高齢者に激しい筋トレをさせるのは危険?

 11, 2016 08:52
高齢者 歩行器

筋力トレーニングの方法論について述べられているもののほとんどが健常者、若い方向けのものであり、高齢者に関してどのような筋力トレーニングをしていけば良いのか不明確です。

臨床においては、実際どのように考えていけば良いのでしょうか?

高齢者が筋力トレーニングをした際に、そんなに負荷量が少ない運動でも血圧が急激に上昇したりします。動脈硬化がある方は特に危険かと思われます。また、重たい物を持ったり、息をこらえたりするような運動では、血圧が上がりやすいので注意が必要です。

運動によって血液循環を促しますが、負荷の強い運動では血流が速くなったり、遅くなったりして変化が激しくなり、血栓ができやすい可能性があります。

高齢者や運動不足の方の場合、初期のトレーニングで急激に強い負荷をかけると筋が断裂したり、関節の障害を起こしたりする事も考えられます。実際に筋トレを行う時は、最初は負荷をあまり高くないところに設定して、徐々に上げていくようにしていく必要があります。

若い方の場合、命に危険が及ぶ前に筋の疲労が生じ、運動にストップがかかるためにトレーニングで追い込むことが可能ですが、高齢者の場合は疲労が起こる前に体そのものに危険が生じる可能性があるため、軽い負荷だとしても追い込むようなトレーニングは避けるべきです。

(石井 直方:〈東京大学教授〉石井直方の新・筋肉まるわかり大事典 (B・B MOOK 1249):ベースボールマガジン社:2015)



ちなみに、高齢者の運動全般にあたっては一般的に以下のように言われています。

○留意点

・高齢になると体力の個人差が大きくなる。そのため、個人の体力レベルに応じた運動処方が非常に重要である。
・高齢者では環境の変化に適応しにくいため、運動に慣れるまでは運動量や強度は低く設定する。
・運動前後のストレッチは時間をかけて行う。
・疲労や痛みなどの症状については、運動時だけでなく、運動2~3日後までの様子も聞いておく。
・運動後に関節の痛みや腫脹・熱感、3日以上続く強い筋肉痛が見られる場合は、運動の内容や強度を変更する。
・運動の継続が重要であるため、楽しく無理のない範囲での運動を選択する。
・空腹時や食後すぐの運動はできるだけ避ける。
・運動時の転倒には十分注意する。


以上の事に注意しながら運動療法を進めていくと良いでしょう。

では、具体的な運動処方としてはどのくらいの負荷をかけていけば良いのでしょうか?

運動強度としては、筋力増強・筋肥大を目的とするのであれば、1RMの60~80%(8~15RM)あるいは、Borg主観的運動強度スケールで15~17が目安とされています。

ただし、1RMの85%以上の強度となると、高齢者では筋骨格系障害のリスクが高くなるとされています。

(市橋 則明:高齢者の機能障害に対する運動療法―運動療法学各論:文光堂:2010)


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