靴を履く動作の分析

 30, 2014 14:10
靴
靴を履く過程は6つに分けることができます。

①靴を適切にセットする
②足先を靴の開口部に入れる
③足先を靴先に滑らせ、足を適切に靴内に位置させる
④靴を踵に入れる
⑤踵を靴後部に合わせる
⑥靴ひも・ストラップ等を締めて靴を足にフィットさせる

靴を履く動作で失敗している方は、この動作過程のどの相で失敗しているのか分析し、各動作ごとに代償手段を考えていきます。

①靴を適切にセットする
この相の場合、健常者は靴をまっすぐ置くことで、問題なく足を靴の開口部に入れることができますが、片麻痺の回復過程にある方は、下肢の運動パターンにより位置と方向で足を入れやすい向きがあります。ベッドサイドであらかじめ靴を置いておくときは、位置と方向は下肢の運動パターンに合わせた所に置くことが望ましいと思われます。

②足先を靴の開口部に入れる
この相で失敗する場合は、足部に重度の変形や拘縮があり、うまく開口部に入らない場合や、自分の足部や下肢全体を随意的に操作できない場合が多いと思われます。
こういった場合、上肢機能が保たれており、開口部を大きくした靴が、前上部の中央を開閉できるファスナー付きの靴です。
上肢の随意性が低く、THAなどで、床に手が伸ばせずリーチャーや火ばさみなどを使わざるを得ない方は、マジックテープのストラップ付きの靴が適していると思われます。
足部の変形や拘縮が重度で、介助者が靴をはかせることが困難な場合、フルオープンタイプの靴も有用だと思われます。

③足先を靴先に滑らせ、足を適切に靴内に位置させる
この相は靴を知覚しながら、足部を動かしていく過程です。
動作としては、足部全体を前方に移動させ、靴先の空間に入れ込んでいく過程ですが、この時足趾の屈伸運動を伴う場合があります。屈伸運動が不足している場合は、足趾のエクササイズを取り入れる必要があると思いますが、この過程で失敗している場合、②と同様に開口部が大きくできる靴で、前足部の空間が広いタイプの靴が適していると思われます。

④靴を踵に入れる
まず、この過程で失敗している場合、靴のサイズが合っているかを確認します。そのうえで、踵部が靴に入らない場合、靴べらの使用をお勧めします。

⑤踵を靴後部に合わせる
この過程は、足部を靴内空間の後方に位置させ、前方に少し余裕をもたせた履き方であり、靴の踵を床にトンとうちつける動作になります。これは特に積極的に歩行をする人で、靴からの圧や摩擦で足を痛めないようにするために重要な過程ですが、積極的に歩行を行わない方は省略されます。

⑥靴ひも・ストラップ等を締めて靴を足にフィットさせる
靴ひもやファスナーは上肢機能の高い方に適しており、困難であればストラップタイプのものがよく、バレーシューズの場合はこの⑥の過程は省略となります。ただ、バレーシューズの場合は②、③の動作が困難になりやすいために注意が必要となります。

(坂口 顕:理学療法士のための足と靴のみかた:2013)


※関連記事
関連:運動学・機能解剖のオススメ参考書

COMMENT 0

WHAT'S NEW?