整形外科術後の深部血栓静脈症(DVT)の予防

 14, 2014 16:43
整形外科術後の最も重要なリスク管理に深部血栓静脈症(DVT)があります。

DVTは肺塞栓症(PE)を発生させ、呼吸困難や胸部痛、さらに重篤な場合は短時間のうちに心停止を引き起こす場合があります。

理学療法を実施中に、突然患者さんが、意識消失してその場に倒れこみ、みるみる顔色が悪くなるという状態になることが起こる可能性があります。

理学療法が介入する際には、特に術後はそういう事が起こるかもしれない事を仮定し、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクを予測していくことが大切となってきます。

以下の表は、深部静脈血栓症の付加的な危険因子の強度です。これらの因子から、どの程度VTEのリスクがあるかを予測します。

静脈血栓症の危険因子の強度 ブログ用

DVTが起こっている急性期の症状としては、患肢の疼痛、浮腫、腫脹、表在静脈の怒脹、腓腹部の把握痛、足関節を強制背屈した際の腓腹部の疼痛(Homan徴候)などがありますが、無症状の例も多くあり、臨床症状がなくてもDVTがある場合もあります。診断ではD-dimar値などの血液学的検査超音波検査などによって画像診断していくことが重要となります。

予防していくためには、術後理学療法において、

①早期離床
②積極的な運動
③弾性ストッキング
④間欠的空気圧迫法

整形外科の術後でDVTの発症率が最も高いのは、人工膝関節置換術(TKA)後で、次に人工股関節置換術(THA)後です。

特にこれらの方に対して、上記の①~④が行われます。

①・②に関して、術後はできるだけ早期に離床し、積極的に動かし、早期荷重歩行を行う事が最大の予防法になります。リハビリがない日でも、自主的に足の底背屈運動によるカーフパンピングを行っていただき、血栓をつくらないようにしていかなければなりません。この運動を行ってもらう際には、下腿三頭筋をしっかりと収縮させて行うように指導していきます。

③・④に関しても良く用いられます。圧迫を加えることによって、静脈の血流速度を上昇させ、下肢への静脈うっ滞を減少させる効果があるからです。このストッキングは履いてみると分かりますが、かなりキツいストッキングです。普通のストッキングではありません。履いた後は、できるだけストッキングにシワができないように注意してください。シワやよじれが出来ると、皮膚に食い込み発赤や疼痛の原因となりますし、圧迫力が不均一となり、段階的圧迫力にならなくなってしまうためです。

(島田 洋一,高橋 仁美:整形外科 術後理学療法プログラム:2013)

COMMENT 0

WHAT'S NEW?