注意障害に対する具体的な介入と対処方法

 17, 2015 21:39
脳血管障害後の患者さんで注意障害を呈している方は非常に多く、どのようにしてリハビリテーションを進めていけば良いのか非常に悩むところではないかと思われます。

今回は、注意機能の構成要素と、注意障害の症状に対しての具体的な介入例をまとめてみました。

注意機能 ブログ用

注意機能は、上の図のような関係性によって保たれています。覚度が保たれている事で、初めて他の要素は能力を発揮できます。覚度が低下すると、全体的な注意機能の容量が低下してしまいます。

例えば、注意機能を車の運転で例えると、下の図のような関係性となります。

車の免許が取りたてで、車に乗り始めた当初は、車を動かす手順に注意の大半が向けられている状態です。(左図:注意の集中性が高い状態)こういった状態の時は、同乗者との会話や、危険察知の遅れ(配分性)に注意を向ける事が難しくなります。また、疲労を感じやすく、長時間の運転は難しい状態です。(持続性)

しかし、車の操作や手順が慣れてくると、(中図:持続性と配分性に注意が向けられるようになる状態)同乗者との会話もだんだんできてくるようになり、長距離の運転も可能になってきます。

ただ、疲労が残り、覚度が低い状態(右図:覚度の低下した状態)では、注意機能の容量が少なくなり、長時間の運転も困難となり、危険予測の能力も低下してしまいます。


注意機能の関係性 ブログ用


(國澤 佳恵:理学療法 2014年 5月号 (Vol.31 No.5) 特集 高次脳機能障害を有する患者への理学療法士の関わり:メディカルプレス:2014)



○集中力がない(注意の維持)

・好きな課題や得意な課題を選択し、集中できる時間を延長させるという工夫。
・一つの課題を一気に行えない場合には、適度に休憩時間を取りながら行う。この時に、何分間の作業に対して何分間の休憩であれば疲労がたまらないかを分析する。

○話の途中で違う事をしたり、急に席を立ってしまい、じっとしていられない(注意の維持、欲求コントロールの低下など)

・SSTで人の話を最後まで聞く事や、席を立ちたくなった時は声をかけて席を離れるようにスキルを学習していく。
・易疲労性からくるものであれば、適度に休憩をとり疲労に対して対応していく。
・グループ活動を行いながら、集中できる時間を増やしていく。

○音がしたり、人が通ったりするとすぐにそちらに目が行き、気が散る(注意の選択)

・始めは個室などの気が散らない環境下で課題を行い、できるようになったら徐々に、大部屋や雑音のある環境に慣れさせていく。
・課題も動くものが目に入る窓際で行うのではなく、壁に向かう席で実施していく。

○大勢の中で自分が呼ばれている事が気づかない(注意の選択)

・グループ活動を行いながら、できるだけ自分への声掛けに気付くように訓練していく。

○ミスが多い(注意障害とその他の要因が混合)

・ミスの原因を分析していく
→疲労からくるのか、注意の選択・配分の問題か、遂行機能障害による手順の混乱が原因か
・ミスを防止する
→課題を行い、終了しようとする時に必ず見直す習慣をつけていく。
・ミスが起きた時の対処法を学ぶ
→ミスの起こりうる場面をリストアップする。問題点への対処法を一緒に考え、表にまとめ、思い出せなくなったときに確認する。

○一つの課題や仕事を素早く、正確にこなすことができない(注意障害とその他の要因の混同)

・作業の途中で話しかける事はやめ、周囲にもそれを伝えておく。
・課題や作業にかける時間を長めにとり、休憩時間と確認作業を十分に行う。

(平林 直次、廣實 真弓:Q&Aでひも解く高次脳機能障害:医歯薬出版:2013)



また、注意障害全般的に実施すべき対応法として以下の事も言われています。

・環境刺激を少なくする。(戸を閉めたり、人を少なくしたり、テレビを消したり)
・何かを口頭で伝える前には、必ず本人が自分の方を向いてるか確認する。
・本人への指示は7秒以内のキーワードで、単純明快に端的に伝える。
・話や課題が正確に理解できているのか、こまめに確認する。
・本人が以前から好きだったり、興味があるものを課題として選択する。
・話がぐるぐる回ってしまったら、話を元に戻してあげる。
・課題が完成するまで、ゆっくりと時間を与える。
・少しでもできたらなるべく褒める。
・情報量が多い時は、重要な箇所を目立たせる。

(橋本 圭司:生活を支える高次脳機能リハビリテーション:三輪書店:2008)

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