高齢者の加齢によるバランス能力と歩行の変化

 18, 2015 23:44
臨床上、リハビリテーションを必要とする対称の方は、高齢の方が多いのではないかと思われます。

高齢者になると、筋力が落ち、転びやすくなり、歩行スピードが落ち、背中が曲がってくる傾向にあります。

高齢者 写真

こういった変化というのは一体どのような事が生じているのでしょうか?

加齢に伴う機能的な変化は以下の通りです。

高齢者で生じる加齢に伴う機能低下 ブログ用

バランス能力の変化としては以下の変化が生じてきます。

・高齢者の姿勢制御では深部受容器からの情報不足を補う為に、視覚情報がより必要となる。そのため開眼よりも閉眼時の重心動揺が大きくなり、特に80歳以上で著明となる。
⇒高齢者では固有感覚の機能が低下してしまうので、なんとか視覚からの情報で代償しようとする傾向が臨床上よく見られます。確かに、閉眼においての立位保持ではすごく不安定になりますね。夜間時のトイレへの歩行など、視覚情報の少ない環境では特に注意が必要になるものと思われます。また、視覚や前庭感覚に頼るあまり、肩が上がってしまうような姿勢になってしまうのも固有感覚の低下によるものではないでしょうか?

・高齢者の姿勢制御の特性として、足関節戦略より、股関節戦略を用いる傾向にある。
・高齢者では、若年者より足関節周囲筋の反応開始までの時間が遅い傾向にある。

⇒高齢者では、足関節の機能が低下して、股関節戦略に依存するバランス反応をとる患者さんが多いのではないかと思われます。股関節戦略中心のコントロールを行う事によって、足関節は余計に固定させるような制御になり、足部の働きが低下する傾向にあるのではないでしょうか?治療において、足部への介入もバランス能力向上のためには、非常に大切という事ですね。

・高齢者の外乱刺激に対するステッピング反応は若年者に比べ、1歩のステッピングだけでは踏みとどまれずに、複数回ステッピングしたり、踏み出したらそのままバランスを崩す傾向が見られる。
⇒まあ、イメージできますよね。1歩踏み出した時に踏みとどまれない原因としては、踏みとどまる側の股関節の周囲筋の筋発揮の低下ですが、筋発揮不十分のために転倒リスクが生じています。外乱時に姿勢が崩れたり、ステップが複数回なるような方はまだまだ、転倒リスクが高い印象ですね。

○高齢者の歩行の特徴
・歩行速度の低下
・歩幅の短縮
・両脚支持時間の延長
・歩隔(step width)および足向角(foot angle)の増大
・遊脚期での足の挙上と低下
・腕の振りの減少
・体幹回旋の減少
・体幹前傾位
・不安定な方向転換
・振り出し時の足関節底屈と股関節伸展の減少
・踵接地時の足関節背屈の減少
・立脚期の膝関節屈曲位

⇒やはり、臨床においての高齢者の歩行もこのような特徴がありますね。

・高齢者における歩行パターンの変化の中で、特に歩行周期や歩幅の変動性が大きい高齢者は、転倒リスクが高い事が報告されている。
⇒歩幅のばらつきやなど、一定しない歩行は転倒のリスクが高い。臨床上、ふらふら歩いている方は転倒しやすいですよという事ですね。これもよく当てはまりますね。

・歩行速度は60歳を超えるころから急激に低下する。これは、できるだけ速く歩いた時の最大歩行速度で低下率が著しい。
⇒60歳を超えると最大歩行速度がかなり低下してくるんですね。そういった事も頭に入れて、そんなに無理はできないんだなと念頭においておかないといけないかもしれません。

(市橋 則明:高齢者の機能障害に対する運動療法―運動療法学各論:文光堂:2010)


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