脳卒中患者におけるADLアップのための病棟内練習~そのための連携

 22, 2014 00:42
脳卒中患者さんの病棟内でのADLアップのための病棟内練習は、できるだけ早期から行っていき、自立にもっていくことが重要になってきます。

そのためには、看護師(看護部)と連携をしっかり取り、病棟内での動作遂行の問題点を明らかにしていく必要があります。

病棟内での動作は、リハ室での動作に比べて、より生活面を反映した(自宅内での動作に近い)動作になります。理学療法を進行させていく過程で、リハ室で行えている動作と病棟内生活のADL自立度のギャップ(相違点)を把握しておきます。

行う病棟内練習は、実生活(退院後の生活)で行う目的をもったADL練習とし、患者がそのことを十分に理解している必要があります。

看護師は患者の病棟内生活や家族関係など、最も把握している専門職であり、患者の主観的な訴えや、病棟内ADL自立度、患者及び家族の心理、体調、薬物療法、患者のスケジュールなど理学療法士が治療介入以外で得られる生活状況と、患者の身体的・心理的状況などをたくさん把握しています。

病棟内で積極的に看護師とコミュニケーションをとり、分析していく環境が大切です。

看護師との連携 ブログ用

上図は看護師から得られる主な情報の一部です。

「患者さん本人はADLに介助を要するものの、自宅で生活したいと希望を持っているが、家族は介助の方を全くしたくないというのが本音で、施設希望なんです。」

「リハビリではレベルの高い動作練習を毎日行っていますが、本人はリハビリ後の疲労感が強く、結構入浴を拒否されるんです。リハビリでの負荷量について検討させていただけませんか?」

「患者さん家族がお見舞いに来ることがほとんどありません。今後の方針について相談したいのですが・・・」

「夜間不眠で、朝の覚醒が悪いんです。午前中のリハビリはできていますか?」

「今週から、眠剤の量が増えているんです。夜間のトイレ動作にふらつきが多くなってきました。」

「歩行時に膝の痛みがあるんです。整形の診察をされた方が良いのではないでしょうか?」

「痔があるので、できるだけ腹圧をかけた運動は避けた方がいいかと思います。」

「同室者との関係が非常に悪いんです。部屋をかえたのですが、リハビリ時で顔を合わせないように工夫できますか?」

「キーパーソンである夫ががん治療のために入院してしまいました。今後の方針について検討していきましょう。」

「トイレ移乗ですが病棟内でも介助なしで、見守りでできるようになってきましたよ。」

「自律神経障害のため血圧の変動が大きいです。体位変換時のめまいに注意して、転倒などが起こらないように気をつけておかないといけないですね。」

「来週に外泊予定となりました。車への移乗はどのように介助していきましょうか?」

「リハビリでは杖での歩行練習をされているようですが、どうも病棟内では独歩で歩かれています。転倒のリスクがあることを再度説明の必要がありますね。」

「今週から、降圧剤の種類が変わりましたが、運動後の血圧の変動はどうですか?」

「脳梗塞・尿路感染症の予防に積極的に飲水を進めていく必要があるので、リハビリ前の飲水確認お願いします。」

これは、病棟内でかわされる会話の一部ですが、常にスタッフ連携を取っていく必要があります。看護師サイドが忙しくて時間が取れないときもあります。時間をずらしてリハビリサイドから積極的に、情報の取得をしていく事も大切です。

これを行ったうえで、患者及び家族のニーズを把握し、「しているADL」と「できるADL」の相違を分析して理解したうえで、病棟内練習を計画します。


自立度(介助・監視・自立)の判断は、病棟スタッフ同士で話し合い、患者さんに適切な練習内容にしていきます。例えば、転倒の危険性はあるのか、疲労度はどうか、過剰な努力を要するか、認知力はどうかなどの面を見極めていきます。

病棟内訓練の具体例としては・・・
・寝返り
・座位保持
・起き上がり
・立ち上がり・立位・移乗
・歩行
・応用歩行

上記の訓練を行っていくことになりますが、病棟練習における動作指導について以下の点に気をつけます。

①理学療法室と病棟で統一した方法を指導します。
②患者・家族への十分な説明を行います。
③患者の主観的な訴えに注意します。
④簡単な動作から始め、徐々に難易度を上げていきます。
⑤過剰努力による反応に注意します。
⑥事前準備をしっかり行い、リスク管理に注意します。
⑦安全かつ効率的な介護方法の指導をします。
⑧実際の生活を踏まえた動作練習にしていきます。
⑨周囲の環境調整をします。
⑩他部門と連携し、円滑に指導します。

これらを十分に確認したうえで、ADLをアップさせていきます。

(長澤 弘:脳卒中・片麻痺理学療法マニュアル:2007)


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