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覚醒レベルを上げるには?~脳幹網様体賦活系

 13, 2016 19:16
脳幹網様体賦活系

臨床の現場でも、脳卒中の重度な方や、内部障害などで重度な方で意識がなく、刺激に対しての反応が無く、覚醒レベルが低い方をよく見かけます。

意識障害が生じる原因としては、脳卒中や頭部外傷、脳炎などの頭蓋内の病変による一次性脳障害と、循環障害や電解質異常、血糖異常などの頭蓋外の病変によるものに分かれます。

そもそも、「意識がある」という定義は何なのでしょうか?「意識がある」というのは、「起きている状態にある事(覚醒)」、「自分の今ある状態や、周囲の状況などを正確に認識できている状態」である事をいいます。

では、一方「意識が無い」というのはどういう状態なのでしょうか?「意識が無い状態」というのは単に寝ている状態ではなく、何らかの病的な理由で、昏睡した状態の事を言います。

寝ている状態、つまり「睡眠状態」は正常な脳が休んでいるだけなので、軽く刺激すると目を覚まし、覚醒することができますが、「昏睡状態」では刺激に対する応答はなく、覚醒することができない状態です。

意識を覚醒状態に保つ中枢は「脳幹網様体」と呼ばれています。「脳幹網様体」は中脳から橋にかけて、背側に存在します。

熱い・痛いなどの温痛覚や触圧覚などの「皮膚感覚(表在感覚)」は脊髄視床路を通って視床にたどり着き、位置覚や運動覚、振動覚などの「深部感覚」は脊髄後索路(脊髄延髄路)を通って視床にたどり着きます。

これらの脊髄視床路や脊髄後索路(脊髄延髄路)によって通じた情報は、視床を介した後は大脳皮質の知覚領域へと送られますが、一部は「脳幹網様体」にも伝わります。伝わった情報は整理・統合されて視床に伝わり、大脳皮質や視床下部に指令を出します。これによって絶えず脳は刺激を受ける事になり、覚醒レベルを維持できるのです。

つまり、意識障害を呈している患者さんは、大脳が広い範囲で障害されているか、脳幹網様体や視床のどこかで障害されている可能性があります。

では、意識障害を呈している患者さんにどういった関わりができるでしょうか?どのようにしたら覚醒レベルをアップできるのでしょうか?現在、分かっている事を記していきます。

○メカノレセプターによる刺激入力

「メカノレセプター」というのは感覚受容器の事で、足底の特に踵や親指・親指の付け根に豊富に存在します。メカノレセプターは、立ったり座ったりしている時に体重がどこにどうかかかっているかを検知する「センサーの機能」があります。

我々はこういった情報をもとに、姿勢筋緊張を保ち身体バランスをとっています。

足底のメカノレセプターからの情報は脳幹に送られ、そこから視床を経由して大脳皮質の知覚領野に伝わります。そこから各筋肉に指令を出してバランスをとっているのです。

つまり、メカノレセプターへの刺激入力をする事によって大脳を活性化させ、覚醒状態を保つことができるのです。

○背面開放座位

「背面開放座位」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは、端座位で背もたれにすがらない状態の姿勢の事を言います。

我々は普段背もたれの無い椅子に腰かけた時に、ピタッと止まっているように見えて実は微妙に揺れて動いています。こういった動揺が常に生じている中で、無意識のうちに「姿勢反射」によってバランスを崩すことなく座位が保てているのです。

この姿勢反射の中枢は脳幹の「中脳」です。

治療場面においては、前述のメカノレセプターへの刺激入力の要素も加え、端座位では床面にしっかり足底をつけるようにします。そして、端座位で体幹部の支えを少しずつ外していき、全身の筋肉への指令や姿勢反射を起こしていくようにします。

こういった座位をとる事によって、脳幹に刺激を与え覚醒レベルを維持できるようになるのです。

○五感からの刺激入力

そもそも五感とは「味覚・聴覚・触覚・視覚・嗅覚」を言います。五感からの刺激によって脳が全体的に活発に働く事が知られています。

味覚は舌に存在する味蕾で感じます。その感覚情報は脳幹にある味覚の中枢に行き、そこから視床→大脳皮質へと向かい、意識的な「味覚」となります。

聴覚は内耳から入ってきた音が蝸牛神経を伝って脳幹に伝わり、その後大脳皮質に向かいます。

触覚は、精細触覚(識別性触覚)と粗大触圧覚で経路が違いますが、最終的には視床に到達し、大脳皮質の知覚領野に伝わります。

視覚中枢は後頭葉にあります。目から入った情報は、大脳の後頭葉に伝わります。

これら五感からの刺激は、車椅子上だけでなく、ベッド上においても刺激入力によって覚醒度の維持・拡大が図れます。

○経口摂取の重要性

「口から食べる」という行為はたくさんの神経が総動員して活動する高次なプログラムのもとに成りたっています。

経口摂取をする事によって、脳全体への刺激となり、覚醒が促される事となります。

(太田 純子:脳神経疾患病棟 観察・アセスメントスキルが身につく超実践プログラム: 新人ナースお助けワクワク誌上研修 (ブレインナーシング2016年春季増刊):メディカ出版:2016)


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