歩行時のバランス能力の評価項目について考える

 04, 2014 22:18
バランス 玉乗り
実際の臨床の場面において、バランス能力の評価を行うに当たっては、みなさんセラピストはどのような評価項目を行っておられるでしょうか。

もちろんすべての方が画一的な方法で評価を行っている事はなく、動作からその方に必要な項目を行っておられると思います。

今回は、近年取り上げられる機会の多い以下の3種類のパフォーマンステストに着目し、検討を行います。

①Functional Reach(FR)
②Timed Up and Go Test(TUG)
③Fanctional Balance Scale(FBS)


①Functional Reach(FR)

FRは、高齢者のバランス測定のために、Duncanらにより提唱されたテストです。検査自体はとても簡単で、腰幅程度の開脚立位をとって上肢を90°挙上位とした後に、できるだけ前方にリーチ動作を行い、その時の最大移動距離を測定します。

一方で、バランスとは、静的バランスが「支持基底面が維持されて、質量中心のみがうごいているもの」で、動的バランスは「支持基底面および質量中心が、ともに移動・変化するもの」とされています。

このことから、FRは静的バランスの指標となるわけですが、動的バランスに基づく歩行との関連を示した報告も少なくありません。ただ、静的バランスは機能性は評価できても、日常的な動作の中での評価になっているかと言えば難しいと言わざるを得ません。日常的な生活の中では外乱負荷に対する応答、支持面が変わる中での随意運動など、さまざまな条件下でのバランスの推測が必要となり、FRだけでは難しいと思われます。

②Timed Up and Go Test(TUG)

TUGは、バランス障害をもつ高齢者の移動能力を評価するため、Podsiadloらにより提唱されたパフォーマンステストです。検査は、対象者が椅子から立ち上がり、3mの直線距離を歩行した後に方向転換してもとの椅子に戻り、着座するまでの時間を測定するものです。このテストによって、下肢・体幹の筋力、協調的な筋活動、立ち直り反応、下肢の支持性など複合的なパフォーマンスを評価できるとされています。しかし、このテストは動作に要した時間という特異的側面のみで判定されます。

日常生活においての歩行では確かに歩行スピードが求められる場面も出て着ると思いますが(例:横断歩道を渡る、自動ドアをすり抜けるなど)、もともとのADLで歩行スピードが低い患者さんは、自立判定にいつまでたってもならない、なんて事になるので、歩行の自立判定を行うにはこの場合は他の判断要素があるようです。

③Fanctional Balance Scale(FBS)

FBSは高齢者のバランス能力を把握するための指標として開発されたものです。日常生活に関連する14項目の動作課題を行い、その安全性、所要時間、距離の要素で5段階(0~4点、計56点満点)で判断するものです。

この評価は、座位・立位での静的な姿勢保持能力とともに、動作時のバランス能力の評価が可能とされています。歩行能力との関連を示した報告も多いです。ただ、臨床の現場においてはこの検査は14項目もあるので、要領よく行っても15~20分はかかるため、忙しい現場においては難しくなるでしょう。

それぞれの評価で、どのような情報を知ることができるのか把握しておく必要があると思われます。

(井上 和章:“ながら力”が歩行を決める 自立歩行能力を見きわめる臨床評価指標「F & S」:2011)


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