ROM制限を評価した車椅子のシーティング

 11, 2013 13:00
ROM(関節可動域)制限がある方は車椅子の座位保持が困難になる場合があります。

臨床の場面ではROMを十分に評価し、適切なシーティングを行う事によって不適切な姿勢保持による二次障害を防いでいくことが大切であると思われます。

例えば、座位保持で過度な円背の状態でいると、胸郭の動きを制限して呼吸機能を低下させたり(呼吸器疾患の人は特に要注意ですね)頚椎の過伸展をしたままだと、食事の時などに誤嚥を引き起こしたり体幹の過度の側屈や回旋など左右非対称の状態のままだと、変形や異常筋緊張の促通を引き起こしたり足関節の内反尖足があるのにも関わらず、無理やりフットサポートにのせることでクローヌスを誘発させたり仙骨座りを長時間続けることで坐骨結節部の褥瘡を発生させたり・・・

関節可動域の制限を無視したシーティングは様々な弊害を生み出すことになりますので、注意が必要です。

今回は、特に代表的な股関節の屈曲制限と、ハムストリングスの短縮による仙骨座りの発生要因について記したいと思います。

まず、股関節の屈曲制限についてですが、これは股関節疾患が有る・無いに関わらず、寝たきりの方は、股関節が骨盤の代償なしに90°以上屈曲しない人が結構多いです。

股関節90°以前で骨盤の後傾が起こる方は、座位をとった時には骨盤後傾し、仙骨座りになってしまうため、骨盤の後傾が始まる直前の股関節屈曲角度を測定し、それにあわせた分だけ、バックサポート角をつける(リクライニングをする)必要があります。

どういう事かというと、仮に後傾が始まるのが80°からであった場合、バックサポート角は100°にするという事です。

ROM制限による仙骨座り ブログ版

ただ、バックサポート角をつけただけで、シート角が水平のままだと、坐骨結節部には座面前方への剪断力が作用しているため、仙骨座りになってしまいます。

そこで、ティルトをかけて座面を後方に傾けて仙骨座りを予防しなければいけません。


次に、ハムストリングスの短縮についてですが、特に寝たきりの方で、ハムストリングスの短縮や過緊張が多い印象がありあす。

こういう方は、車椅子で座位保持を行い、膝を伸展させると、股関節屈曲によって、ハムストリングスの起始・停止が伸張してしまい、坐骨結節が前に引きだされ、仙骨座りとなってしまうケースです。

ハムストリングスの短縮 ブログ版

対処としては、レッグサポート角を調整し、膝の屈曲角度を多くしたり、リクライニングでバックサポート角を多くとったり、それによってシート角(ティルト)をかけたりして調整していく必要があります。

ハムストリングスが伸張されている時は痛みや不快感が出ている場合が多いので、患者さん本人の訴えも聞きながら、注意して調整していく必要があります。

(光野 有次,吉川 和徳:シーティング入門―座位姿勢評価から車いす適合調整まで:2007)


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