視覚と歩行~オプティカルフロー

 22, 2013 13:19
我々、人間の姿勢制御には「視覚」、「前庭感覚」、「体性感覚」が複雑に影響し合っています。
その中でも、特に高齢者においては、メインとして「視覚」からの情報を用いて環境を認識しています。

歩行動作の安定性には、視覚情報の役割は非常に大きいと考えられています。

動きの中で発生する知覚情報として、オプティカルフロー(オプティックフロー)があります。
オプティカルフローとは、身体または物体の動きによって網膜上に生じる規則的かつ工学的な変化のパターンを指します。

ちょっと難しいようですが・・・課題遂行時の周辺の風景の流れや、見え方の変化のことですね。

最近は、講習会に行くと、よく聞く言葉になってきました。

我々が進行方向を見据えて前に進む時、網膜上では進行方向の一点を中心として風景が拡大していきます。
この拡大率は、中心から遠くなるほど大きいため、中心から遠い位置ほど風景が早く通り過ぎているように見えます。

例えば、椅子に向かって歩いている場合、目標である椅子を中心とした周辺領域は接近に伴い徐々に拡大して見えますが、椅子を中心とした網膜に映る周辺領域は、自分から近い周辺領域ほど拡大率が大きくなる。

誰もが、自動車や電車の眺めで体験したことはあると思います。

オプティカルフローを知覚することで、さまざまな情報を獲得します。空間を直進する場合、フローの拡大中心が移動方向となります。等速度で移動する場合は、空間にある物体に対してどのくらいの時間で到達するかを特定することができます。歩行のような空間移動行動の場合は、オプティカルフローを知覚することで、歩行の制御に必要な情報の多くが獲得できると考えられています。

例えば、トイレットペーパーの芯を2つ両目にあて、のぞいた風景だけ見て歩こうとしてください。周辺の景色の変化が見えなくなることで、目標物までの距離が分かりにくくなり、歩くのが怖くなりませんか?

見え方の変化が姿勢制御に大きく関連しています。

視覚情報を取り込むためには、視線を動かすことが必要です。
歩行や上肢動作など、日常行為の遂行中の視線の移動パターンと身体の移動パターンには、時間的・空間的関係があることが明らかになっています。
適切な身体運動の実現のためには、適切な視線行動が必要です。

目標物である椅子に座ろうと歩いている時、足元の階段に気付かずに、足を踏み外してバランスを崩して転倒しました・・・なんて事ではだめなのです。

歩行中の視線というのは自分の進むべき方向、あるいは目標到達点や障害物などに対して停溜します。また、目の前の情景をくまなくサーチするような非効率的な動きではなく、個々の状況における歩行の目的達成に必要な情報に対して選択的に向けられます。

オプティカルフローの考え方に基づけば、最適な進行方向に視線を固定することは、対象への到達時間を特定するための光学的な情報を利用でき、安全な空間移動のための非常に効果的な視線行動といえます。

臨床のリハビリテーションの現場においても、オプティカルフローは姿勢制御において欠かせない要素であり、視線を正しく制御することは、空間内の重要な対象物の視覚情報処理のために不可欠なのです。

(山岸茂則:臨床実践 動きのとらえかた  何をみるのか その思考と試行:2012)



ちなみに富田先生が言われている「視覚的なフロー」と「体性感覚的な場のフロー」の乖離した状態は以下の動画になります。

視覚的なフローと体性感覚的な場のフローの乖離した状態

右側に近づこうと意識しても、身体は反発して近づけないのです。

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