なぜストレッチをするのか?施行する際の注意点は?

 06, 2015 10:33
現場において、ストレッチを実施される方は多いと思います。

しかし、実際にはただ漫然とストレッチを行っていませんか?とりあえず、患者さんをプラットホームに横にならせて、何も考えずにストレッチされている方はいませんか?

何のためにストレッチを行っているのですか?

理学療法士は、必ず施行する際には適応を考え、何に対して行うべきなのかを考えなければいけません。

まず、どういった病態に対してストレッチが適応となるのかを記していきます。

ストレッチ

○関節可動域制限

まずはこれですね。我々は関節可動域制限があると、それが何性の制限かを考察します。関節拘縮の場合、病変部位によって皮膚性拘縮、筋性拘縮、靱帯性拘縮、腱性拘縮、関節性拘縮に分類されます。この中でストレッチングの適応となる関節拘縮は筋性拘縮です。

また、筋性拘縮の他に筋スパズムもストレッチングの対象となります。筋スパズムは不動・不活動によって慢性的に筋収縮が生じている状態であり、こういった筋に伸張性を出していくことが大切になってきます。

以上の事から、関節可動域制限に対するストレッチングのターゲットは即時的な効果として過剰な筋収縮の抑制、長期的な効果として、筋・筋膜の器質性変化の改善であり、これらが総じて骨格筋の伸張性の向上やスティフネスの低下、関節可動域の改善をもたらすと考えられます。

○疼痛

疼痛が生じている場合も、ストレッチングの適応になる場合があります。

そもそも、疼痛には急性痛と慢性痛がありますが、ストレッチングの適応となるのは筋・筋膜に由来する慢性痛であり、筋が器質的・機能的に変化して慢性化した筋・筋膜痛症候群が対象となります。

疼痛に対するストレッチングのターゲットは、過剰な筋収縮の抑制と、それに伴う局所循環の改善であり、これらが総合して疼痛の緩和をもたらすと考えられています。

○筋損傷

筋損傷の予防としての場合にも適応となります。

筋損傷とは、筋組織が耐えられる限界を超えた負荷(強さ・量)を受けた時に生じます。その他、打撲や骨折、虚血や薬剤投与、火傷や凍傷、除神経などでも筋損傷は生じます。代表的な例としては、肉離れや遠心性収縮によって生じる遅発性筋痛(DOMS)が挙げられます。

筋損傷に対するストレッチングの目的として、遠心性の収縮による運動で生じる筋の張力や、急激な筋長の変化に対して、事前に骨格筋の伸張性を向上させスティフネスを低下させる事で、筋損傷を発生率を下げる予防的な役割を果たします。

○筋萎縮

筋萎縮とは、一度正常に発育した骨格筋の容積が、何らかの原因で縮小した状態と定義されます。

臨床においても、ベッド上の安静期間が長期にわたる方や、ギプス固定が長かった方などは、筋萎縮が生じて筋力が低下する方をよく見かけます。

筋萎縮に対するストレッチングの目的として、骨格筋に対してメカニカルストレスを加える事で、筋構成タンパク質の合成能を促進し、分解能を抑制する事で筋萎縮の進行を抑制する事ができます。

(鈴木 重行:ストレッチングの科学:三輪書店:2013)



では、実際にストレッチングをする際には、何に気をつけていく必要があるのでしょうか?

●ストレッチングの時間に対する考え方

スタティック・ストレッチの場合、ストレッチングの効果が出現するのにどのくらいの時間伸張しなければいけないのでしょうか?現在、一定した結論は出ていませんが、IDストレッチングでは約10~20秒間の持続伸張で、Ⅰb抑制によって筋の伸張性が高まるとしています。

●どの筋から始めていくのか

ストレッチングを行う際には順序があります。例えば、表層筋の筋緊張が亢進している状態で、深層筋のストレッチングを行おうとすると、表層筋に痛みや伸張反射を助長する事になり、逆効果となります。原則として表層筋から始め、深層筋へと進めていきます。また、一般的に近位筋は遠位筋による運動を固定する役割があり、緊張しやすいのでストレッチングは近位筋から遠位筋へと進めていきます。

●どのくらいの力で伸ばしていけば良いのか

ストレッチングはゆっくりとした速度で行い、過度に伸張しないように注意します。過度な身長は筋腱移行部の微細な断裂を伴い、痛みとともに伸張反射が亢進し、余計に筋緊張が高まってしまいます。ストレッチングの強度は、個人のその日の筋緊張に応じて判断していかなければいけません。

(鈴木 重行:IDストレッチング:三輪書店:2006)


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