心不全など心血管系疾患がある方の入浴動作

 29, 2013 11:32
入浴

心不全などの心血管系の疾患がある方は多く、そういった方はどのようにして入浴動作を行っていくかが重要なポイントとなります。入浴は清潔を保つだけでなく、リラックスをもたらす生活の楽しみとしても日常生活で必要な動作であります。

入浴動作は心血管系に負担のかかる動作でありますが、病態によりどこまでできるかはやってみないと分からない事もあるので、入浴動作指導を始め、家族指導をどうしていくかはリハビリテーションの臨床の現場でも非常に難しい事となります。

①温熱の影響
温熱により血管は拡張します。動脈が拡張して末梢血管抵抗は低下し、血圧は下がります。
左室後負荷が軽減して左室駆出率は上昇し、心拍出量は増加します。また、末梢血管抵抗低下による血圧低下のため、圧受容体反射を介して頻脈となり、さらに心拍出量が増加します。

②静水圧の影響
静水圧は、体表面積1㎠、深さ1㎝で1gの圧力となり、入浴すれば深さに応じて静水圧が体表面にかかることになります。
深い入浴であればあるほど、静水圧によって血管が圧迫され、末梢血管抵抗が増加し、心臓への静脈還流量の増加で左右心内圧が上昇し心負荷が増大します。

静水圧によって胸郭や、腹部も圧迫されてしまう為、心不全や呼吸器不全のある患者さんは半身浴からはじめ、肩や背中はかけ湯をするか、タオルをかけるようにする方が安全と考えられます。

③入浴の運動量
入浴動作は浴槽につかることの他に、着替え・体を洗う・浴槽の出入りなどの一連の動作が含まれます。

41℃のお風呂に10分間入浴して深部体温が1.0~1.2℃上昇した時のエネルギー消費量は1.3~1.5METSと言われていますが、着替え・体を洗う・浴槽の出入りなども含めた一連の入浴動作では4~5METSと早めの歩行(時速5km)と同程度の運動強度となりますシャワー浴では3~4METS程度で普通の歩行(時速4km)と同じと言われています。

以上のことをふまえて心血管系に負担のかからない入浴方法としては・・・

1.適温:39~41℃(42℃以上及び34℃以下は不可)
2.時間:40~41℃の場合で10分を限度
3.深さ:胸下までの半身浴や半座位での入浴が心負荷は少ない。
4.入浴時の労作:更衣や浴槽の出入りはゆっくり行う。重症度によっては介助が必要となる。
5.その他
・出浴時の起立性低血圧に注意してゆっくり立ち上がります。
・入浴後にコップ1~2杯の水分を摂取する。
・高齢者の場合は転倒防止の滑り止めマットの設置や、安全確認のための声掛けなどしていく必要がある。
・入浴時は皮膚刺激を少なくするためにかけ湯をしてから入浴する方がよい。
・脱衣所が寒くならないように暖房を入れておくなどの工夫が必要。


(上月正博:心臓リハビリテーション:2013)

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