動作が緩慢で、転倒のリスクが高い高齢者

 17, 2016 15:15
高齢者 後ろ姿

高齢者は動作の敏捷性が低下しており、転倒のリスクが高くなっています。

敏捷能力には①反応時間、②運動の切り替えの素早さ、③筋の収縮速度の3つの要因が含まれています。

これらは加齢により低下してきますが、この3つの要因により高齢者は素早く動作する事ができなくなっています。

主な原因としては、収縮速度が速いtypeⅡ線維(速筋線維)が優位に萎縮してしまう事、拮抗筋の共収縮(co-activation)増加により強調的な関節運動が阻害されている事にあります。

こういった敏捷能力の低下に加え、筋パワーが低下する事で高齢者は転倒を起こしてしまいます。

こういった場合、敏捷性向上のためのトレーニングとしては、遅い筋収縮速度のトレーニングよりも速い筋収縮速度でのトレーニングが有効となります。

実際に筋力トレーニングをする際は、速筋線維(typeⅡ線維)に対して筋肥大を目的に負荷をかけていく場合、強い負荷が必要となってきますが、高齢者で行う際には筋骨格系障害のリスクが高くなったり、モチベーションの低下などあまり強い負荷はお勧めできません。

高齢者に対して行う際には、自重を用いたトレーニングで主に立位中心のトレーニングが安全で簡便に行えます。

実際には、Borgスケール15「きつい」を超えない程度で徐々に負荷を上げていきます。

具体的なトレーニングメニューとしては、以下の通りです。

①椅子からの立ち上がり

→できるだけ素早く動作を行います。負荷を増やすには、椅子の座面を徐々に低い物にしていく事で増やしていきます。

②ステップ台の昇降運動

→できるだけ素早く登り降りします。これも、台の高さを徐々に上げていき難易度を高くしていきます。前方からの上り下りや、側方からの上り下りで下肢全体をトレーニングします。

③交互足踏みトレーニング

→できるだけ立位で速く足踏みを行いますが、立位バランス不安定な患者さんは手すりなど支持しながらの足踏みから開始していきます。できるようになれば、徐々に難易度を上げていき、不安定なバランスマット上での足踏みなどを行っていきます。

④ステッピングトレーニング

→前方・側方・後方へのステッピングの練習ですが、素早く足を踏み出していきます。一歩踏み出す大きさは徐々に大きくしていきます。

⑤クロスステッピングトレーニング

→前側方や後側方に一歩足を踏み出して戻す練習です。素早く足を踏み出していきます。できるようになってきたら、徐々にステップの速度を速くしていきます。

(武良 由雄、市橋 則明:理学療法プログラムデザイン〈2〉ケース別アプローチのポイントと実際:文光堂:2012)


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