脊椎圧迫骨折に対する理学療法

 29, 2014 21:53
臨床上、脊椎圧迫骨折を呈している患者さんは非常に多いです。学生が臨床実習で担当することも多い疾患であると思いますが、どのような治療アプローチを行っていけばよいのでしょうか?どのような事に気をつけて運動療法をしていけばよいのでしょうか?

転倒による受傷で、腰背部痛に加え、下肢の易疲労性尿失禁が増えたりという症状がでます。

圧迫骨折は椎体の骨折であり、圧潰率により楔状椎型・扁平椎型・魚椎型に分けられます。

圧迫骨折の好発部位は胸腰椎移行部(第11胸椎~第2腰椎)です。

骨粗鬆症があり、それによって脊椎圧迫骨折が起こっている場合、胸腰椎移行部で多発性に圧迫骨折を起こしている患者さんも多いです。これにより、胸椎後弯が増強し脊柱全体が後弯変形してCカーブの背中になっていきます。

脊柱の後弯変形の何がいけないかというと、後弯変形は下肢関節にも影響を与え、変形性関節症の進行や要因になったりします。

例としては、脊椎後弯変形により、骨盤が後傾し、大腿骨頭の前方被覆面積が減少し、骨頭への局所的な関節応力が増大することで変形性股関節症を発症するという報告もあります。

また、脊柱後弯になることで、重心が後方偏移し大腿直筋が過剰に働くこととなり、筋の易疲労性が出現するととなります。

次に、症状としてなぜ尿失禁が起こるかという事に関しては、特に第12胸椎-第1腰椎を含む重篤な圧迫骨折の場合、椎体後方の脊柱管にある第2~4仙髄が損傷して、反射性尿失禁を起こすことがあります。

一方で腹圧性尿失禁の場合は、骨盤底筋群の弛緩によって起こっています。これは、妊娠・出産、加齢、肥満などが原因となりますが、胸椎後弯変形が生じている方の場合は、骨盤底筋群が伸張されている状態になりやすいため、機能低下が起こる場合があります。そういった方には骨盤底筋群へのアプローチが必要になってきます。

脊柱圧迫骨折がADL上において、トイレ動作や排泄コントールの面で自立できない方も中にはおられると思います。骨盤底筋群のエクササイズにより症状が改善するものなのか、反射性尿失禁と考え、オムツでの対応としていくのか、方略はセラピストがどのように評価していくかによります。

そもそも、脊椎圧迫骨折後の治療としては保存療法が選択されることが多いです。

一般的には約4週間の体幹ギプス固定後、約8週間の硬性コルセットの装着を行います。

では、外固定期間中のリハビリテーションは何をすればよいのでしょうか?

外固定期間中は、骨癒合促進と脊柱後弯変形予防が大切になってくるために、脊柱の運動をできるだけ行わないような肢位やトレーニング方法を選択しなければいけません。

例えば、椎体の前面が圧潰した方が、脊柱後弯の姿勢をとると椎体前面のさらなる圧潰のリスクがあるために、注意します。

また、脊柱を運動させずに行う等尺性収縮運動での最長筋や、腸肋筋の訓練も重要であるが、圧迫骨折後では腰椎前弯が減少しているために、脊柱の安定化を図るため、local muscles(ローカルマッスル)に対する筋力訓練が必要になります。

local musclesに対するアプローチとしては、多裂筋、骨盤底筋群、腹横筋、横隔膜に対して訓練を行っていきます。

特に外固定をしている間は脊柱の大きな動きも制限されているために、多裂筋・腹横筋の分節間の運動は促しやすいので、積極的に行うことが大切です。

外固定終了後の骨癒合後のアプローチとしても、腰背部痛と脊柱後弯変形の予防を考えていかなければなりません。

腰背部の筋スパズムに対してリラクゼーションを適度に行う事が大切になってきます。

(工藤 慎太郎:運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学:2012)

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