ストレッチショートニングサイクル(SSC)

 15, 2015 11:55
ストレッチショートニングサイクル(stretch shortening cycle:SSC:伸張-短縮サイクル)とはよく聞きますが、一体何なのでしょうか?

ストレッチショートニングサイクルとは、強くかつ速く伸張された筋(腱)がその弾性エネルギーと筋内の受容器である筋紡錘の伸張反射作用により、直後に強くかつ早く短縮される機能であるとされます。

分かりやすく言うと、立位で膝を伸ばしたままジャンプしたり、膝は曲げて静止した状態でジャンプするよりも、膝を伸ばした状態から、素早く曲げて反動をつけてジャンプした方が高く跳べますよね?

これは、跳ぶ直前にしゃがみ込んで膝を曲げる事によって、ヒラメ筋や大腿四頭筋が引き伸ばされます。それと同時に筋が引き伸ばされる事に耐えようとするため、両端の腱が引き伸ばされて弾性エネルギーとして力を蓄えます。そして、しゃがみ込みから跳び上がる瞬間に筋の収縮力に加えて、腱の弾性エネルギーが解放されることで、全体として大きな力を得る事ができ、より高く跳ぶことができるのです。

脳から筋出力の指令が出てから、最大の筋力を発揮するまでにはわずかではありますが、時間がかかります。必要な動作場面において筋発揮が間に合わない状態になってしまいます。その点、SSCは動作を始める段階ですでに筋収縮が始まっていますので、しっかりと必要な場面で筋発揮ができるようになるのです。

日常的な場面においても、こういったSSCのメカニズムが発揮されるのに必要な場面があるのではないかと考えられます。例えば、電話が鳴って急いで駆け足で電話の所へ行ったり、横断歩道で赤になりそうなので、小走りになるとか、急ぎの用事があり駆け足で階段を上る場面など、速度変化に応じて我々はこのSSCの機能を用いているのではないかと思います。

歩行時において、歩行速度が上がってきた際にはストレッチショートニングサイクル(SSC)が、ターミナルスタンス(Tst)での足関節背屈運動により、下腿三頭筋-アキレス腱に弾性エネルギーが蓄積され、プレスイング(Psw)で解放されることによって発揮されます。

臨床の場面において、ただ単に筋力を上げる事で安定性を上げていくのではなく、SSCの機能も発揮できるように速度変化に対応できる動作能力の向上も、実用性獲得に重要なのではと考えられます。

ストレッチショートニングサイクル(SSC)を利用したトレーニングをプライオメトリクスと呼びます。

プライオメトリクスの例としては、下肢のエクササイズではジャンプ動作や、片脚ホッピング、ラテラルバウンドなど連続した反動をつける運動となります。上肢のエクササイズでは、ボールを用いたチェストパスや、壁を用いたバウンド、四つ這いでのバウンドの運動などがあります。必要に応じて難易度を上げていきます。

(市橋 則明:運動療法学―障害別アプローチの理論と実際:2014)


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