リハビリ課題の順番を考慮する

 20, 2016 12:46
患者さんのリハビリに対するモチベーションを高め、能力を最大限に引き出すことは理学療法士の仕事ですね。

実際に、我々セラピストは薬物などを使用する事はできませんから、臨床では何らかの工夫によって、患者さんのドーパミン系の活動を促すようにしていく必要があります。

リハビリ 課題 ブログ用

今回のテーマは「課題の順番」です。

Shidaraら(2002)の研究によると、課題の順番とやる気の関連についての傾向が示されています。

サルを用いた研究ですが、方法として、目の前にモニターを置き、そのモニターに赤色が表示されればレバーを押し、緑色の表示が出ればレバーを離すという課題を行うようにします。これができれば報酬となるジュースがもらえる仕組みです。

この単純な課題ではサルは97%の成功率で課題を達成する事ができました。

次に2回連続で課題を行わせて、2回目だけにジュースが貰えるように設定を変更したところ、1回目の成功率が低下してしましました。(初回85%、2回目97%)

次に4回目に成功しないとジュースが貰えないようにすると、初回74%、2回目80%、3回目93%、4回目97%となり、となり途中の課題の成功率が低下する傾向にありました。

こういった事から、報酬に至るまでのプロセスが多くなると、その間の課題のエラー率が上昇する事が分かりました。

これは臨床の場面でも大いに言える事ではないでしょうか。

例えば、患者さんのホープである「歩きたい」とか、「階段を上らないと仕事ができない」などやりたい練習を後回しにして、「まずは個々の筋肉を鍛えましょう」とか、「この動作ができないと歩けませんよ」としてしまう事は、セラピストの一方的な課題の押し付けになってしまい、患者さんのやる気を下げ、課題の成功率をさらに下げてしまう事になりかねません。

実際には遠まわしにするのではなく、希望の課題に至るまでのステップを細かく分け、できる度に報酬が与えられるように設定する事が大切だと思われます。

つまり大きな目標を達成するまでの、小さな目標を一つづつクリアできる様な課題の順番の設定と報酬の与え方を考えていくことが重要だと思われます。

患者さんそれぞれのパーソナリティを考慮していかなければいけませんので、難しいですが、リハビリテーションプログラムはこちらの押し付けであってはいけないという事ですね。

やりたくもない事をやらされるのは、それが後々いい事であっても、気持ちのいい物ではないですもんね。

(今井 樹、潮見 泰蔵:脳卒中後の運動機能回復レビュー―PT・OTが知っておきたい基礎知識:文光堂:2015)


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