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脳卒中患者の姿勢と可動域制限に対する考えとアプローチ

 01, 2014 17:53
脳卒中後の早期の抗重力的な運動機能がまだ不十分な時期に、背臥位からの起き上がりや抗重力活動の求められる座位などを行うことで、上肢筋とくに屈筋群の緊張が高まったり、体幹や肩のアライメントが崩れやすくなる方が臨床ではよくおられます。

また、肩全体の固定と動きが、筋の弛緩のために得られない事があります。これらが肩の痛みの誘因になることも考えられます。

大脳小脳神経回路の障害を伴う場合には、フィードフォワードの障害による運動前発射が上手く行えずに、肩関節や股関節のような中枢部の固定が難しくなることが多いです。

立位や歩行練習が行われるような時期では、フィードフォワードシステムとしての近位四肢筋や体幹筋の活動が得にくいことから、麻痺側下肢への効率的な荷重・姿勢保持が困難で、上肢では連合反応としての屈筋群の過活動が見られます。

大脳小脳神経回路の障害の回復期初期では、情動・認知・記憶などの調節がうまく行えない小脳性認知情動症候群(CCAS)を呈する事もあります。情動のコントロールがうまく行えずに、注意障害を持つ上肢の低緊張状態の患者の肩関節は、かなり危険な状態にあるため管理に注意が必要です。

大脳小脳神経回路の障害をきたす方のなかにはCCASに加えて、フィードフォワード制御としての運動前発射が動作中に見られないことから、姿勢の崩れが良く見られ、日常的にそれを繰り返してしまう。それを補うように麻痺側上肢は過度の屈筋の緊張が生じ、繰り返されることによって著しい上肢の屈曲拘縮を招いてしまいます。

さらに空間認知や姿勢定位の障害を併せ持つと、その上肢はさらに著しい過活動を生じ、下図のような屈曲拘縮を作り出すこととなります。

上肢の屈曲拘縮 ブログ用

まず、これを防いでいくためにも、フィードフォワード制御を意識して、徹底的に姿勢制御の練習を繰り返すことが重要となります。変形拘縮となってしまった場合は治すことはできませんが、変形拘縮の予防として姿勢制御の練習は必要となります。

方法としては、立位で長下肢装具の利用によって麻痺側下肢への荷重を促して、股関節周囲や体幹筋が働きやすい環境をつくり、上肢への過度な影響を抑えることも重要です。

今回は座位についてのポイントですが

座位で練習を行う時に特に気をつけなければいけないのは、ヒトの股関節の構造にあります。

千里リハビリテーション病院の吉尾雅春先生が言われている事ですが、ヒトの真の股関節、すなわち寛骨大腿関節の最大屈曲は70°程度であるという事です(下図)。下図は健常者の股関節屈曲角度ですが、特に、脳卒中患者の麻痺側股関節屈曲角度は制限されていることは多いですが、寛骨大腿関節の動きが制限されていることは少ないと言われています。
そして、安楽座位で骨盤は後方に40~50°、姿勢を正した座位でも骨盤は20°程度後方に倒れた状態です。

健常成人の股関節屈曲 ブログ用

脊柱はその倒れた骨盤上にあり、座位で体幹を抗重力伸展するためには大腰筋の随意的な活動が不可欠となります。

そのために座位練習では、座面を高くしたり、ウェッジやクッションなどによって前方へ傾斜させることで、上記の股関節の可動域制限と、骨盤の後傾の問題を考慮して骨盤前傾を促すことができ、効率的に体幹の抗重力伸展が促されることとなります。(下図)

下図は膝関節・股関節が90°程度で座位保持を行っていますが、もっと座面を上げて高座位の状態で座位練習を行うと良いと思われます。

座位の安定性を増すための工夫 ブログ用

このような股関節周囲・体幹筋が働きやすい環境をつくった上でのエクササイズにより、フィードフォワード制御を意識していくことは大切なことであると思われます。

(原 寛美,吉尾 雅春:脳卒中理学療法の理論と技術:2013)


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