stiff-knee gaitとは?

 03, 2015 21:33
「stiff-knee gait」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?直訳すると「硬い膝の歩行」です。

「stiff-knee gait」は脳血管障害や脳性麻痺、膝関節疾患患者などによく見られる特徴的な歩行です。立脚期・遊脚期ともに膝関節の屈曲の運動が減少している状態です。

stiff knee gait


※イメージとしてはこんな感じです。(極端かもしれませんが・・・)

運動学的な特徴として以下の通りです。

①立脚終期から前遊脚期において股関節の伸展が少ない。
②立脚期を通して膝関節の屈曲がほとんど認められない。
③遊脚期の膝関節屈曲が少ない。
④立脚終期の足関節背屈が大きいが、前遊脚期の底屈が少なく、前遊脚期に入ると背屈が早期に起こる。

立脚終期~前遊脚期において、股関節伸展足関節底屈が少ないと、前方への推進力が低下してしまいます。

通常歩行では、前遊脚期の際には足関節が十分に底屈し、床をしっかり蹴る事で床反力を利用し、前への推進力につなげていきますが、「stiff-knee gait」においては、前遊脚期において十分に足関節底屈せず前足部荷重が不十分なまま、下肢の振り出しに移行し、上に引き上げる様な形で下肢を振り出すような歩行様式となってしまいます。合わせて、立脚側において前足部への荷重が不足しているため、十分なステップ長が確保できずに股関節伸展の減少となってしまいます。

つまり蹴り出しと、ステップ長の減少により、非効率的な歩行となってしまいます。

この「stiff-knee gait」を改善させるためには何が必要なのでしょうか?

改善のためには立脚終期で足関節が十分に底屈し、前方への推進力を得る事が重要です。

ただ、股関節伸展が不足している状態での足関節底屈では、床反力ベクトルは上を向いてしまい、前への推進力としては乏しいため、股関節が十分伸展した状態での足関節底屈によって、床反力ベクトルを前方に向かわせ、推進力につなげていく必要があります。

以上より、立脚終期において股関節・膝関節伸展位で、足関節底屈の動きが必要となります。

このための治療介入について紹介します。

≪方法1≫足関節底屈運動を正確に行う事を感じる

まずは、平行棒内立位において正確にヒールライズを行う事から始めていきます。この時に膝関節・骨盤・体幹の代償運動に注意しながら動作学習していきます。

両側ヒールライズから、片脚ヒールライズへと移行し十分に腓腹筋に収縮を入れる感覚を獲得します。

≪方法2≫歩行時の母趾球・小趾球への荷重を感じる

歩行時の母趾球・小趾球への荷重を感じるために、踵上げをしながら歩行し、前足部での荷重感覚を感じてもらいます。この時にも代償動作に注意します。

≪方法3≫1歩踏み出した位置での、足関節底屈運動を正確に感じる

荷重の受け継ぎの肢位で、足関節底屈運動を行います。これによって前方へ蹴り出す感覚を獲得します。この時も体幹の代償などに気をつけます。

≪方法4≫立脚終期から前遊脚期の膝関節屈曲速度を増加させる

1歩踏み出した肢位にて後足の踵上げを行います。体幹の回旋の代償に気をつけます。

(福井 勉:ブラッシュアップ理学療法―88の知が生み出す臨床技術:三輪書店:2012)



また、stiff-knee gaitの原因の一つとして、前遊脚期から遊脚期にかけて、大腿直筋の過剰な筋張力の発揮が生じたり、活動開始のタイミングが早期化してしまいます。

これに対して、大腿直筋の過剰な収縮を抑制し、股関節屈筋である腸腰筋の活動を相対的に高め、腓腹筋と腸腰筋の協調的な活動により、下肢の振り出しができるようにしていく必要があります。

(樋口 貴広、建内 宏重:姿勢と歩行 協調からひも解く:三輪書店:2015)


※関連記事
関連:正常歩行に必要な関節可動域
関連:歩行分析・動作分析・姿勢分析のためのオススメ参考書
関連:歩行時の麻痺側のswingで足尖が床を引きずるケース

COMMENT 0

WHAT'S NEW?