肩関節の夜間痛を生じるケース

 16, 2016 22:48
「夜間に肩が痛くなる人」おられませんか?

夜間にだけ、肩が痛くなるという特徴的な症状を呈する方が臨床ではおられますが、なぜ夜間にだけ肩が痛くなるのでしょうか?

そもそも、夜間痛は腱板断裂や肩関節周囲炎などの肩関節疾患において、特徴的な所見です。

夜間痛は睡眠時の体位や、上腕骨頭の内圧、肩峰下滑液包圧と関連がある事が報告されています。

日中の姿勢は座位や立位であり、この状態では上肢は下垂位で、上肢に作用する重力が上腕骨を下方に牽引する事になるため、肩峰下圧は減少します。しかし、背臥位になると上肢の下方への牽引は生じないため、肩峰下圧は上昇しやすい傾向になる事が要因だと言われています。

また、腱板を中心とする浮腫やスパズム、上方支持組織の癒着・瘢痕化が生じると、上腕骨頭及び、肩峰下周囲の静脈系の排動メカニズムが低下すると考えられます。これによって、骨内圧が上昇しやすい状態となり、一時的に高まった骨内圧の下降はゆっくりとなります。こういった骨内圧調整機構の破綻が夜間痛の発生に影響していると考えられています。以下の図の通りです。
(※肩の絵はあまり関係ありません)

肩の夜間痛 ブログ用

夜間痛の程度も人それぞれであり、「夜間痛あり」だけでなく、どの程度のものか林の分類を用いると良いとされています。

夜間痛 評価

○治療の実際

痛みが急性期である場合(痛くなってから2~3日)、炎症の沈静化が第一選択ですので、肩を積極的に動かすのは避け、日中でも痛みがある場合は三角巾などで疼痛コントロールを行います。さらに、炎症所見が強い場合は医師の指示のもと、ブロック注射や消炎鎮痛剤の服用が必要になります。

炎症期を過ぎ、拘縮症例であれば上方支持組織の癒着剥離操作によって肩峰下圧を減少させていきます。

ただ、肩峰下滑液包には侵害刺激を感知する自由神経終末が豊富に存在するために、適切な関節操作をしなければ疼痛を増大する事もあるので、注意しなければなりません。

・就寝時のポジショニング

就寝時は、肩峰下圧が上昇しないように、肩関節が軽度屈曲外転位に保つようクッションによりポジショニングを行います。

体動によって容易に上肢が動いてしまうような場合には、上腕部にタオルを巻きつけるようにしておくのが良いでしょう。

肩甲骨の下からポジショニングを行い、安楽な姿勢を探ります。

・腱板と肩峰下滑液包の癒着剥離操作

大結節や小結節を烏口肩峰アーチ下から引き出す操作や、烏口肩峰アーチ下に滑り込ませる操作を繰り返していきます。

・腱板疎部(烏口上腕靱帯)への伸張性の獲得

烏口突起の基部と大・小結節との距離を近づけたり、遠ざけたりする操作を繰り返し実施し、烏口上腕靱帯に適度な伸張刺激を加えます。

(武富 由雄、市橋 則明:理学療法プログラムデザイン―ケース別アプローチのポイントと実際:文光堂:2009)


(赤羽根 良和、林 典雄:肩関節拘縮の評価と運動療法 (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ):運動と医学の出版社:2013)


※関連記事
関連:scapular planeって何?
関連:筋スパズム(spasm)とは?
関連:組織損傷とリハビリテーション

COMMENT 0

WHAT'S NEW?