべきであり、血圧はシャントのない側で測定すべきである。さらにピーク時心拍数は、年齢別予測最大心拍数の75%までにすべきである。
・持続的携帯型腹膜透析を受けている患者は、腹腔に透析液が無い状態で運動負荷試験を受けるべきである。
・CKD患者では、心拍数が常に運動強度の信頼できる指標とは言えないので、自覚的運動強度を常に監視する。
・腎移植後患者には、標準的な運動負荷試験方法が適応される。
・動的筋力測定は3-RMやそれより高い(例えば10~12-RM)負荷を使用して行われるべきであり、剥離骨折をきたす恐れがあるので、CKD患者に対しては1-RM試験に関しては禁忌であると考えられている。
・筋力および筋持久力は、60~180度/secの角速度の範囲において等速性マシーンを使用し、安全に評価しうる。
・多種多様な体力テストが、CKD患者をテストするために使用される。例えば、6分間歩行テストや、筋力テスト、バランス能力テストなどが適切である。
(日本体力医学会体力科学編集委員会・2011より)


運動処方は、一般向けの勧告をもとに、初期の運動強度を軽度強度(酸素摂取予備能の40%未満)~中等度強度(酸素摂取予備能の40~60%)に設定し、患者の運動耐容能に基づいて時間をかけて徐々に負荷量を調整していくようにしていくべきと考えられています。

(上月 正博:腎臓リハビリテーション:医歯薬出版:2012)


※関連記事
関連:高齢者の運動療法に対するエビデンス


Timed Up and Go test(TUG)は、立位や歩行における動的バランスを評価する指標として、簡易的に行える評価の一つです。

TUGは1986年にMathias et alによって、高齢者のバランス能力評価用に開発された「Get up and Go test」に、Podsiadlo et alが改良し定量的な評価に修正したものです。

もともとは高齢者のバランス能力の評価として開発されましたが、整形疾患や内部疾患、中枢神経疾患の対象者の動的バランスの検査として広く受け入れられています。

方法としては、肘かけ付き椅子から立ち上がり、3mの歩行を行い方向転換して椅子に戻るまでの一連の動作に要する時間を計測します。歩行速度は原法では快適速度と規定されています。

原法では快適速度となっていますが、Shumway-Cook et alは最大速度にて報告しています。これは、快適速度の説明がうまく伝わらない場合や、快適速度のとらえ方にばらつきがあるためとしています。

計測したタイムも重要となりますが、一連の動作の中での動的バランスを評価するので、下肢や体幹の筋力や協調性、方向転換に必要な立ち直り反応など総合的な評価が重要となります。

ここで、準備する椅子ですが肘掛け付き椅子とされていますが、肘掛けが無い椅子ではタイムが遅くなると言われているので計測の際は注意が必要です。また、椅子の座面の高さは44~47cmが適当とされています。

また、計測を行う際に履物や床面の状況によりTUGの時間が変化すると報告されているので検査条件の統一を図る必要があります。

基準値ですが、神経学的に問題がない健常高齢者においては10秒以内に可能であり、20秒以内であれば屋外外出可能、30秒以上であれば起居動作やADLに介助を要するとされています。

Shumway-Cook et alは転倒リスクの予測の感度や特異度が87%と高く、転倒予測のカットオフ値として13.5秒と報告しています。

実際に、このTUGの評価を行う対象者はテスト内に歩行や立ち上がりを含んでいるため、歩行が自立レベルに近い方でないと評価するのは難しいと考えられます。

(内山 靖、小林 武、潮見 泰蔵:臨床評価指標入門―適用と解釈のポイント:協同医書出版社:2003)


※関連記事
関連:転倒予防のエビデンス
脳幹網様体賦活系

臨床の現場でも、脳卒中の重度な方や、内部障害などで重度な方で意識がなく、刺激に対しての反応が無く、覚醒レベルが低い方をよく見かけます。

意識障害が生じる原因としては、脳卒中や頭部外傷、脳炎などの頭蓋内の病変による一次性脳障害と、循環障害や電解質異常、血糖異常などの頭蓋外の病変によるものに分かれます。

そもそも、「意識がある」という定義は何なのでしょうか?「意識がある」というのは、「起きている状態にある事(覚醒)」、「自分の今ある状態や、周囲の状況などを正確に認識できている状態」である事をいいます。

では、一方「意識が無い」というのはどういう状態なのでしょうか?「意識が無い状態」というのは単に寝ている状態ではなく、何らかの病的な理由で、昏睡した状態の事を言います。

