持久力低下に対する運動療法

 17, 2014 07:41
持久力訓練

理学療法の臨床の場面では、持久力の低下を生じていることで、日常生活動作の制限や社会活動能力の低下が起こっている事が多いです。

理学療法における問題点で「持久力の低下」をあげる事がありますが、では「持久力の低下」とはどういった状態の事をいうのか?どのような運動療法を行っていけばよいのか?明らかにしていかなければいけません。

持久力とは生理学的には、「筋のエネルギー源の供給と代謝産物の回収の定常性が維持させる状態」と定義されます。

ただ、評価を行う際には、単に運動持続時間や距離などの量的指標によって規定するのは難しい場合もあります。課題によって持久力の性質が違い、実際のパフォーマンスには筋力・スピード・技術力などの要素が含まれているからです。

持久力には「全身持久力」「局所持久力」があります。

全身持久力とは、全身の骨格筋の1/7~1/6以上の筋肉が働く場合です。つまり、呼吸・循環の持久力を指します。

局所持久力とは、全身の骨格筋の1/7~1/6以下の筋肉が働く場合で、いわゆる筋持久力を指します。

○全身持久力の目的

目的としては以下の通りです。

・最大酸素摂取量の増加
・有酸素作用開始の時間短縮
・有酸素作用の時間拡大
・心血管系の機能向上

○全身持久力に影響する因子

①トレーニング開始時の運動歴
・運動習慣のない人は最大酸素摂取量で50%の改善が期待されます。
・運動習慣のある人は最大酸素摂取量は10~15%しか改善されません。
・持久系アスリートは2~3%しか改善されません。

②遺伝
遺伝による影響度は25~50%と言われています。
トレーニング開始後1年間で、持久的な潜在能力は頭打ちになります。

③加齢
加齢に伴い最大酸素摂取量は低下し、中高年ごろから10年で5~10%低下、最大心拍数は10年で3%低下、最大心拍出量は約8%低下します。

④性差
思春期後は最大酸素摂取量が女性は男性の70~75%と言われます。

⑤トレーニング特異性
トレーニング効果は運動タイプの同じ課題でよく反映されます。

⑥筋量や運動タイプ
抗重力筋などの大筋群のトレーニングは最大酸素摂取量はアップします。局所持久力トレーニングではそれほど向上が期待できません。

○至適運動強度

全身持久力は、70~90%HR(50~85%VO2max)くらいでトレーニングすると改善します。

持続時間は70%HRで20~30分、90%HRでは10~15分、70%HR以外は45分程度で行います。

頻度は2~5回/週が望ましいとされています。

筋持久力は、最大の30%の負荷で最大の2/3以上で行い、頻度としては3回/週以上行う事が望ましいとされています。

○トレーニングの効果判定のしかた

①筋実質量の増大
②疲労の低減
③運動持続時間と距離の延長
④運動課題の記録の短縮

これらを指標に、持久力訓練によって効果が出ているかを臨床において判断していきます。

○なぜ持久力がアップしたのか?

①最大酸素摂取量のup

日常生活に必要なレベルは12~14ml/kg/分です。

トレーニング開始1~2週間後に改善が現れます。3か月実施すると最大酸素摂取量は15%増大します。この内訳としては、心拍数増大が50%、運動筋内の動静脈酸素較差が50%となっています。

ちなみに、1年間継続して実施すると、最大酸素摂取量は30%増大します。この場合の要因は動静脈酸素較差で運動筋の酸素の利用効率が高まるためです。

②心機能の適応

①の通り、心拍出量の増大が生じ、安静時での心筋の伸張が促され、また、訓練によって心筋の血管の増生が生じます。このことにより、心機能が良くなります。

③末梢部機能の適応

全身持久力トレーニングによって、動静脈較差が増大します。これは、筋肉内で酸素の利用効率高まったということです。なぜ、利用効率がアップするのかというと以下の項目になります。

・ミトコンドリアの数と大きさがup
・毛細血管密度が増大した
・筋線維あたりの毛細血管数が増大した
・筋線維typeⅡbがtypeⅡaに変異した

以上のことが要因と言われています。

④呼吸機能の適応

全身トレーニングによって、1回換気量が増大するような深い呼吸ができるようになり、有効細胞換気量がupします。

また、呼吸筋の持久力トレーニングでは肺活量は増大しないが、MVVは14%増加します。

○持久力訓練の実際

①持続法

プログラムとしては、ウォーミングup(3~5分)→エクササイズ→クールダウンの順序で行います。注意する点としては、運動で患者さんに不快な思いをさせないことです。

運動は最大心拍数の60~70%あるいは、120回/分の運動強度で行います。脈拍のモニターはex中か、安定した運動強度になってから3~5分後にチェックします。

②インターバル法

95~100%(ほぼ全力)を3~8secを行い、セット内の休憩時間は2~3分で、1セット4~5回実施し、セット間休憩は乳酸産生防止のために7~10分取っていきます。

(市橋 則明:運動療法学―障害別アプローチの理論と実際:2014)

COMMENT 0

WHAT'S NEW?