筋力トレーニングのエビデンス

 23, 2013 00:21
我々、理学療法士は臨床の現場で、筋力トレーニングは最もよく用いる運動療法であり、それに関しては多くの知見が報告されています。

京都大学大学院の市橋先生が、筋力トレーニングに関するガイドラインである、The American College of Sports Medicine tance Traning for Healthy Adultsを参考にエビデンスについて報告しています。


①筋活動様式
どのようなトレーニングレベルの者に対しても、筋力トレーニングには、求心性収縮、遠心性収縮、等尺性収縮の筋活動様式を含むことが推奨される
(エビデンスレベルA)

これに関して、ほとんどの筋力トレーニングは求心性収縮と遠心性収縮の組み合わせになってきますが、等尺性収縮は体幹筋の収縮や、近位部の固定に働いたり、求心性収縮と遠心性収縮の切り替えに働くため、これらを組み合わせた筋力トレーニングは重要になってくると思われます。


②負荷
初心者から中級者までは1RMの60~70%でのトレーニング8~12回、上級者では1RMの80~100%でのトレーニングが推奨される
(エビデンスレベルA)

最大筋力増加のためには、運動負荷を増減させることが重要であり、初心者は極めて低い負荷で十分で、中級者でも15~25RMの軽い負荷でも筋力が増加するとの報告があります。それに対して、上級者に関しては1RMの80%だったり、長期的に筋力向上を得るためには、負荷量をさまざまに増減させていくことが重要とのことです。


③トレーニング量
初心者に対する初期のトレーニングでは、1回のトレーニングあたり1~3セット実施することが推奨される
(エビデンスレベルA)

中級から上級に進むにつれて、複数セットのトレーニングを量や時間を増減させながら実施することが推奨される
(エビデンスレベルB)

初心者で筋力増強を目的とし、しかも比較的短期間に限定する場合に限り、1セットのみのトレーニングが有効よされますが、トレーニングの持続的効果を得るにはトレーニング量を増やしていくことが重要です。(ただし、セット数に限らず、バリエーションなども)


④トレーニング方法の選択
片側トレーニングと両側トレーニング、単関節トレーニングと多関節トレーニングのどちらも取り入れ、全体的な筋力増加のためには多関節トレーニングに重点をおくことが、トレーニング歴のない初心者から中級、上級までの者すべてに推奨される
(エビデンスレベルA)

例えば、ベンチプレスやスクワットなどの多関節運動の方が、複雑に神経系の影響を受け、全体的な筋力増加に有効であると言われています。一方、単関節運動は特定の筋群を強化しやすいが、技術の向上への影響は少ないです。


⑤トレーニングの順序
大きな筋群のトレーニングを小さな筋群のトレーニングの先に行い、多関節運動を単関節運動より先に行い、高強度トレーニングを低強度トレーニングより先に行う。上肢のトレーニングと下肢のトレーニング、主動作筋のトレーニングと拮抗筋のトレーニングはローテーションさせて行う事が推奨される
(エビデンスレベルC)

トレーニングの順序は即時的な筋力の発揮に大きく影響します。先に多関節運動によってパフォーマンスを高めることが筋力向上のためには重要かもしれません。


⑥セット間の休憩時間
どのようなトレーニングレベルの者に対しても、重い負荷を用いたトレーニングの後は最低2~3分間の休憩をとることが推奨される
(エビデンスレベルB)

補助的なトレーニングの場合は休憩時間は少なめ1~2分間でもよい
(エビデンスレベルC)


⑦運動速度
初心者には低~中速での筋力トレーニングが推奨される
(エビデンスレベルA)

中級者には中速での筋力トレーニングが推奨される
(エビデンスレベルB)


⑧頻度
初心者は全身のトレーニングを2~3回/週実施することが推奨される。初心者から中級者に進む際、それぞれの筋のトレーニングの頻度を変更するよりも、運動方法や、トレーニング量、強度などを変更する方が良い
(エビデンスレベルA)

(市橋則明:理学療法 30巻9号:2013)


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