寝ている状態、つまり「睡眠状態」は正常な脳が休んでいるだけなので、軽く刺激すると目を覚まし、覚醒することができますが、「昏睡状態」では刺激に対する応答はなく、覚醒することができない状態です。

意識を覚醒状態に保つ中枢は「脳幹網様体」と呼ばれています。「脳幹網様体」は中脳から橋にかけて、背側に存在します。

熱い・痛いなどの温痛覚や触圧覚などの「皮膚感覚(表在感覚)」は脊髄視床路を通って視床にたどり着き、位置覚や運動覚、振動覚などの「深部感覚」は脊髄後索路(脊髄延髄路)を通って視床にたどり着きます。

これらの脊髄視床路や脊髄後索路(脊髄延髄路)によって通じた情報は、視床を介した後は大脳皮質の知覚領域へと送られますが、一部は「脳幹網様体」にも伝わります。伝わった情報は整理・統合されて視床に伝わり、大脳皮質や視床下部に指令を出します。これによって絶えず脳は刺激を受ける事になり、覚醒レベルを維持できるのです。

つまり、意識障害を呈している患者さんは、大脳が広い範囲で障害されているか、脳幹網様体や視床のどこかで障害されている可能性があります。

では、意識障害を呈している患者さんにどういった関わりができるでしょうか?どのようにしたら覚醒レベルをアップできるのでしょうか?現在、分かっている事を記していきます。

○メカノレセプターによる刺激入力

「メカノレセプター」というのは感覚受容器の事で、足底の特に踵や親指・親指の付け根に豊富に存在します。メカノレセプターは、立ったり座ったりしている時に体重がどこにどうかかかっているかを検知する「センサーの機能」があります。

我々はこういった情報をもとに、姿勢筋緊張を保ち身体バランスをとっています。

足底のメカノレセプターからの情報は脳幹に送られ、そこから視床を経由して大脳皮質の知覚領野に伝わります。そこから各筋肉に指令を出してバランスをとっているのです。

つまり、メカノレセプターへの刺激入力をする事によって大脳を活性化させ、覚醒状態を保つことができるのです。

○背面開放座位

「背面開放座位」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは、端座位で背もたれにすがらない状態の姿勢の事を言います。

我々は普段背もたれの無い椅子に腰かけた時に、ピタッと止まっているように見えて実は微妙に揺れて動いています。こういった動揺が常に生じている中で、無意識のうちに「姿勢反射」によってバランスを崩すことなく座位が保てているのです。

この姿勢反射の中枢は脳幹の「中脳」です。

治療場面においては、前述のメカノレセプターへの刺激入力の要素も加え、端座位では床面にしっかり足底をつけるようにします。そして、端座位で体幹部の支えを少しずつ外していき、全身の筋肉への指令や姿勢反射を起こしていくようにします。

こういった座位をとる事によって、脳幹に刺激を与え覚醒レベルを維持できるようになるのです。

○五感からの刺激入力

そもそも五感とは「味覚・聴覚・触覚・視覚・嗅覚」を言います。五感からの刺激によって脳が全体的に活発に働く事が知られています。

味覚は舌に存在する味蕾で感じます。その感覚情報は脳幹にある味覚の中枢に行き、そこから視床→大脳皮質へと向かい、意識的な「味覚」となります。

聴覚は内耳から入ってきた音が蝸牛神経を伝って脳幹に伝わり、その後大脳皮質に向かいます。

触覚は、精細触覚(識別性触覚)と粗大触圧覚で経路が違いますが、最終的には視床に到達し、大脳皮質の知覚領野に伝わります。

視覚中枢は後頭葉にあります。目から入った情報は、大脳の後頭葉に伝わります。

これら五感からの刺激は、車椅子上だけでなく、ベッド上においても刺激入力によって覚醒度の維持・拡大が図れます。

○経口摂取の重要性

「口から食べる」という行為はたくさんの神経が総動員して活動する高次なプログラムのもとに成りたっています。

経口摂取をする事によって、脳全体への刺激となり、覚醒が促される事となります。

(太田 純子:脳神経疾患病棟 観察・アセスメントスキルが身につく超実践プログラム: 新人ナースお助けワクワク誌上研修 (ブレインナーシング2016年春季増刊):メディカ出版:2016)


※関連記事
関連:脳梗塞の離床で考えるべき「ペナンブラ」と「脳循環自動調節能」と「脳浮腫」
関連:脳卒中リハビリテーションの理論と治療方向性

WHAT'S NEW?