着座の動作分析

 18, 2015 21:13
座っていく動作である着座動作は、臨床的にも重要な基本動作の一つであり、立ち上がりと比べると制御の難しい動作と言えます。

着座

着座の困難な患者さんでは、重心の後方移動が速すぎるために、後方に転倒しながら着座するいわゆる「ドッスン座り」が臨床上よく見られます。

こうならないためには、着座の瞬間まで、足部でつくられる支持基底面の中に身体重心を保持し続けながら、ゆっくり身体重心を下ろしていかなくてはいけません。これが可能となるためには、身体重心は支持基底面の後方ギリギリの所で保持しながら、体幹を前傾させて、膝を屈曲していかなければなりません。

まずは、着座動作のシークエンスから見ていきます。

①着座動作の第1相(重心の前方移動期)

第一相は、立位の状態から股関節の屈曲が開始されるまでの区間を指します。
直立立位の状態から、足関節がわずかに背屈し、それにともなって骨盤がわずかに後傾します。この足関節と骨盤のわずかな動きによって、大腿骨は床面に対して垂直の状態のまま、下腿は前傾を起こし、膝関節が前に出るように屈曲します。つまり、第一相においては、重心を前方に変位させながら、膝関節の屈曲と骨盤の後傾が起こる相となります。

②着座動作の第2相(身体重心下降期)

第二相は、股関節が屈曲を開始してから着座までの区間を指します。
今度は骨盤は前傾していき、体幹も前傾していきます。この時、体幹の前傾は骨盤の傾斜によって生じており、体幹内部では屈曲も伸展もほとんど起きていません。体幹前傾にともない、股関節と膝関節が屈曲して重心が徐々に下降していきます。足関節は身体重心の下降期の前半では背屈していきますが、途中から徐々に背屈の動きが止まり、やがて下腿の傾斜角度を一定に保持するようになります。下腿の傾斜角度が一定に保持される頃から、身体重心の後方移動が始まります。

③着座動作の第3相(座位姿勢完成期)

第三相は、殿部が座面に接触した状態から、体幹が床面に対して垂直に復元して座位姿勢が完成するまでの区間を指します。
殿部が座面に接触しますが、一番最初は坐骨結節から座面に接していきます。着座直後に足部の支持面と、殿部の支持面に荷重が分散されると同時に骨盤後傾し、体幹は鉛直位に復元されます。

以上が着座動作のシークエンスで、次に着座のどの部分が実際に困難になっているのかを観察していかなければなりません。その観察のチェックポイントを記します。

○第1相のチェックポイント

・立位の状態から最初に、足関節背屈とそれに伴う骨盤のわずかな後傾が生じているか?
・下腿の前方傾斜はどうか?重心の前方偏移のための、膝関節が前方に出るような屈曲をしているのか?
・左右の荷重の偏りはないか?
・上下肢の連合反応は生じてはいないか?
・骨盤の前方回旋・後方回旋は生じていないか?
・股関節は内外旋、内外転中間位をちゃんと保持しているのか?

○第2相のチェックポイント

・骨盤が前傾して体幹の前傾が生じているか?
・脊柱の過度な屈曲・伸展が生じていないか?
・荷重は左右均等で偏りはないか?
・着座動作はゆっくりおこなえているのか?
・上肢は何かにつかまったり、引っ張ったり、不自然な動きをしていないか?
・前額面から見て下腿は垂直に保持されているか?
・身体重心の下降期の前半で背屈した足関節が固定され、下腿の傾斜角度が一定に保持されているか?

○第3相のチェックポイント

・坐骨結節から最初に座面に接しているか?
・着座後、足部の支持基底面と殿部の支持基底面にそれぞれ均等に荷重がなされているか?
・着座後に骨盤後傾し、体幹が起きて鉛直位まで復元されているのか?

以上のポイントをチェックしながら、動作遂行が円滑に行えていない問題点はどこにあるのかをはっきりさせていきます。

(石井 慎一郎:動作分析 臨床活用講座―バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践:メジカルビュー社:2013)


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